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ラグビーマガジン・1992年早明戦特集号を手にして想うこと

1.今とあの頃と

昨年12月6日

大学ラグビーの華 早明戦

私は自由席に娘達と座っていた。傍らの長女は大学のレポートに追われる中、このメインイベントを初めて見にきたのだった。

私もこんなに若かったのかしら

娘の横顔を見ながら、私は30年近く前の記憶をたぐり寄せていた。

1992年

それはサッカーJリーグという『日本スポーツ界の黒船』が来襲する直前。

大学生だった私は、やはり自由席でこの早明戦なるイベントを初めて生で体感したのだった。立錐の余地もない観客席、無数に揺れる紫紺の旗。

観客の視線は、明治大学主将のキックの成否に向けられていた。

永友洋司くん 彼はこの日の主役だった。

あれから30年近い月日が流れたのに、秩父宮ラグビー場はあの頃のままだった。驚く程に。

2.あの頃と今と、これからと

前から欲しいと思っていた。

1992年のラグビーマガジン

以前探した時、ネットの古本屋に在庫はなかった。しかし、このコロナ巣ごもりの間に断捨離を試みた方がいたのだろう。

私は念願の

1992年早明戦特集号

を手に入れた。紙は半ば白茶けて、数分ページをめくっただけで鼻がムズムズしてきた。それが

29年という歳月

を示しているかのようだった。

永友くんはどこにいるのだろう?

私は、いつになく胸をワクワクさせながら本の中程を開いてみた。

えっ!!!

言葉を失うほど驚いた。そこにいたのは、お目当ての永友くんではない。

きよみいだ😳😳😳‼️‼️

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ページの半分を占めていたのは、我が愛すべきゆるキャラ『きよみい』こと清宮克幸日本ラグビー協会副会長の笑顔だった。

早明戦OB対談

という特集だった。私はきよみいの早大生時代を知らない。きよみいが早稲田で活躍していた頃私はまだ高校生、ラグビーより野球に夢中だった。

この取材時、きよみいは25歳、サントリー入社3年目だった。

現在日ハムで頑張っている御子息幸太郎くんは21歳、愛嬌のあるラブリーな弟キャラだ。

きよみいと幸太郎くん、似てないよねえ🤔🤔

日ハムの試合を見ながら私はいつもぼやいていた。30代の早稲田監督時代から、きよみいはいつも『仏頂面のおっさん』だった。少なくとも可愛げとは無縁だった。

しかし、今目の前で笑顔を見せるきよみいは、人の心を惹きつける実に魅力的な青年だった。

いやいや、きよみい素敵じゃない‼️これなら大学時代女の子にモテただろうなあ🌈🌈

残念ながら、こう思ったのは、対談を読む前までのことだった。

同級生の明治主将との対談

呆れるほど勝気で、挑発的で、かつ理詰めの発言を連発するきよみい💦💦💦

若い頃から、笑っちゃう程きよみいは

ややこしい男清宮』だったのだ。

でも私を始め『きよみいファン』は、この暴走気味のキャラこそ気に入っているのだけど。

ただ、日本ラグビー協会副会長の、いわば『若気の至り』としか言いようのない発言を、あえてここで挙げるのは控えることにするが。

さて、さらに驚いた事がある。きよみいは

大阪弁🍻🍻

で話していたのだ。大阪府ご出身だから当たり前なのだが、私はきよみいの大阪弁を聞いた事がない。監督インタビュー等、取材では随分気を遣っていたのだろう。今ほど世の中は方言に寛大ではなかったから。

それにしても驚いたなあ😳😳

私は気を取り直し、永友くんを探す旅を再び始めた、が、さらに2度目の驚きに遭遇した。

それは最後のページだった。

彼の白いジャージには、マジックペンで驚くほど大きく苗字が書いてあった。

堀川

タッキーさんだ✨✨😳😳‼️

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ヤマハ発動機ジュビロGM兼監督 堀川隆延さん

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私の憧れ『きよみい✨永友くん✨タッキーさん✨』

3人の中で、唯一今季現場に立たれている。(私の場合、《タッキー》とは某芸能事務所社長ではなく、現ヤマハGM兼監督を指す、念のため)

精悍で凛とした佇まいのタッキーさんだが、この写真当時早稲田大学一年生。

ラグビーマガジンによると、

『この年前半の救世主』

だったらしい。おしくも怪我で後半を棒に振ってしまった、との事。

写真の堀川さんは、胸の名前がなければ分からないくらい、今とは面差しが違っていた。

なんと表現すれば良いのか。

自分のことで精一杯💦💦

そんな切迫感が全身から伝わってくる。

約20年後、彼はこの本中程に鎮座する、『てんこ盛りに生意気なサントリー選手きよみい』と、東海の地方チームを強豪に育てるのだ。当時は想像もしていなかっただろう。

あまりにも意外な2人との出会いに、私はこの本を買った目的を忘れそうになるほどだった。

いやいや、この本は『彼に』会いたくて買ったのだ‼️

『彼』は最初と最後にいた。

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鼻筋の通った横顔は負けん気にあふれていた。

遠くを見つめる永友くんは、心で思い描いていたより、ずっと若々しく、凛々しかった。

なんだか訳もなく嬉しかった。

キャノンイーグルスGMとして、年明けから気の休まる事がなかっただろう永友くん。コロナ禍に翻弄されながら、2月20日の開幕に備えている。

お子さんは今年成人式を迎えた。そして3月のヤマハ戦の日、50歳の誕生日を迎える。

GM兼監督として、この日キャノンイーグルスを迎え撃つタッキーさんは今年年男、48歳になる。

コロナ禍のリーグ続行に苦心しながら、新リーグ設立に向け汗を流しているであろうきよみいは54歳に。健康が気になるお年頃になった。

ここまで書いて気がついた。

3人の人生がこれからも続いていくように、私の人生も続いていく。

この本を欲しかったのは、

もがきながらも『前』だけを向いていた

あの頃の『自分』に会いたかったのだ、おそらく。

娘達の巣立ちもまもなく。

私の新たな人生も、始まろうとしているのだ。










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