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呉 智英「マンガこそが日本の世界に誇る最高の文化である」

『現代マンガの全体像・増補版』(1990年)の〈あとがき〉から一部分を引用

《_日本の文化のうち、諸外国に見られないほど特異に発達した民族の遺産というべきものは、たった二つしかない。それは、歌舞伎でもなく、茶の湯でもなく、和歌俳句でもなく、日本的経営学でもなく、天皇制でもない。それらは、表面的な相違はあっても本質的には類似なものを、どこかの国で見出すことができる。日本の誇るべき文化の二つとは、第一に、膠着語の特性を生かし、表意文字と表音文字を混用する漢字仮名まじり文、第二に、きわめて高度に発達した表現ジャンル、マンガである。第一の漢字仮名まじり文は、朝鮮でも使われていないわけではなく、また、表意文字漢字は本来支那語(※中国語)を表記する文字であり、表音文字仮名もその漢字から派生した文字である。そう考えれば、二つのうちでもマンガこそが日本の世界に誇る最高の文化である。むろん、最高の文化とは、俗悪も通俗も高尚も高踏も含んでいるが故に最高なのである。本文で述べたことは、くりかえすには及ぶまい。マンガをまっとうに研究し評論するための一助になることを願ってペンを措く。》



◆『現代マンガの全体像・増補版』(1990年/史輝出版)の〈帯付き〉の書影

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◆過去に三度出版された中で最初の「情報センター出版局」版(1986年)書影

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◆初めて文庫化された「双葉文庫(双葉社)」版(1997年)の〈帯付き〉の書影

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関連投稿 ※私の投稿で「呉 智英(くれ・ともふさ)」氏の名が出てくるもの


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