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【読書記録】2023年3月12日〜3月18日

 みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
 人生のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。

 そろそろというか、いよいよというか、やっとというか、ついにというか、桜の季節になりました!
 晴れた日に桜の花の下で読書というのもいいかもしれませんね。
 あっ、桜の木下は踏み固めてはいけないんだった!

 ということで、今週出会った、再会した本たちをご紹介します。

【2023年3月12日〜3月18日に読んだ本】

●ラブカは静かに弓を持つ

著者 安壇美緒
【内容紹介】
 少年時代、チェロ教室の帰りにある事件に遭遇。以来、深海の悪夢に苦しみながら生きてきた橘樹は勤務先の全日本音楽著作権連盟の上司・塩坪から呼び出され、音楽教室への潜入調査を命じられる。目的は著作権法の演奏権を侵害している証拠を掴むこと。身分を偽り、チェロ講師・浅葉桜太郎のもとに通い始めるが…少年時代のトラウマを抱える潜入調査員の孤独な闘いが今、始まる。『金木犀とメテオラ』で注目の新鋭が想像を超えた感動へと読者を誘う、心震える“スパイ×音楽”小説!
版元ドットコム 書誌情報より

【感想】
 まずは書影が素敵!せっかくなので余計な帯は付けないでほしいくらい。
 考えてみれば「スパイ小説」を読むのははじめて。ただスパイ小説とは言っても派手なアクションやドンパチ、カーチェイスがあるわけではなく、日本音楽著作権協会、いわゆるJASRACの職員が大手音楽教室に生徒として入り込み、音楽の不正使用について調査するという話。
 音楽教室での演奏が著作権の対象かという件については、知識がないのでなんとも言えないけれど、とにかくチェロの演奏シーンの表現が美しい。実際に聴く音楽も素晴らしいけれど、読む音楽、想像する音楽の楽しさを実感。

●しろがねの葉

著者 千早茜
【内容紹介】
 戦国末期、シルバーラッシュに沸く石見銀山。天才山師・喜兵衛に拾われた少女ウメは、銀山の知識と秘められた鉱脈のありかを授けられ、女だてらに坑道で働き出す。しかし徳川の支配強化により喜兵衛は意気阻喪し、庇護者を失ったウメは、欲望と死の影渦巻く世界にひとり投げ出されたー。繰り返し訪れる愛する者との別れ、それでも彼女は運命に抗い続ける。第168回直木賞受賞作。
版元ドットコム 書誌情報より

【感想】
 読み始めた瞬間からグッと心を掴まれる物語でした。
 少女ウメの成長と石見銀山で命を削って働き続ける男たちと、それに翻弄される女性たち。
 山師の喜兵衛とウメの関係は親子、師弟、恋人いやそれ以上の何かだろうか。
 結局どれだけ才能があっても銀山内に入ることはできないウメは、愛する人の子を産み育てる道を選ぶけれど、もっと自由に生きる姿も見てみたかった。
 緑の青さ、花の色、潮風の香りとその開放感、対する閉鎖された間歩の暗闇や夜にほんのり灯る自然光がウメの心情と絡み合いとても濃密な読書体験でした。

●復讐の協奏曲(コンチェルト)

著者 中山七里
【内容紹介】
 私の仕事は無罪にすることで、
真相を明らかにすることではない。
30年前に少女を惨殺した過去を持つ弁護士・御子柴礼司。事務所に〈この国のジャスティス〉と名乗る者の呼びかけに応じた800人以上からの懲戒請求書が届く。処理に忙殺されるなか、事務員の洋子は、外資系コンサルタント・知原と夕食をともにした。がしかし、翌朝、知原は遺体で見つかり、凶器に残った指紋から洋子が殺人容疑で逮捕された。洋子の弁護を引き受けた御子柴は、洋子がみずからと同じ地域出身であることを知り…….。一度心に巣くった獣は、簡単に消えはしない――めぐる因縁そして〈復讐〉の結末は!?
裏表紙より

【感想】
 中山七里さん。自称・職業作家。人は彼を「どんでん返しの帝王」と呼ぶ。
 もうここまでくるとどんでん返しが当たり前で、読みながら「そろそろ来るぞ、来るぞぉ」なんて期待してしまう自分がいます。
 悪徳弁護士・御子柴シリーズの第5弾。「この国のジャスティス」と名乗るブロガーの先導で、御子柴の元に届いた大量の懲戒請求。事務員の日下部洋子に突きつけられた殺人容疑。徐々に明らかになってくる洋子の秘密と御子柴が少年時代に引き起こした幼女殺人事件との関連。助っ人として登場する、いやさせられるのはまさかの宝来先生!
 もう、読んでるこっちが緊張しっぱなしでした。
 珍しく最後は希望を持たせる展開で、気がつけば読了までずっと肩に力が入っていました。

●ヴィクトリアン・ホテル

著者 下村敦史
【内容紹介】
 交錯する善意と悪意に一気読み&二度読み必至!伝統ある超高級ホテル「ヴィクトリアン・ホテル」は明日、100年の歴史にいったん幕を下ろす。特別な一夜を過ごす女優、スリ、作家、宣伝マン、老夫婦、そしてベルマン。それぞれの思惑が交錯したとき運命の歯車が軋み始めーラスト30ページに特大の衝撃と深い感動が待ち受ける、エンターテインメントを極めた長編ホテルミステリー!
裏表紙より

【感想】
 文庫刊行のため再読。
 SNSの誹謗中傷に傷つけられた女優・佐倉優美、自暴自棄の窃盗犯・三木本貴志、文学賞を受賞した新人作家・高見光彦、やり手ビジネスマン・森沢祐一郎、友人の借金を肩代わりして店を手放し、死を決意した弁当屋の林夫妻、そしてベルボーイ・岡野。 
 彼・彼女たちの人生は2020年の秋、100年の歴史に一旦幕を下ろすヴィクトリアン・ホテルで交差します。
 善意の行動も、歪んだ解釈で悪意と断罪し、正義の見方面してSNSに投稿。それを興味本位で無責任に拡散する人たち。しかも匿名で。いつからこんな嫌な世の中になったんだろう。最後は希望が見える終わり方で一安心。

 noteの中でも時々書いているかもしれませんが、今自分ができることは、「このままプリントして玄関に貼っても差し支えない記事」を投稿すること。

●あたしとママのファイトな日常

著者 山本幸久
【内容紹介】
 小学四年生の風花は「ムカつく男子を一発殴りたい」というよこしまな動機でボクシングを始めるが、徐々にその面白さにのめり込む。そんな娘のひたむきさが頑なだった母・陽菜子の心を変え、周りのみんなにも影響を与えていく。成長する母と娘のハートウォーミングストーリー。特別書き下ろし短篇を収録。
裏表紙より

【感想】
 2020年3月刊行の〝あたしの拳が吼えるんだ〟を改題し、スピンオフ短編を加え文庫化した本書。
 主人公は小学四年の橘風花、そしてその母陽菜子。「いじめっ子を一発殴りたい」という動機からボクシングを始める風花は、その経験の中から勝負の厳しさ、人との向き合い方などの大切なことを学び成長していきます。
 母・陽菜子は職業人としては実力がありながら、後輩たちとはうまくいかず悩んでいますが、あることがきっかけで共通点が見つかり、こちらも少しずついい方に転がり始めます。
 山本幸久さんお得意の他作品からのゲストは〝展覧会いまだ準備中〟のサクラ&弾吉カップル、定番アイテムとして「血煙恍惚城」、「オバケデイズ」「ハラキリーズ」、おまけにガリガリくんソーダ味も登場。そして今回は宮沢賢治の〝よだかの星〟が鍵となっています。

 スピンオフ短編は本編から2年後。主人公は風香がボクシングを始めるきっかけになった公平。舞台は川原崎花店。ついでにランくんも大活躍。この短編を味わうために〝花屋さんのいうことには〟も是非。

●神域

著者 真山仁
【内容紹介】
 アルキメデス科学研究所の所長・篠塚と盟友の秋吉はアルツハイマー病で死滅した脳細胞を再生させる人工万能幹細胞・フェニックス7を発明する。政府も国家戦略の柱に位置づけるが、研究成果を狙うアメリカの魔の手が迫る。そんな折、研究所の近くで高齢者の失踪事件が続発。夢の細胞は本当に安全なのか?
裏表紙より

【感想】
 宮城県内のある地域で連続する徘徊老人の失踪・死体遺棄事件と、認知症を治療する画期的な治療法の研究。
 再生医療、延命、遺伝子の解析と組み替えetc。これは本当に人間が手を出していい領域なのか。
 元々人間の肉体的な寿命は50歳くらいだったとも聞きます。何せ江戸時代はいわゆる「五十肩」が「長命病」なんて言われていたようですから。
 長く生きることが本当に幸せなのか、ちょっと悩んでしまいます。
 医療技術は、科学技術はいったいどこまで進歩するんでしょうか?
 いや、これは本当に「進歩」と言えるんでしょうか?

 それと、「特定秘密保護法」恐るべし!

●地名の楽しみ

著者 今尾恵介
【内容紹介】
 由来を辿ればその土地の歴史や地形が見えてくる地名。古いものは古代から、人々の生活の近くにありその数、数千万から億単位ともいえる地名の多彩で豊かな世界を楽しもう。
裏表紙より

【感想】
 日本土地家屋調査士会連合会の会報に連載されたコラムをまとめた本。
 とにかく膨大な資料を読み解くエネルギーが凄い、そしてやっぱり面白い。何せ「荒川は荒川区を流れてない」とか、「東村山市、東大阪市、東久留米市に付く『東』はそれぞれ意味が違う」とか、「八戸が有名な青森にある地名「漢数字+戸(へ)の地名は一戸から九戸まであるけれど四戸だけがない」とか、「2ヶ月半しか存在しない市があった」など雑学好きにとっては嬉しい一冊。
 余談ですが、山手線の新駅が「高輪ゲートウェイ」になったのはなんか残念。

【まとまらないまとめ】

 いかがでしたか?
 今週は、以前単行本刊行時に読んで心に残っていた本が文庫化されたことを知り、早速購入して再読。
 最初に読んだ時には気づかなかったたくさんのことに気づくことができました。
 今まで勢いだけで次から次へと気になる本を手に取っては読んできましたが、これからは少しずつ、お気に入りの本を再読する時間を作りたいと思います。

最後に
 読書っていいよね。


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