まつえゆう

ある銀行員の半生と反省。銀行の中にあるノルマや人事、忖度等を綴っています。20年以上勤…

まつえゆう

ある銀行員の半生と反省。銀行の中にあるノルマや人事、忖度等を綴っています。20年以上勤めた銀行をなぜ辞めたのか・・・。 うち、あしたつぶれます・・・の本当の意味を語ります。

マガジン

  • バブルなんて知らない銀行員~ある銀行員の半生

    銀行員の最初の思いは貫けるのか?暴走する組織に翻弄される銀行員の半生! (連載中)

最近の記事

銀行最後の日とそれから最悪の出来事・・・(その3)

その場にいた私は、やめていったものに対し、なぜこのようなことをするのか、本当にやるせない気持ちにはなっていた。  但し、弁護士は、 「あなたが、どのように思われようが、やったはずだ。どうして認めないんですか?わかっているでしょう。」  私は、5人に、不正融資の責任を問い詰められており、精神的にも追い詰められていた。  ところが、不思議なことに、追い詰められればられるほど、燃え上がるのが私であり、また、冷静になるのも私であった。 「回答は、同じです。稟議の決済の中での

    • 銀行最後の日とそれから最悪の出来事・・・(その2)

       部屋に入ると、前に顔の知っている社員が3名、後ろに2名いた。  一番偉そうな人から、コンプライアンス部の坂田という名刺を出して、 「今日は、わざわざお越しいただきありがとうございます。現在、不備不正の融資について調査しており、ご協力いただきたい。」  と、柔らかな感じではなしてきたが、もう一言、 「会話の内容は、後ろの2名の弁護士の立会いの下録音させていただくのを了解いただきたい。」  私は、まさかの展開で少し動転していたので、 「了解しました」  と、いった

      • 銀行最後の日とそれから最悪の出来事・・・(その1)

        銀行を3月31日に25年務めた銀行を辞めた・・・  3月31日は、朝からフルに仕事はしていた。引き継ぎも含めての仕事であったが、やめるはずが、まるで明日もあるかのような仕事ぶりであった。  引き継ぎの時に、本部から電話があり私が呼ばれた  経済産業省の本田さんであった。本田さんとは制度融資の関係でなんどか話をしてお互いが気心知れた仲であった。  本田さんは、  「研修があるので講師として参加してもらえないですか?」  私は、びっくりして  「えっ、何の研修ですか

        • AIによるオンライン融資になると、もはや「経験と勘」は必要ないのだろうか?・・・

          AIの時代が到来すると何が変わるのだろう・・・  AIの時代には銀行の窓口事務は90%以上の確率でなくなるといわれているが融資担当も必要なくなるのだろうか?  最近、AIによる個人の信用格付けがなされて、それに合わせて融資が行われるフィンテックが中国ではすでに個人融資分野では流行っており、日本でもはじまっている。今後は企業向け融資に対しても拡大する傾向らしい。  私が、銀行員時代も同じような、スコアリング型融資があった。特に、都市銀行が導入して中小企業に対する融資を積極

        銀行最後の日とそれから最悪の出来事・・・(その3)

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        • バブルなんて知らない銀行員~ある銀行員の半生
          14本

        記事

          不正統計の事件の本当の意味(COBOLが原因だった)をスルガ銀行不正融資と共に考える・・・

          元々システム設計や制度設計が正しいものではなかったということではないだろうか?  統計の不正調査で原因が現場の人員の不足等していたことが指摘されていたが、最近になりそれだけではなく『そもそも制度設計が古く対応できていないこと』が本当の原因ということがわかってきた。  現場とは、言われたことに対し実行するものであり、一度動くと簡単には止まらない。つまりは、最初の設計制度がどんなに間違っていようとも突き進んでいくのだ。  融資もそうだった・・・  私がいた東西産業振興銀行

          不正統計の事件の本当の意味(COBOLが原因だった)をスルガ銀行不正融資と共に考える・・・

          不適切な融資の為の改ざんとは・・・スルガ銀行や西武信金の事件から考えてみた

          『不正融資1兆円』 『審査書類の改ざん』『不正融資黙認 スルガ銀行だけじゃない』『審査部への営業からの圧力』『原点回帰は難しい』『西武信金の落合理事長辞任』『業務改善命令』  スルガ銀行事件や西武信金事件は銀行業界にある様々な問題点を浮かび上がらせました。その中で原点回帰は本当に難しいのか?銀行はオワコンなのか?  翻って自分はどうだったか・・・  まずは、取引先から資料を受け取り審査をする。それが、決算書であるとか試算表や、または計画書等様々なものがあるが、その資料は

          不適切な融資の為の改ざんとは・・・スルガ銀行や西武信金の事件から考えてみた

          スルガ銀行の不正融資事件から思う目利きと忖度

          不正な融資が1兆円!  スルガ銀行の事件は社会を揺るがすと同時に、銀行の組織が崩壊していることを示している。関わった職員は300人ということは、一人当たり300億円の不正な融資だ。  なぜこのようなことが起こるのだろうか?  銀行というものは、組織的に動くものと思われている。担当から、課長、次長、支店長と全て通らないと稟議は通らない。そのはずだか・・・  翻って自分の銀行時代を思い出してみる。    なかなか融資してもらえないはずの銀行だが、そうでは無いこともあった。

          スルガ銀行の不正融資事件から思う目利きと忖度

          広域指定暴力団とマル暴の脅しに屈しなかった銀行員のハナシ

          福岡県警暴力団対策課課長が、支店に訪問してきたとき、なぜか私が呼ばれた。 応接室に行くと福岡県警の課長が私に挨拶の後早速話を切り出した。  「A社のことはご存知ですか?」 正直びっくりしながら私は  「ええ、覚えてます。」  課長は、「この中の誰とあったか覚えてますか?」と応接の机に写真を10枚程度並べて質問してきた。  これが、聞いたことあるあれかと思い少し怖くなった。  私、「この人と、この人です。」  課長、「その通です。名前は覚えていますか?」  私、「

          広域指定暴力団とマル暴の脅しに屈しなかった銀行員のハナシ

          銀行人事と忖度~上司の自殺の意味

          私が課長時代、直属の上司の副支店長が自殺した・・・  これは衝撃的なことだった。当時の丸の内支店は有名であった。それは、丸の内支店長がゴリゴリのやり手で、スーパーパワハラであったからだ。ノルマは当然厳しい上に必達。但し、出来ないとわかるとバッサリきられる。その上で支店のアピールするような仕事を求めてくる。  私も、転勤してきた時は毎日呼び出され、質問攻めにあい、答えられないと「もういい、部下に直接聞く。」とばっさりきられていた。次長からは、支店にいる課長で支店長の評価は一

          銀行人事と忖度~上司の自殺の意味

          うち、明日つぶれます。破産申立します・・・

           9月の終わりの、ある日の午後17時くらいだと覚えている。槌田社長が、藤田課長に挨拶に来た。銀行は17時が金融相談の終わりなので、終わり時に来た社長にすこし不安を感じたのを覚えている。槌田社長は、  「明日、うちはつぶれます・・・。破産申立します。藤田課長ありがとうございました。返せなくて本当に済みませんでした。」  と言ってきたのには驚いた。課長はわかってたみたいで、その社長に、  「わかった。で、あんたはどうするの?」まるで父親が心配するように聞くと、  社長は、

          うち、明日つぶれます。破産申立します・・・

          スルガ銀行不正融資からみる暴走する銀行組織の内側

          はじまりは不動産融資だった・・・  最近、スルガ銀行の事件が大きく報じられているが、この事件の根幹はどこにあるのだろうか?私は、組織の方向方針の策定時は間違っていないと思っている。  今、伸びている産業や経済の流れに対し、注力するための枠組みは作るのには問題は無いが、組織全体でその枠組みを数値化し達成しようとすると、必ず無理が来る。  スルガ銀行の事件も、不動産の賃貸業者への融資を増加させる方針はそれ自体に問題は無かったが、実は不動産業者でなく、サラリーマンやスポーツ選

          スルガ銀行不正融資からみる暴走する銀行組織の内側

          手のひら返し・・・

          雨の日にかさをさしてくれない銀行・・・  銀行は、雨の日はかさをささないとよく言われるが、実際はそのとおりだった。理由は・・・・。    まず融資の基本を述べる。会社を定量と定性の両方で分析し、お客様のニーズにあった商品で融資する。そして、計画どおりに回収する。  ところが、これに上司の判断が入るととたんに変わる。  高知支店の勤務時代に、松田次長が赴任して来た。「初めての次長です。なんとか業績上げてひと花咲かせたいです。」と発言どおり、とても積極的な方だった。7月の転

          手のひら返し・・・

          銀行員のノルマと忖度

           ぼくらは、本当に使い捨ての兵隊だった・・・・。    鹿児島支店から転勤した福岡支店の上司の佐野支店長は、大蔵省等役所担当経験者で周りからもエリートの評価で私もとても気軽に話せない雰囲気はあった。まるで役員のように末端の担当には決して数字を押し付けることは無かったが、その支店長はいつも、「いい大人なんだから、大人の対応をしてください。」とだけ。  ただ、私はなぜか気に入られており、「数字をあげればいいということではないんだよ。役人は頭が良くて、必ずいわなくてもわかるでしょ

          銀行員のノルマと忖度

          ある銀行員の最初の思い

           私の部下が自殺した・・・・・。  その影響は大きく、自分としての責任と銀行に対する不信感や卒業したい的な複雑な気持ちが芽生え、結局私は退職した。  私の勤めていた東西産業銀行は全国展開していた銀行だが、田舎と都会では全然雰囲気が違い。田舎はのんびり、都会はハードであった。その中でも、丸の内支店は、新人の配属があるにもかかわらず5年でほとんどが辞めたり、自殺者が出るほどハードな支店であった。でも、まさか自分がその関係者になるとは・・・。ただ、なぜだかわからないが、予感はあ

          ある銀行員の最初の思い