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居合練習刀 ZS-103

●居合刀が必要になったきっかけ

最近、ある出来事をきっかけに居合道を始めることになり、練習で使う居合刀を探すことになりました。

未だどの様な基準で居合刀を選べば良いか模索している最中ですが、有名メーカー製の本格的なものは受注生産で納期が1ヶ月以上必要な為と練習日程の関係もあり、まずはAmazonレビューで評判の良い「居合練習刀 ZS-103」を入手しました。

●各部の詳細

光沢のあるメッキ仕上げに加えて刃紋が再現された刀身部分は磁石の付かない合金でできているようです。見た目以上に重量感があります。

キッチンメーターで重量を計測した所、鞘を抜いた状態で887gでした。通常サイズの木刀と比べると遥かに重い。

流派によって基準は違うようですが、刃渡71.2cm(約2.35尺)は私の身長からするとちょうど良いよう。

柄長は標準的な長さの24.5cm(約8寸)で純綿黒糸が巻かれています。

柄糸で覆われ少し見にくいですが、玉を掴んだ龍の目貫が表裏2箇所についています。

柄は木刀と比べると全体的に細く、柄巻きによる凸凹と、適度な柔らかさで握りやすいです。また、吸湿性もありそうで練習で手が多少汗ばんできても滑りにくいように思えます。

チラリと見える表面がザラザラで紙やすりのような鮫皮の部分は、握ると痛そうですが実際は手にほとんど触れません。

実際に握って刀を振ってみると、柄の意匠を含めた作りは、装飾だけでなく機能的にも優れたものであることを実感できました。

刀身と柄を固定する役目を持つ竹製の目釘は斜めに打ち込まれています。これには鑑賞用途だけではなく実際に振って使う上での強度を確保する目的もあるようです。

鍔は金属製で立体的な造形をした鯉がいらっしゃいました。

鍔と柄糸の間にある部品、縁にも凛々しいお顔の龍がいらっしゃいます。

鍔には鯉と一緒に水の模様もあり、鍔を水面に見立てそこから龍が立ち昇るストーリーとなっているように思えます。

他に柄頭にも眼光の鋭い龍がいらっしゃいます。こちらは雲の中にいるようです。

合計3箇所に龍のモチーフを取り入れており、この刀はどうやら龍をテーマとした拵えのようです。

もしも、この居合刀に四大元素に基づく属性があるとすると、きっと水属性となるのでしょう。

●龍について

子供の頃、龍は当時知識の中にある幻想の動物の中では一番かっこ良く思えており、聖闘士星矢のキャラでは紫龍が好きでした。

廬山昇龍覇を真似たことは数知れず。

大人になってからはオカルト好きな為に、人が畏怖すべき自然の象徴でもある龍と刀剣の形状をした金属、さらに水の属性等の要素を建築的な配置と共に用いて、ある種のエネルギーに方向性を与え特定の場所や人に影響を与えれないかとか、ついつい考えてしまいます。

順番としては先人の方々が作成し既に稼働している概念やシステムが、風水や家相の構成要素としてあるので、それらを学んでからですね。

少し居合刀から脱線しましたので話題を元に戻します。

●はばき周りの作り

はばきと切羽は金色。はばきは光沢の具合からするとメッキ仕上げでしょうか。

はばき近くの刀身幅、元幅を計測すると29.8㎜、重ねの厚さは7㎜、中央付近の最も鎬の高い場所では7.3㎜です。

鍔、切羽、はばき、刀身は隙間なくしっかりと組まれており、激しく刀を降ってもぐらつきやきしみはありませんでした。

居合練習刀の刀身は鋼を用いた真剣とは違い、合金製です。また、何かを斬る為の刃は付いてはいません。

合金製と言えど切先をはじめ刃の部分は鋭利で、物を傷付けたり刺さりやすい形状になっており、取り扱いには十分注意が必要です。

鞘に関して、現物を手にする前は価格から考えてプラスチック製かと推測していましたが、実際は木製でした。これは嬉しいポイントです。

鞘の表面は艶が少なめで表面に小さい凹凸のある黒石目という仕上げ。鞘に巻かれた黒い紐、下緒は標準で付属しています。下緒は流派毎に使い方があるようで、どれか正しい間違いと言う訳ではないようです。

刀を鞘に納めた状態でどの面が正面になるのかわかりにくいのですが、各所の龍のお顔の向きから考えると上の画像の向きが刀の表、正面なのかもしれません。

刀の入り口、鯉口は鞘本体とは別素材のように見えました。

小尻は装飾を省いたシンプルな仕様。

素材の質感から、ここも鯉口同様木製ではないのかもしれません。

他にも鞘にはシンプルな栗型が付いています。標準で下緒もついているので、刀を振るだけではなく抜刀や納刀動作の練習にも居合練習刀ZS-103 の鞘は利用できそうです。

写真を撮影し忘れましたが、紫色の収納袋が付属します。

稽古場所までの運搬等で持ち歩く際は、この袋に入れた上で別に準備した収納ケースに入れます。

全体を見渡してみると、派手な意匠や個性を主張する様な意匠は用いず、誰にも受け入れられやすいシンプルな構成として、コストを抑えつつも居合刀として必要な意匠と強度を確保しているように見えました。

●使用感

居合刀を手にしてまず感じるのは、合金ではありますが金属製の刀身によるずしりと重い重量感。鞘を抜いても標準的な木刀の約1.5倍の重量。

なので、木刀と同じ感覚で振ると振り終わりに身体をガクンと持っていかれそうになります。

身体が持っていかれるのは私の振り方や身体の使い方が未熟なせいもあるとは思いますが、私のような初心者が振っても木刀とは全然違う使用感が体験できます。

同じ位に重量のある木刀を振った時の感触とも大分違い、これは居合刀の柄の形状による握りやすさの違いや、刀の重心位置の違いによるものかと考えます。

気になったのは、鞘に刀を納めた状態で柄を下向きにすると自重で刀が落下してしまう点。

模造繋がりの別ジャンルでは、操作により構成部品の一部が自重で落下する事が非常に好まれる場合もありますが、居合刀では違います。

原因は鯉口で、この個体では緩めに思えました。

これが「仕様」もしくは、「価格なり」と言われればそれまでですが調整をして自重で落下しない状態で使いたい所です。

●まとめ

受注生産品と違い刀身の長さは選択できませんが、既製の居合の練習に対応した模造刀の中では比較的価格がリーズナブル(18000円位)で入手しやすいことがZS-103の利点でしょう。

他の模造刀や、美術刀までを含めると価格面ではもっとリーズナブルな製品もありますが、居合の練習での利用を考えると、耐久性と安全性の面からZS-103は適していると思います。

金属製の重い刀身を活用して木刀を用いた素振りよりも負荷を増やしたい時や、鞘を用いた抜刀や納刀動作を通じて身体の使い方を練習したい時などに居合刀は向いていると言えます。

もちろん、木刀には木刀の良さがありますが、木刀を用いた練習とは一味違う身体と心への作用を居合刀を用いた練習では体験できそうです。

●上位バージョンはZS-105

ZS-103 には上位バージョンのZS-105があります。
NOTEの記事はこちら

ZS-105の刀身には樋がある他、刃渡と全長が少し長くなっています。

●最後に

居合刀を用いて本格的な居合に取り組む場合は勿論、自主練習をする場合でもできれば先生や経験を積んだ方から、作法を含めた刀の取り扱い方を学んだ上で練習をしていただきたいと思います。

事故や怪我の防止、屋内で練習した際の床や壁、天井のシーリングライトの損傷防止にも繋がります。

以上、居合練習刀 ZS-103のレビューとなります。





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