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放課後ランプ【毎週ショートショートnote】

「おい、インド映画の〝FFF〟て知ってるか?〝RRR〟のオマージュだ。先日の試写会は大盛り上がりだったぞ」
「聞いたことないな。どんな話だ?」
「ネタバレありだが聞きたいか?」

Festival
毎月29日は肉の日だ。そしてその月の29日は平日だったためその学校の〝ランプ祭り〟は放課後に行われた……そしてその祭りのクライマックスのさなかある少女が拉致された……

「ちょっと待て!インドに肉の日なんてあるのか?しかもランプ肉って牛の腰だか尻あたりじゃなかったっけ。インドで牛は御法度だろうが?」

「まあそう細かいことを気にするな。この映画は脚本はじめ日本人スタッフによる製作なんだ。また牛は牛でも水牛のほうだから宗教的に何の問題も無い」

Fire
その少女はその学校の理事の家に本人や家族の同意なしに養子として迎えられた。しかも監禁同様の扱いだった。そしてその理事というのはある与党の大物政治家だったんだ。

そこにその少女の兄が奪還作戦を立てて乗り込む。だがお屋敷の警備員にあえなく阻止される。実は警備員は理事の裏金問題の内偵だったのだがこのタイミングで身分を明かせなかったんだ。大義にために泣く泣く少女の兄の身柄を理事に引き渡すことになる。

この奪還作戦のアクションが見所なんだ……

まず少女の兄はお屋敷に火を放つ。それが成功するとインド映画でお馴染みの群舞だ。

「放火後乱舞か!」
「そうだ!」

ところがすべてを焼き尽くすと思いきやあっさりと凄腕警備員に鎮火されてしまうんだ。そしてまたお決まりの群舞。

「消火後乱舞か」
「よくわかっているじゃないか!」

Faile
理事に囚われた少女の兄だが奪還作戦失敗だ。だがいろいろあって凄腕警備員に助け出されることになる。ところがその行動がもとで内偵がバレてしまうんだ。今度はその警備員が囚われの身となってしまう。内偵の失敗だ。

お屋敷から命からがら逃げ出した少女の兄は、街で偶然、警備員の恋人に出会う。少女の兄はそこで内偵の事実を打ち明けられる。そしてその恋人が不治の病であと数日の命ということも。最期に警備員をひと目見たいと田舎から出てきたのだ。

少女の兄は今度こそとお屋敷に乗り込む。まず警備員を助け出し、お屋敷を破壊し尽くし無事少女を助け出すことに成功する。警備員はその間に裏金問題の決定的証拠を手にするんだ。

「すべて、ハッピーエンドじゃないか」
「警備員の恋人の命は?」
「そうか!」

だが脚本家の仕事にはそつがなかった。恋人があと数日の命というのにあまりにもピンピンしていたので、主人を失ったお屋敷付の医者に診せたんだ。評判の名医とのことだった。

その医者の見立てでは……

「何?何?どうしたんだ?」

「どこにも問題は無くすこぶる健康ということだった。恋人の主治医がとんでもなくヤブだったらしい…………今度こそ出演者全員で群舞だ!」

「つまり医療過誤乱舞か!」



(😭😭😭)


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