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『GAME』フィギュアの型取り備忘録(必要な道具編)


はじめに

『江古田のまちの芸術祭』では第一回(2020年)と第三回(2022年)にレジンキャストの作品を出展したのだが、第一回の時のノウハウは第三回の製作時、半分くらい忘れてしまっていて大変苦戦した。
そこでここに備忘録も兼ねて第三回出展作品『GAME』の型取りについて解説したいと思う。
(私自身大学時代に嫌という程石膏取りをやってきたのですが、レジンキャストは芸術祭出展作品の2回しかやっていない素人なので間違った情報の記載や危険行為をしている可能性も大いにありえます。もしそうした事が書かれていましたらお手数ですがコメント欄にてご指摘いただけると幸いです…。)

注意!

換気と防毒マスクの装備を徹底してください!
飲食物が置いてある部屋で絶対に作業しないでください!
これらができない環境の場合は残念ですがレジンキャストをしないほうがいいです

必要なもの


安全のために必要なもの

マスク(防毒)

防毒マスクは絶対に買う事。揮発した主剤と硬化剤が空気中で混ざって出来る微細な樹脂の粉を吸い込むと肺に蓄積され、それが治らない病気を発生させる恐れがある。なのでその対策として、防毒マスクは絶対に必要だ。

トレー

百均で購入。樹脂をこぼしたり作業スペースを汚したりするのをある程度防ぐのに使う。
樹脂を扱う作業(樹脂の混ぜ合わせや流し込みなど)はトレーの上で行うように常に徹底する。新聞紙や養生テープで養生しておくと汚した際の処理が楽。
大きさは作業スペースに合わせて選ぶ。深さはあった方がいいが深すぎると作業しづらくなる。道具置き場用、作業スペース用などに複数持っておくといいかもしれない。

新聞紙・チラシの紙

作業スペースの養生に使う。念には念を入れて二重に敷いておくと安心かもしれない。樹脂は硬化の際に高熱を発するので、燃えないように樹脂のついた紙を捨てる際はある程度時間を置いてから捨てた方がいい。

滑り止めマット

百均で購入。滑って落とすという事故の防止に使う。下敷きに使う紙の材質によっては特に滑りやすくなるのでマットは重宝する。

ゴム手袋 ☆使い捨て

百均で購入。ゴム手袋には色々あるが個人的には園芸用の厚手のものがオススメ。
使えば使うほど樹脂が付着してだんだん滑りやすくなってくるので、そうなったら迷わず新しいものに交換する。
目安として大体20回前後複製をしたら使い物にならなくなるので、いくつぐらい複製するかで購入数を決めよう。一つ多めに買っておくと安心かもしれない。

原型

ビックリするほど細かなところまで(接着剤を塗った跡までも!)複製されてしまう為、原型は気になる所が無くなるまで入念にチェックしてから型取りに望もう。
本当はサーフェイサーを吹いてチェックするのがベストなのだが、住環境によってはできない場合も多い。
素材は硬いもの、もしくは硬くなるもの(パテや石粉粘土など)がいい。
油粘土や水粘土で作った場合は一度石膏に置き換えてからシリコン取りをした方がいいのかもしれない(第一回の時はそうして作った)。
原型は乾燥を忘れずに!

シリコン取りで使うもの

シリコン

2kg入りのシリコン樹脂でギリギリ2つ型を作る事ができた(原型の大きさは11cm×3.3cm×2.7cm)。
なるべく使い切ったほうがいいので、適切な量のものを買う事。もし、かなり余ってしまったら二つ目の型を作っておくと複製の効率が大きく上がる。
硬化剤と混ぜるのに時間を使いすぎると原型に垂らしている最中に固まり始めてしまうので、混ぜるのは30秒ぐらいがいいのかもしれない。
あと、いっぺんに流し込まずに数回に分けて流し込んだ方が安全だった。特に最初原型に垂らし込む時は慎重にやらなければならないので多く作らない方が無駄が少なくて済む。

電子はかり

必ず0.1グラム単位の計量ができるものを買うこと。
少しぐらいなら問題はないが、計る部分に樹脂がつくとなかなか取れなくなるので、使うときはサランラップで養生しておくと安全だろう。

油粘土(おすすめ:ほいくねんど)

シリコンを流し込む時の土台に使う。
「ほいくねんど」という商品がおすすめ。東急ハンズの型取りコーナーにおそらく置いてある。柔らかく、切り出しやすく、型離れが良い。できた土台に離型剤も塗っておくとベスト。

ブロック玩具(おすすめ:Mr.型取りブロック)

粘土を囲む仕切り壁に使う。
木枠を組む人もいるらしいが、ブロック玩具で囲いを作るのがやりやすい。
シリコン取り専用の『Mr.型取りブロック』が定番だが百均のブロック玩具でも行けた(経験談)。ただ百均のものは小さいので大きい型を作ろうとしたら結局高くつくかもしれない…。
紹介した二つのブロックはどちらも精度に若干の難があり、隙間ができやすいので囲いの外側を養生テープで養生しておくと安心かもしれない。
内側には離型剤を少し塗っておくとシリコンのカスの処理が楽になる(特に百均の方)

粘土を延ばす棒

土台はなるべく平らでツルツルになるように作りたい。そうなってくると粘土を伸ばす棒はキッチン用の麺棒よりも塩ビパイプのようなものの方がいい。木製の麺棒で粘土を延ばすと粘土に木の跡がびっしりついてしまう(経験談)。それでも型取り自体は問題なくできるが、ツルツルの方が型を外しやすいのかもしれない。

カッター

土台を囲いの大きさに合わせてカットするのに使う。切って嵌め込んだ後は土台と囲いの隙間を埋める事(シリコンが漏れてしまう為)。

プラ棒

湯道(フィギュアに樹脂を流し込む為の道)を作るのに使用。径が太いと樹脂の流れが早くなるがその分樹脂の消費量が多くなる。細いと樹脂の節約になるが流れが遅くなるので、フィギュアの大きさやパーツ数によっては最後までたどり着く前に固まってしまう。慣れないうちは若干太い径のものを使うと安心かもしれない。
模型店で売っているし、プラモデルのランナーをカットして調達してみるのもいい(HGガンプラのは大体3~4mm径)。
液漏れ防止用に型の端の方にコの字形に配置する場合もあるらしいが、まだやった事がない…(その際は角形の棒を使うらしい)

粘土にダボをつけるのに使う。押すところが平らだったらなんでも大丈夫。私は部屋のペン立てに刺さっていた鉛筆を使った。
なるべくたくさんダボをつけておくと型ずれ防止になる。ただ押した分周辺の粘土がほんの少し盛り上がってしまうので大事なところ(原型や湯道)のギリギリをかすめないように。浅すぎず深すぎずを心がける事。

離型剤(おすすめ:Mr.シリコーンバリアー)

以外と消費が激しい。特にワックスみたいなタイプは気づけばすぐなくなる。
新宿のヨドバシカメラで買った「Mr.シリコーンバリアー」という離型剤がすごく使いやすかった。
シリコン取りの際、絶対に原型には離型剤を塗らないで!

割り箸 ☆使い捨て

シリコンと硬化剤を混ぜる時と、シリコンを原型に垂らす時に使う。
シリコンの量が多い時は割らずに使った方が混ぜやすかった。

カップ ☆使い捨て?

シリコンを移し替える容器。紙コップかプラスチックのコップか、使う量によっては大きい計量カップでもいい。紙コップは湿気を微量含むから避ける人もいるが、個人的には潰して捨てやすいから紙コップの方がいいかもしれない。
レジンキャストの際にも使うのでそれも見越したサイズの使い捨てコップを買うといいだろう。
流したシリコンが今どれだけ固まっているかの目安になるので、使い終わってもすぐには捨てない方がいい。
固まったシリコンを剥がせば再利用できる。

彫刻刀(丸か角)

シリコン型が完成した後で使う。プラ棒を置いただけでは湯道は繋がっていない。なのでそれらをつなげる為に彫刻刀で彫る必要がある。また、樹脂を流してみてどこかで詰まっていたりだとか湯道が細すぎるなどして流れ切らなかった場合は彫って湯道を広げてみると解決する場合も多い。
百均だと単品で売っているので便利。

レジンキャストで使うもの

レジンキャスト

今回は2kgのものを購入。色は白・アイボリー・透明(少し高価)があるが着色したかったので白を購入した。
2kgで11cm×3.3cm×2.7cmのフィギュアを45個前後(テスト含む)複製できたが、無駄を切り詰めればあと5個ぐらいは作る事ができたかもしれない。(…という事を目安にしてください)
古くなると缶を開けるのが困難になる為、一つの作品で一セット使い切ったほうがいい。作りたい個数から逆算して買う量を決めるのがいいだろう。
缶から直接カップに移すのはこぼす危険もあるし細かな量を出せないのでやらないほうがいい。スポイトを使うなどして移し替えよう。

電子はかり

必ず0.1グラム単位の計量ができるものを買うこと。
少しぐらいなら問題はないが、計る部分に樹脂がつくとなかなか取れなくなるので、使うときはサランラップで養生しておくと安全だろう。

樹脂を混ぜる棒

レジンキャストを買うとついてくる棒(板?)がすごく使いやすい。なければプラスチックのヘラを買おう。数本あると作業効率が上がる。

離型剤

シリコン取りと同じ。複製をする度に塗っておいた方が安心かもしれないが、完成品の造形が甘ったるくなるのかもしれない…。

刷毛(はけ)

茶色っぽい色の刷毛はやめたほうがいい。刷毛の抜け毛が型に残留しているのに気づかず流し込みをしたらフィギュアの中に毛が!!という事があったからだ。

カップ ☆使い捨て?

紙コップかプラスチックのコップが定番。紙コップは湿気を微量含むから避ける人もいるが、個人的には潰して捨てやすいから紙コップの方がいいかもしれない。
主剤と硬化剤で別々のカップに取り分けるのは当然であるが、それらをどうやって混ぜるかは人によって違う。混合用の3つ目のカップを用意する人と主剤のカップに硬化剤のカップの中身を直接入れる人と2パターンあると思うが、個人的には工数が減るので後者(工数が減ればその分事故のリスクが減ると思った為)。
カップに残ったレジンの固まり具合で型を開けるかどうか判断しよう。

大きいスポイト ☆使い捨て

このぐらい大きい!

ダイソーで購入。レジンの主剤と硬化剤を缶からカップに移し替えるのに使用。
思いつきで買ったのだが、これが大正解だった。
直接移し替えるのに比べて液漏れもかなり少なくなったし0.1g単位での移し替えもかなり楽にできた。
主剤専用と硬化剤専用の二つ入手して、絶対に混ぜないこと。どっちがどっちだか分からなくなりがちなので、色付きのガムテープや養生テープ等を液の浸からない所に巻いて目印に。(一応、AとかBとか書けばさらに安心)
スポイトの素材がそこまで樹脂に対して強くない為、型取りの度に新調したほうがいいと思う。

じょうご(漏斗)  ☆使い捨て?

キッチン用の小さいものを使用。レジンを型に流し込みやすくなるのと、液が出口まで上がりきらない場合の対処法として使う。
型の流し込み口に差し込んで高さを上げる事により液の圧力を高める事ができる。
それによって液が型の出口まで上がるようになるのだ。
一度使うとレジンが付着するので使い終わったらその都度レジンを頑張って剥がして使おう。型の個数分だけあると効率が上がる。

木の板

百均で購入。型の外側に二つの板を挟んで輪ゴムで縛ると、輪ゴムの力が分散されて型が歪まなくなるそうだ。
型の大きさによって適切な大きさのものを購入する。
ベニヤよりもMDFの方が重くて安定するし反りも少なく使いやすかった。
正方形のMDFをテープで繋いで使ったが、継ぎ目の所で少し折れたりするからあまりオススメできない使い方かもしれない。(できれば大きい素材を適切な大きさにカットして使いたいがノコギリを使うのは大変…)
テープで養生しておくと剥がすだけでくっついた樹脂の処理ができて便利。

太い輪ゴム ☆使い捨て

百均で購入できるが、ホームセンターで買うほうが一つあたりの単価が安いらしい。
型を縛るのにたくさん使うし、2~3重巻きぐらいでかなりきつく縛らなければならない。なのですぐに伸びきったりちぎれたりしてしまうのでその都度新品に交換…とやっているとかなりの量を消耗する事になる。
これは避けられない事なので、輪ゴムはできるだけ多く買っておいた方がいい。買いすぎても次に活かせるので無駄にはならない(ただし経年劣化に注意)。

その他、あると便利なもの

スパチュラ

完成したフィギュアを手直しするのに使ったりするのはもちろんのこと、じょうごや木の板などに張り付いてしまった樹脂のカスを取り除くのにも重宝する。

紙と鉛筆

使用する樹脂や着色料の量の計算など、型取りが軌道にのるまではメモを取ることが多いので、できれば咄嗟にメモを取れる場所に置いておきたい。鉛筆だと薬品の影響を受けづらい(多分)のでおすすめ。

ワイヤレススピーカー

同じ作業を延々と繰り返していると時間の感覚もなくなるし精神的に参ってしまうかもしれない。そんな場合は何か音楽を流してみよう。私はこれのおかげで不意にカラオケをしなければならない局面を切り抜けました。(関係ない自分語り)(うまいとは言っていない)


ここまで必要な道具について書いてきたが、あまりに長い記事になってしまったので作業の解説は別のページにて作成します。最後まで読んでくださりありがとうございました。


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