今時何らかの推し活をしている人は少なくない。しかし何かに夢中になったり必死に誰かを推すには相当エネルギーがいるため、誰にでもできることではないと思う。いわば推す力それ自体が特別なのである。

顔の知れた仲で推しという言葉を使うと、好きな人と言わずにそれとなく他の人を遠ざけて親密な距離感を占有できるといってずるい表現だと聞いたことがある。つまり推しとは恋の好きに等しい。何かに夢中になれる才能は、裏を返せばそうならざるを得なかったのであり、そこには物凄いパワーを秘められているはずだ。

推しとは、人によってその割合は異なるはずだが、うまく恋と愛が両立している稀有な存在だと思う。相手の幸せを願う愛を基礎として、願わくば自分に何かをしてほしいと思う恋が上乗せされた、人間らしく美しい感情だ。自分の好きなことを話している人は、その内容をよく知らなくても楽しそうに見える。

ここ最近ではオーディション番組が巷に溢れている。それに人々がハマる訳は、応援したい子を見つけてデビュー前後の過程を見守っていて愛おしいからだろう。かくいう私もなんとなくお気に入りの子を探して観ているが、いつも心のどこかで気になってしまう魅力に溢れている。

デビューを目指す子たちは沢山いると思うが、高いスキルに加えてその子にしかない目を離せなくなる魅力があると特に際立ち、ファンが増える。今後の可能性も含めて審査されているので、デビュー後に大化けしていると目を見張るものだ。アイドルになる夢をもつ全ての人を心から応援したいと思う。