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【読書記録】2023年10月8日〜10月14日

 みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
 人生のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。

 さっそくですが、前回の「読書記録」の【まとまらないまとめ】で「いつかは読みたいと思っていた長編シリーズに挑戦」と書きましたが、答えは上橋菜穂子さんの〝守り人〟シリーズでした!
 上橋さんの作品といえば綿密に練り上げられた世界観。
 この世界観にすんなり入り込めるか心配でしたが、読み始めたらそんな心配はどこ吹く風、あっという間にその世界に引き込まれたのでした。

 ということで、今週出会った本たち(ほぼ守り人シリーズですが)をご紹介します。

【2023年10月8日〜10月14日に出会った本たち】

⚪️精霊の守り人〈守り人シリーズ1〉

著者 上橋菜穂子

【内容紹介】
 老練な女用心棒バルサは、新ヨゴ皇国の二ノ妃から皇子チャグムを託される。精霊の卵を宿した息子を疎み、父帝が差し向けてくる刺客や、異界の魔物から幼いチャグムを守るため、バルサは身体を張って戦い続ける。建国神話の秘密、先住民の伝承など文化人類学者らしい緻密な世界構築が評判を呼び、数多くの受賞歴を誇るロングセラーがついに文庫化。痛快で新しい冒険シリーズが今始まる。

裏表紙より

【感想】
 バルサのカッコ良さ、チャグムの成長、タンダの優しさなどキャラクターの魅力に加え、その国の歴史や文化、宗教観、家一軒に至るまで細かく表現されているあたりは、上橋さんが文化人類学者だからなのか。
 歴史や伝説はその国にとって都合のいいように作り変えられるという話に納得。
 最後にチャグムが言ったセリフ

「たすかったんじゃない。たすけられたんだ」

本文より

に、新ヨゴ皇国の明るい未来を感じました。

⚪️闇の守り人〈守り人シリーズ2〉

著者 上橋菜穂子

【内容紹介】
 女用心棒バルサは、25年ぶりに生まれ故郷に戻ってきた。おのれの人生のすべてを捨てて自分を守り育ててくれた、養父ジグロの汚名を晴らすために。短槍に刻まれた模様を頼りに、雪の峰々の底に広がる洞窟を抜けていく彼女を出迎えたのはー。バルサの帰郷は、山国の底に潜んでいた闇を目覚めさせる。壮大なスケールで語られる魂の物語。読む者の心を深く揺さぶるシリーズ第2弾。

裏表紙より

【感想】
 守り人シリーズ第2弾はバルサが過去と向き合い、育ての親・ジグロの汚名を晴らす物語。
 ジグロの弟・ユグロの野望、ヒョウル(闇の守り人)の正体、牧童たちの真の役割と、冒険の中で「牧童の仕事も、王の槍の仕事も、根本は同じ」ということに気づくムサ氏族の少年カッサの成長が読みどころですが、やはり一番はバルサが生前のジグロの思いと対峙する場面。この出来事のおかげでバルサはやっと過去の重荷を下ろすことができたのだと思います。
 バルサはこれで安心してタンダの元に身を寄せることができるだろうか。

⚪️夢の守り人〈守り人シリーズ3〉

著者 上橋菜穂子

【内容紹介】
 人の夢を糧とする異界の“花”に囚われ、人鬼と化したタンダ。女用心棒バルサは幼な馴染を救うため、命を賭ける。心の絆は“花”の魔力に打ち克てるのか?開花の時を迎えた“花”は、その力を増していく。不可思議な歌で人の心をとろけさせる放浪の歌い手ユグノの正体は?そして、今明かされる大呪術師トロガイの秘められた過去とは?いよいよ緊迫度を増すシリーズ第3弾。

裏表紙より

【感想】
 シリーズ3作目はトロガイの過去、夢の世界に囚われてしまったタンダ、流浪の吟遊詩人・ユグナの秘密など盛りだくさん。
 今回のエピソードでバルサとタンダの絆が固く結ばれたと思ったのですが、なにせ不器用な二人だから、そこまでいくには、さらに一波乱必要な様子。
 この他にも心身ともに成長過程にあるチャグム、メキメキと頭角を表してきた若き星読博士・シュガの存在など目が離せません。
 このシリーズは歴史や文化、宗教などの世界観が細かく描かれているのが魅力ですが、もう一つ「食文化」も忘れてはなりません。なにせレシピ集まで出ているくらいですからね。全部読み終えたらレシピ集〝バルサの食卓〟ものぞいてみよう。

⚪️虚空の旅人〈守り人シリーズ4〉

著者 上橋菜穂子

【内容紹介】
 隣国サンガルの新王即位儀礼に招かれた新ヨゴ皇国皇太子チャグムと星読博士シュガは、“ナユーグル・ライタの目”と呼ばれる不思議な少女と出会った。海底の民に魂を奪われ、生贄になる運命のその少女の背後には、とてつもない陰謀がー。海の王国を舞台に、漂海民や国政を操る女たちが織り成す壮大なドラマ。シリーズを大河物語へと導くきっかけとなった第4弾、ついに文庫化。

裏表紙より

【感想】
 シリーズ第4作目はチャグムが主人公。ちなみにバルサ、タンダ、トロガイは登場しません。
 舞台は新ヨゴ皇国の隣国・サンガル。
 サンガルの新王即位式に招かれたチャグムとシュガが遭遇する様々な事件。チャグムとサンガルの第2王子・タルサンとの友情。強かな女性たち。とにかくこれまでと違って南の国と海が舞台なので、話は重いけれどなんとなくの解放感がたまりません。
 これまでは一つの国の中の話だったけれど、幾つもの国が鎬を削る壮大な物語へと話が広がってきている印象。
 チャグムがまっすぐな青年に育っていて嬉しいやらハラハラするやら。

⚪️神の守り人 上(来訪編)〈守り人シリーズ5〉

【内容紹介】
 女用心棒バルサは逡巡の末、人買いの手から幼い兄妹を助けてしまう。ふたりには恐ろしい秘密が隠されていた。ロタ王国を揺るがす力を秘めた少女アスラを巡り、“猟犬”と呼ばれる呪術師たちが動き出す。タンダの身を案じながらも、アスラを守って逃げるバルサ。追いすがる“猟犬”たち。バルサは幼い頃から培った逃亡の技と経験を頼りに、陰謀と裏切りの闇の中をひたすら駆け抜ける。

裏表紙より

【感想】
 シリーズ5作目は上下巻の長編。
 主人公はバルサ。ちなみにチャグムとシュガは登場しません(今のところ)。
 舞台は前作でチャグムが共闘したロタ王国。バルサがタルハマヤという邪神の力を宿した少女・アスラと、その兄・チキサを人買いから救ったことから始まる物語。
 バルサの活躍はもちろんですが、今回の読みどころは、ロタ王国成立の伝説と内政。
 南の裕福な商人たちと、北の牧羊を生業とする貧しい人たちの格差と対立。これをどうまとめ上げていくか王の手腕が問われるところ。
 サマド衣装店のマーサ夫人もかっこいい!
 アスラがマーサさんの店で働く未来を夢見つつ下巻へ!

⚪️いちいち不機嫌にならない生き方

著者 名取芳彦

【内容紹介】
 ささいなことで、つい顔を出す「不機嫌」。お坊さんだって不機嫌になりそうな瞬間はあるけど、「ちょっとした考え方で“寸止め”できる」。きれいごとの一切ない語り口で人気の“ほうげん和尚”が、仏教の目的でもある「自分もまわりも心おだやかでいるコツ」を面白おかしく書きました。

版元ドットコム 書誌情報より

【感想】
 真言宗の住職の著者がいわゆる「不機嫌」とどう折り合いをつけていくかについて、身近な事例を上げながら、優しく語ってくれている本。
 どうも自分は「こうあるべき」という気持ちがかなり強いようで…。
 この本が他のいわゆる「自己啓発本」と違うのは、マイナス感情を力技でプラスに変えるのではなく、いかに速やかに「ニュートラル」な状態に持っていくかについて語られている点だと思います。
 イライラや不機嫌なども含めたいわゆるマイナス感情は「悪」ではないし、みんなが普通に、当たり前に持っているもの。だからそれもひっくるめて自分なのだということを心に留めて、一歩ずつ。

【まとまらないまとめ】

 いかがでしたか?
 今週はほぼほぼ「守り人シリーズ」の1週間でした。
 この物語、分類としては「児童文学」らしいのですが、そもそも児童文学と大人が読む文学って、何が違うのか、どなたかその線引きを教えてください。だって、この物語、大人が読んでも充分楽しめますし、逆に大人じゃないとわからないような政治や宗教の話とかも書かれているし、あえていうなら艶っぽい話がないくらいかと…。
 そうそう、あと思ったのは上橋作品には呪術はあっても、手から炎を出すような魔法はないし、技名を叫んで繰り出す必殺技もない。もちろん現世から転生する人もいないから、その世界ではあり得ない現代の知識や技術や道具もない。なのでその世界観を壊すこともない。どうも最近の「転生モノ」に魅力を感じないのは、その辺りが原因かと。そんなことを書いておきながら〝転スラ〟は楽しく読んでるんですけどね。
 …ともかく、来週も「守り人シリーズ」を読みます。
 そうそう、今日、「守り人」シリーズの外伝3冊とガイドブック、そしてレシピ集に加え、上橋さんのデビュー作〝精霊の木〟と〝月の森に、カミよ眠れ〟を注文しました。
 ということで、今しばらく上橋ワールドに浸りたいと思います。
 なんて幸せ。

最後に、
 読書っていいよね。


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