見出し画像

【読書記録】2024年4月21日〜4月27日

 みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
 人生のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。

 いよいよゴールデンウィーク到来!
 考えてみるとカレンダー通りフルに休みが取れるなんて、20年以上仕事をしてきて初めてかも。
 さーて何をしようか?
 天気も悪くないみたいだし、どこか旅行でもしようか。
 でも高いし混んでるし、なんか億劫だし…。
 結局いつもの休日のように読書に没頭して終わるんだろうなぁ。
 うん、それもまたよし。

 ということで、今週出会った本たちをご紹介。

【2024年4月21日〜4月27日に出会った本たち】

⚪️能面検事の奮迅

著者 中山七里

【内容紹介】
 学校法人に対する国有地払い下げに関して近畿財務局職員の収賄疑惑が! 大阪地検特捜部が捜査を始めるが、今度は担当検事による文書改竄疑惑が浮上する。相次ぐ不祥事に最高検から調査チームが派遣され、一級検事の不破俊太郎も特捜部の調べに加わることに――。どんな圧力にも表情を変えぬ<能面検事>が、事務官の総領美晴とともに難事件の真相を追う!

出版書誌データベースより

【感想】
 大阪地検の歩く職業倫理、何があっても表情ひとつ変えないことから「能面検事」と称される不破俊太郎の物語の第二弾。
 学校建設に伴う国有地払い下げに、議員と学校理事長が絡む贈収賄事件って、なんかどこかで聞いたような。
 そこに大阪地検特捜部の証拠書類改竄事件が絡み、その捜査に当たるのが東京地検特捜部のあの人。前半はなんだか話が難しくてちょっと難儀しましたが、多分それも中山さんの計算のうち。
 後半はグイグイきて、やっぱり最後はどんでん返し!不破さんはどこまでも不破さんだったし、中山さんはどこまでいっても中山さんでした。

⚪️選ばれない人

著者 安藤祐介

【内容紹介】
蜂矢徹郎、大学3年生。行動原理は超一流商社の内定獲得一択。いつもスーツ姿で誰に対しても敬語、友人の取捨選択は就活に有益か否か。周囲からは「就活ザムライ」とイジられているが、そんなのおかまいなしに、ひたすら就活一直線。ところが、ひそかに心を寄せる夏海の存在や謎のおじさんの登場で次第にペースが乱されていき……。自分が信じた道を突き進みながらも、どんどん空回りしていく徹郎の就活と恋の結末は!?

出版書誌データベースより

【感想】
 中学3年の夏からひたすら一流企業に就職することを目指して努力してきた大学3年生の蜂矢徹郎は、普段からスーツを着て、誰と話す時も敬語。いや敬語というよりは面接の受け答えのような話し方という強烈キャラ。
 とにかくこのキャラが濃過ぎて読み始めはだいぶ苦戦。
 就活の大変さや理不尽さをテーマにした物語かと思いきや、もう少し明るい感じの話で気楽に楽しめました。
 やっぱり同じ釜のメシを食った仲間、ゼミの指導教官や同じゼミ生、そして謎の聴講生であるおじさんの存在がとても大きい。
 ところでおじさんはあの後いったいどうなったのか…。

 そうそう、書影の下段に「『就活ザムライの大誤算』を改題」とあるけれど、こういう情報をちゃんと記載することって大事。…だと私は思います。

⚪️みとりねこ

著者 有川ひろ

【内容紹介】
猫の浩太は、桜庭家の次男坊・浩美とずっと一緒に過ごしてきた。三男猫扱いには不満だけれど、たったひとつの願いは浩美より一日だけ長く生きること。だから肉球はんこの練習にも日々余念がない。なんのためにって? それはーー。
表題作「みとりねこ」、『旅猫リポート』外伝2編を含む、7編、7匹の猫物語。

出版書誌データベースより

【収録作品】
ハチジカン~旅猫リポート外伝~
こぼれたび~旅猫リポート外伝~
猫の島
トムめ
シュレーディンガーの猫
粉飾決算
みとりねこ

【感想】
 有川ひろさんが様々な媒体で発表してきた「猫」小説を集めた短編集。
 有川さんの単著(小説)を手に取るのは約4年ぶり。中身はとにかく猫、猫、猫。猫愛に溢れた、猫愛が巨大な噴水のごとく溢れ出す物語群。
 特に2020年の4月、コロナ禍に始まった特別企画〝Day to Day〟の4月5日付けで発表された〝トムめ〟なんてもう、「親バカ」ならぬ「猫バカ」以外の何者でもないでしょう。
 「猫は犬に比べて情が薄い」とかいう人もいるけれど、この本を読んでいるとそうでもないのかなぁと。
 人間と動物は時の流れが違うから、どうしても最後は…ね。

 そうそう、猫愛に溢れた小説を読むと必ず思い出す曲があるんですよ。
 これねぇ。
 タイトルの意味がわかった瞬間にもう、号泣ですよ!

⚪️マンモスの抜け殻

著者 相場英雄

【内容紹介】
介護施設経営者が殺害された。容疑者となった友を救うため、警視庁刑事が走る。高齢化社会の絶望と希望を描く社会派ミステリー。

出版書誌データベースより

【感想】
 社会派作家の相場英雄さんが切る高齢者介護問題。
 主軸は介護施設オーナーの転落死事件。それに絡む40年前の子供達に起きたある出来事。高度経済成長期に誕生したニュータウンという名のいわゆる団地という生活形態。その当時最先端の暮らしを夢見た人たちは高齢化し…。「マンモスの抜け殻」とは、実に上手い例えだと思います。
 主要登場人物のひとり、投資家の環が想像した新しい介護の世界は、認知症の高齢者というよりはいわゆる介護予備軍の高齢者を想定しているようで、なんだかリアリティに欠ける気もするけれど、深刻な問題なのは間違いない。

⚪️プリンス

著者 真山仁

【内容紹介】
 軍事政権下の東南アジアの国から日本に留学したピーター・オハラは、大学で政治活動に情熱を注ぐ犬養渉と意気投合した。父・ジミーが祖国の民主化に向け、大統領選に出馬することを知ったピーターは、父の選挙を応援するため、渉とともに帰国する。しかし、人々の期待を一身に背負ったジミーが、凶弾に斃れてしまう。ジミーの遺志を継いだピーターと渉は、大国の思惑による国際政治の残酷な現実に対峙していく――。

出版書誌データベースより

【感想】
 参考資料から察するにミャンマーと、1980年代のフィリピンをモデルにした東南アジアの小国・メコン共和国が舞台の政治小説。
 テーマは民主主義とは何か。単なる国内の権力闘争に留まらず、希少価値の高い鉱山資源を獲得しようとする米英中などの水面下の争いは実に醜いというか、そんな大国の思惑に振り回される小国の辛さを思い知らされました。
 日本人の大学生の渉は、民主主義の大切さを唱えるも、現地に足を踏み入れて自分の考えの甘さを思い知らされます。
 最後は希望を感じさせる終わり方だったけれど、大国がこのまま引き下がるとは思えないので、大変なのは多分これから。

⚪️逆玉に明日はない

著者 楡周平

【内容紹介】
 日本屈指の商社に勤める是枝昭憲は、駐米中に総合食品メーカーのオーナー社長・堂面乗定の長女・三津子と見合いし、結婚。三津子は無事に息子を出産。それが苦難のはじまりだった。生まれた息子は堂面家の跡取りとして乗定の養子に。昭憲はペットフードの異物混入事件がもとで離婚。堂面家追放。異物混入事件は嘘だったが、それが現実となり食品メーカーに危機が。それを機に三津子の妹たちの協力で昭憲の反撃が始まる!

出版書誌データベースより

【感想】
 主人公は商社マンの是枝昭憲。ある日彼は上司のススメで、同族経営の総合食品メーカーの社長・堂面家の令嬢とお見合い。
 話はとんとん拍子に進み結婚しこれから夢の逆玉生活!…と思いきや、生まれた子供は跡取りとして養子に取られ、離婚させられ、ある事件のでっち上げによりあっという間に会社を追われるという昼ドラ展開。
 後半は関連する赤字会社に飛ばされた是枝が、新たな仲間たちと協力しての反撃!
 前半の最後あたりから登場する堂面家の次女・華子のキャラがとにかく強烈。この華子と是枝のやり取りが軽妙でまるで低予算深夜ドラマのよう。
 リアリティよりはエンタメ性を追求した快作でした。

⚪️エンド・オブ・ライフ

著者 佐々涼子

【内容紹介】
 「命の閉じ方」をレッスンする。
200名の患者を看取ってきた友人の看護師が病を得た。「看取りのプロフェッショナル」である友人の、自身の最期への向き合い方は意外なものだった。
残された日々を共に過ごすことで見えてきた「理想の死の迎え方」とは。
在宅医療の取材に取り組むきっかけとなった著者の難病の母と、彼女を自宅で献身的に介護する父の話を交え、7年間にわたり見つめてきた在宅での終末医療の現場を静かな筆致で描く。
私たちに、自身や家族の終末期のあり方を考えさせてくれる感動ノンフィクション。

出版書誌データベースより

【感想】
 2013年から2019年にかけて取材してきた在宅医療の現場を綴ったノンフィクション。
 そこには在宅医療の厳しさや暖かさそして難しさ、システマティックにならざるを得ない病院と現代医療の問題。医療や介護に携わる人々の素質や心構え、人生の幕をどういう形で引くかなど色々なテーマが盛り込まれ、一言で感想を述べるのは難しい。
 特に佐々さんのお母さんが入院した時の病院の対応には頭を抱えたくなりました。
 単行本は2020年刊行。一貫して人の命をテーマに取り上げてきた佐々さんが、現在脳腫瘍の治療中というのがなんだかとても切ない。

【まとまらないまとめ】

 いかがでしたか。
 今週は、政治、経済、就活、介護など様々なテーマの小説を6冊、そして命の閉じ方を考えさせられるノンフィクションを1冊。
 特に佐々涼子さんの〝エンド・オブ・ライフ〟は、なんとなくゴールが見え隠れし始めた世代の自分にとっては、身につまされるような本でした。
 例えば自分が明日死んだとして…。
 とりあえず家族がしばらく食べていけるお金は残すことができる。
 子供も大きいし、パートナーも強い人なので心配なし。
 仕事だって、自分がいなきゃ回らないということはない。
 ひとつ気になることがあるとすれば、1000冊以上溜め込んだ本たちの未来。
 捨てるのはもってのほかだし、かといって近所にある全国チェーンの古書店に二束三文で買い叩かれるのも、なんかちょっと。
 さぁどーしよ。
 こりゃ、本の嫁ぎ先が決まるまでうっかり死ねないや。

最後に
 読書っていいよね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?