見出し画像

木根尚登ラジオ出演2023

 2月3日にTOKYO FMで放送された番組『Blue Ocean』に木根尚登がゲスト出演した。ソロデビュー30周年を記念してリリースされたアルバム『キネコレ』収録曲から、『泣かないで』、『Time Passed Me By』をオンエア。曲紹介の際も、MCのテンションが上がるのがリスナーにもすぐに感じられる。ファンが聴いても心地よい温度感で、番組は進行していった。
 デビューした後、30年後になんらかの作品をリリースできるアーティストというだけでも、かなり数が絞られてくる。さらにTM NETWORKで一度売れた上の、ソロデビュー30周年だ。グループでのキャリアを含めると、もっと年数が積み重なる。30年という月日の凄さを感じる。

 これまでの活動を振り返り、数々のエピソードを話した。中でも、母校である立川第六小学校の愛唱歌の話は印象深い。同校が70周年を迎える際、愛唱歌を作る運びとなり、卒業生の木根尚登にオファーがきた。歌詞は当時の在校生から言葉の断片をかき集め、木根尚登自身が選んでひとまとまりの意味を持つ形に仕上げた。
 楽曲制作をしていく中で、発想の源がすべて自分の内から沸き起こるものなら、なんとかまとめられるが、他者のアイデアも取り込むとなると、なかなか作品として完結させるまでには至らない。過去にそんな経験を持つクリエイターも、きっといるだろう。制作は大変だったが、楽曲披露の際には子供たちもハーモニカや笛などで加わり、思い出深いものになったという。ミュージシャン同士のセッションでも、やったことすべてがOKテイクになるものではない。単にオファーを受けて1曲書き上げるだけに留まらず、音楽経験のない子供たちも絡めることには、いつもとは違う苦労もあっただろう。それでも作品として仕上げたところに意味があったと思う。

 この月には、bay fmの番組・CREATOR'S BANK ~LIKE LABO~にも出演した。ゲストの「好き」を追求するのがコンセプトの番組。木根尚登の音楽のルーツでもある洋楽アーティストの、キャロル・キングが話題に上った。
 TM NETWORKのメンバーの他の2人の音楽の嗜好は承知している。宇都宮隆はロッド・スチュワートを愛聴してきた。さらに近年の取り組みでもある「それ行け!歌酔曲」の選曲でも、自身のルーツを多分に反映していることだろう。小室哲哉は大阪万博での富田薫の演奏に影響を受けている。デビュー後もC+C MUSIC FACTORYやCAPPELLA、KYOTO JAZZ MASSIVEなど、そのときどきで注目しているアーティストを公言していた。
 そういえば木根尚登のルーツって、知っているようで知らなかったなあというのが今回の感想だ。キャロル・キングは名前だけは知っているけれど、どんな音楽なのかはイマイチ思い浮かばないアーティストのひとり。これを聴いたときに、「ああー、なるほど!木根尚登らしい」と納得するのか、「え、こういうの聴いてたの?」と意外な感じを受けるのか。はたしてどちらになるのだろう。
 オンエアした曲は『僕は君の為に成る』。アルバム『R2』の収録曲だ。現在は完売につき入手困難となっているので、買い逃したリスナーには貴重な放送となったのではないか。ラジオだからといって曲の途中で音量が絞られたり、イントロにMCが被さることもなく、ガッツリとフルコーラスで届けられた。言葉数多めの、音符をギッチリ詰め込んだ作風は、どことなく『REMEMBER ME!?』を想起させられたリスナーもいることだろう。
 2週連続出演の2回目では、木根尚登の幼少期のエピソードも語られた。筆者は、木根尚登がギタリストである前に、元々は鍵盤奏者だったのを知ったときも驚いたものだが、それより前に興味を示したのはドラムだったという。幼いときに父親にドラムセットをねだったが、「いくらすると思ってるんだ!」と聞き入れられず、なぜかスネアドラムのみを与えられた。学校の器楽部で行進曲などを叩いていたそうだ。
 鍵盤とギターはTM NETWORKのライブで披露しているし、企画イベント・SPIN OFFの舞台では、ベースも弾いた。これで、全パート経験していることになる。それに、ハーモニカでも間奏のソロを埋められるほどの腕前がある。木根尚登は「サックスもやっておけばよかったなあ」と、手を出さなかったことを後悔していた。確かに、サックスを持った絵面はサマになりそうだ。
 後半では田辺晋太郎も加わった。住吉美紀アナウンサーの名前を挙げて、音楽業界内でTM NETWORKのファンが多い話や、小室哲哉の声マネなどで盛り上がった。
 木根尚登お得意のジョークも冴えていた。小室哲哉から急にライブ出演の話を持ちかけられても、その日は既にスケジュールが埋まっていて出られないとなったとき、小室から「じゃあいいよ、坂崎さん(編注:THE ALFEE・坂崎幸之助)に頼むから!」と、言われないように、今年の秋以降のスケジュールは空けてあるそうだ。
 笑い話交じりではあるが、今後TM NETWORKの活動のために、なにかしらの用意はあると考えてよさそうだ。
 今年の4月からは弾き語りの全国ツアーがスタート。こちらにも要注目だ。

関連記事:昨年のTM NETWORK 3人揃ってのラジオ出演