朝俳句 -2022.08

08/01 舐めあった傷の甘さの暑気払
08/02 炎昼にすれ違うのはすべて死者
08/03 過ぎる日を閉じこめて咲く百日草
08/04 プールの水を叩き割るギャングエイジ
08/05 それにしても昆布の緑の豊か
08/06 見えないほうの星を思う原爆の日
08/07 秋立つや誰もに一度はあるデジャヴ
08/08 回想の中までやわらかな冬瓜
08/09 愛される証拠を数えても秋暑
08/10 生きていく理由で揺れる草の花
08/11 星型の訳は言いたくないオクラ
08/12 初風が希望を飛ばしそれっきり
08/13 盆路で忘れられない人と会う
08/14 鬼の子は頷くように揺れるだけ
08/15 sin,cos,tan どれも流星
08/16 轡虫ぼくらは話すのが苦手
08/17 秋茗荷本性は人の数だけある
08/18 四分休符のように生きたい草虱
08/19 なんでもない顔にほぐされる秋鯵
08/20 秋陰の心に挟みこむ栞
08/21 許しとは許さないこと御山洗
08/22 秋出水連打しているコンティニュー
08/23 とまり木を失くして薄い処暑の空気
08/24 法師蝉もはや言ふべきことも無し
08/25 山芋も俺も擦り切れて変わる
08/26 透ける血の色を感じる秋初め
08/27 刀豆の切れ味で剥き出しの愛
08/28 オペラ座の怪人を待って浴びる朝霧
08/29 サルビアはひとりで燃えてかわいそう
08/30 性欲の兆しが去って秋の昼
08/31 石叩きいいふりこきはもうやめる

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