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【読書記録】2023年6月18日〜6月24日

 みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
 人生のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。

 6月21日(くもり)。
 昼ごろ、「今日は夏至なんだよなぁ」なんてぼやっと考えながら歩いていた(もちろん仕事で)ら、突然蝉の声が!
 しかも2〜3匹!!

 この記事を書いているのが6月24日。
 あれ以来蝉の声はちっとも聞こえません。
 そうそう、どこの世界にもせっかちというか、おっちょこちょいな奴っているんだよなぁ。
 なーんて思う今日この頃。

 余談はこれくらいにして、早速今週出会った本たちをご紹介します。

【2023年6月18日〜6月24日に出会った本たち】

⚪️64(ロクヨン) 下

著者 横山秀夫

【内容紹介】
 記者クラブとの軋轢、ロクヨンをめぐる刑事部と警務部の全面戦争。その狭間でD県警が抱える爆弾を突き止めた三上は、長官視察の本当の目的を知り、己の真を問われる。そして視察前日、最大の危機に瀕したD県警をさらに揺るがす事件がー。驚愕、怒涛の展開、感涙の結末。ミステリベスト二冠、一気読み必至の究極の警察小説。

裏表紙より

【感想】
 下巻はまず、広報官三上と記者クラブに所属する記者たちとの実名報道を巡る攻防。
 三上の下した決定を、自分だったら下せるだろうか。
 ずっと燻っていた刑事課と警務課の仲はまさに一触即発状態。そんな時に起こる通称64事件を模倣した誘拐事件。
 広報課とマスコミのやりとりは読んでいて胃が痛くなりました。後半はとにかく息をつかせぬスピーディーな展開の連続。
 まさかこの誘拐事件に64事件の犯人が絡んでいたとは。
 事件は一件落着!といきたいところですが、一番重要な三上の娘の行方不明事件が結局未解決。それだけが心残りでなりません。

⚪️パラドックス13

著者 東野圭吾

【内容紹介】
 13時13分13秒、街から人が消えた。無人の東京に残されたのは境遇も年齢も異なる13人の男女。なぜ彼らが選ばれたのか。大雨と地震に襲われる瓦礫の山と化した街。そして生き抜こうとする人達の共通項が見えてくる。世界が変れば善悪も変る。殺人すらも善となる。極限状態で見えてくる人間の真理とは。

裏表紙より

【感想】
 3月1日13時13分13秒、時間の跳躍によりパラレルワールドの東京に飛ばされた乳幼児を含む13人の男女。
 彼らはなぜこの世界に飛ばされたのか?
 地震や洪水に見舞われ廃墟となった東京で生きる術は?
 彼らは元いた世界に戻れるのか?
 極限状態でも生き抜こうとリーダーシップを発揮する主人公の兄・誠哉は魅力的ですが、後半はその考え方についていけず…。
 命とは、生きるとはどういうことか考えさせられる物語でした。
 理系の細かい理論云々は置いといて、伊坂幸太郎さんの〝終末のフール〟、凪良ゆうさんの〝滅びの前のシャングリラ〟、山田宗樹さんの〝人類滅亡小説〟、そして小松左京さんの〝日本沈没〟なんかが好きな方に、特におすすめ!

⚪️血の雫

著者 相場英雄

【内容紹介】
 東京都内で連続殺人が発生。凶器は一致したものの、殺されたタクシー運転手やお年寄りに接点は全くなく、捜査は難航を極めた。過去のトラブルで心を壊したベテラン刑事・田伏はITオタクの新米・長峰と犯人を追うが、事件はインターネットを駆使した劇場型犯罪に発展してしまう…。SNSの功罪、格差社会の現実を描き切る傑作警察ミステリー!

裏表紙より

【感想】
 東京都内で起こる連続殺人事件。
 殺されたのは自称モデルの女性、初老のタクシー運転手、町内の治安を守る好好爺。これらの事件、凶器は一致するも、3人に接点はなく…。
 捜査にあたるのは過去の事件のネットトラブルで心を壊してしまったベテラン刑事の田伏、そしてITに詳しい新米刑事の長峰。
 最近よくあるネットの闇がテーマの小説かと思いきや、後半その内容や意味合い、そしてテーマはガラッと変わります。どう変わるのかは裏表紙にも一切書かれていないので伏せておきますが、これは本当に衝撃的な物語でした。
 そして〝震える牛〟同様、モヤモヤする事件の幕引きも。

⚪️曲亭の家

著者 西條奈加

【内容紹介】
 小さな幸せが暮らしの糧になる──当代一の売れっ子作家・曲亭(滝沢)馬琴の息子に嫁いだお路。横暴で理不尽な舅、病持ち、癇癪持ちの夫とそんな息子を溺愛する姑。日々の憤懣と心労が積もりに積もって家を飛び出たお路は、迎えに来た夫に「今後は文句があればはっきりと口にします。それでも良いというなら帰ります」と宣言するが……。修羅の家で、子どもを抱えながら懸命に見つけたお路の居場所とは? 直木賞作家の真骨頂、感動の傑作長編。(解説・植松三十里)

裏表紙より

【感想】
 南総里見八犬伝の著者滝沢馬琴の息子に嫁いだ女性・お路の物語。
 とにかくこの滝沢家が凄いです。今で言うモラハラ、パワハラ、DV…何でもあり。
 今の世の中だったら即離婚というところですが、お路はその環境に耐え、時にはブチ切れながら自分の寄って立つところを見つけバラバラな滝沢家の要となり、最後は視力を失った馬琴の口述筆記まで任されます。
 p.132にあった

「小さい幸せはその気になれば見つかるものです。それが暮らしの糧になります」
(中略)
「小さいからこそ、慈しむのです。幸せとはそもそも、小さいものなのですよ」

本文より

この言葉がじんわり心に沁みます。

⚪️I LOVE YOU

アンソロジー

【内容紹介】
 恋愛には未知の物語がある。初めて恋心を意識したとき、幼なじみに異性を見出したとき、彼女とのあいだに微妙な心の距離を感じたとき、初恋の同級生と再会を果たしたとき、彼女と恋愛のルールを決めたとき、そして連れ添った相手との別れを予感したとき…さまざまな断片から生まれるストーリーを、注目の男性作家陣が紡ぐ、奇蹟の恋愛アンソロジー。

裏表紙より

【収録作品】
透明ポーラーベア 伊坂幸太郎
魔法のボタン 石田衣良
卒業写真 市川拓司
百瀬、こっちを向いて 中田永一
突き抜けろ 中村航
Sidewalk Talk  本多孝好

【感想】
 同じテーマでもまったく違う切り口や後味の物語を堪能できるのがアンソロジーの醍醐味。
 作家さんとしては、市川拓司さんが初読み。同級生との再会というのはやっぱりドキドキしますね。それが初恋の相手かもしれない…。となったらもう、ね。
 ある夫婦の別れと香りの記憶を描く本多孝好さんの〝Sidewalk Talk 〟は、おしゃれで、切なくて、悲しくて…。このアンソロジーの中では一番オトナを感じる物語でした。
 伊坂幸太郎さんの、弟が語る姉の恋愛遍歴の話〝透明ポーラーベア〟もなかなか。

⚪️「カッコいい」とは何か

著者 平野啓一郎

【内容紹介】
 「カッコいい」を考えることは、いかに生きるべきかを考えることだ!「カッコいい」は、民主主義と資本主義とが組み合わされた世界で、動員と消費に巨大な力を発揮してきた。「カッコいい」とは何かがわからなければ、20世紀後半の文化現象を理解することは出来ない。それは、人間にポジティヴな活動を促す大きな力!

裏表紙より

【感想】
 そういえば、「かわいい」という言葉は耳にしない日はないくらいだけれど、「カッコいい」って言葉は最近あんまり耳にしないような気がします。
 改めて「カッコいいとはなんぞや?」と質問されても、明確な答えを捻り出せる自信がありません。
 自分のことを振り返ってみると、表面的な「カッコよさ」に憧れてきたというか、縛られてきた世代なので興味深く読みました。
 本書は「カッコいい」という言葉の意味、歴史的背景、考え方や捉え方などについてたくさんの資料を元に、丁寧に解説されています。
 読んでいて気がついたのは、自分は「カッコ良さ」に憧れているというより、「カッコ悪さ」を恐れていたということ。全ての事柄について「カッコ悪い」「ダサい」と笑われたくないと常に身構えていたこと。
 一番心に残ったのは「カッコいい」=「痺れる感覚」。この感覚をいつまでも持ち続けていられるように、感性を磨き続けたいものです。

【まとまらないまとめ】

 いかがでしたか?
 そろそろ今年も折り返し。
 時間と気力があったら、「上半期ベスト5」なども挙げてみたいのですが…。
 今年もやっぱり甲乙つけ難い名作がたくさんで、なかなか絞りきれません。
 そして「夏の文庫フェア」を前に、標高を増すばかりの積読山脈!!
 …読書好きにとってこれ以上の幸せはありませんが、購入本や積読本の紹介記事は書かないでおこうと思います。
 それを始めると、それこそ本を読む時間がなくなってしまうので。

最後に
 読書っていいよね。


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