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ふるくて、あたらしい。

2024年、2月、京都。

室町時代から、550年以上、16代続いているという、本家尾張屋さんの列に並んでいる。

入店までの長蛇の列。

耳を澄ましてみると、「ここは日本なのか?」と思うような、グローバルな会話が聞こえてくる。

周りを見渡すと外国の方が多いなという印象を受けた。

20分ほど待つとのれんがお目見え。

歴史と伝統の重みを感じられるのれん。

そして、入店。
お香の良い香りが漂っている店内。

やはり、外国の方が多い!という印象。

2階の席に案内していただき、メニューを開いてみる。

そこには、日本語だけでなくて、外国語のメニューも。

メニューを眺めるとラインナップの多さに驚く。
このメニューは13代目考案、このメニューは14代目考案みたいな表記が成されていて、ここでも歴史や伝統を感じられる。

14代目考案の宝来そば。半世紀以上前から受け継がれている味。

このお店はどうして、550年以上、16代にもわたり続いてくることができているんだろう。

そんなことを考えながら、蕎麦を味わう。
上品な味わいで美味しかった。

蕎麦を食べ終えて、お会計をする。
お店の方と会話をしてみる。

ここ、室町時代から続いているんですよね、どうして続けてくることができたんですか?

「嘘をつかないで、欲張らず、目の前のことに向き合ってきたからかね。」

「実は今の当主は女性なのよ。時代に合わせて変化させているってことのあるのかもね。」

ありがとうございました!美味しかったです!と挨拶してお店の外に出る。

そうすると、隣におしゃれなお店をみつけたので入ってみる。

ここも、尾張屋さんなんですか?

「そうです。3年前からここも始めて」

本家尾張屋さんのカフェスペース。

3年前から始めたというカフェスペース。

お菓子の販売や、チャイ、コーヒーなどの飲み物の販売を行っている。
店内に食べられるスペースはなく、テイクアウト専用だという。

ここでも、同じ質問をしてみる。
どうして550年以上もの間、続けてくることができたんですか?

「時代に合わせて、届け方や、伝え方を変えているからですかね。」

「例えばお蕎麦屋さんの方は、外国の方が多く来ているという時代背景から外国語のメニューを用意したりと変化させている。」

「そして、このカフェスペースも新たに3年前から始めているし、昔は和菓子がメインだったけれど、今ではチョコレートなんかも売っている。」

そうなんですね、変化させている部分がある一方で、創業から変わらない部分もあるんですか?

「そうですね、『時代に合わせて柔軟に対応していく』というところが創業から変わっていない部分だと感じています。」

「変化」をキーワードに、550年以上もの間続いてきたんだな、ということを改めて感じる。

もともと、菓子屋として創業した尾張屋は江戸時代に新たな柱として蕎麦屋を開業した。

そして、3年前からは蕎麦屋の隣にカフェスペースもオープンした。

蕎麦チャイを注文。容器がとてもおしゃれ。
外観はこんな感じ。左がお蕎麦屋さんで、右がカフェスペース。

時代に合わせて柔軟に変化していく。
蕎麦とお菓子といった複数の柱を持っている。
欲張らず、正直に、目の前のことに向き合う。

そんな風に自分も生きていきたいな、と思う。

本家尾張屋さんに行ってみて、「ふるくて、あたらしい」という不思議な感覚になった。


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