朝俳句 -2022.09

09/01 適切な孤独を見つけ休暇果つ

09/02 野葡萄や余韻としてのキスの痕

09/03 秋手入あなたは黙るのが得意

09/04 秋涼しすれ違うのは未成年

09/05 梨売の  それ以外何も知らない

09/06 爪紅がタンゴのように揺れる夜

09/07 永遠になれないうちに来る白露

09/08 天国のドアは南瓜の硬さらしい

09/09 鰯引く手にはこれでもかと傷が

09/10 残るものだけを数えて待つ厄日

09/11 テヌートで演奏される秋桜

09/12 台風に飛び込みたい、と寝物語

09/13 痛みまで稲掛が乾かすなんて

09/14 虫時雨途切れ途切れになるラジオ

09/15 この町の空欄を埋め秋祭

09/16 小鳥来る忘却はヒトの特権

09/17 憧れを暴かれてなお灯の親し

09/18 吐き出した怨嗟を糸瓜の水が解く

09/19 情事とは簾名残の不適切

09/20 おまえの瞳孔へ嵌め込む黒葡萄

09/21 傷が痛い 十五夜のせいだ

09/22 鱗雲のとおりに作る心模様

09/23 秋分に噛むカルパスが成す血肉

09/24 ちちろ鳴く暇を暇だという贅沢

09/25 グリッサンドの鍵盤から千草

09/26 まだ夜の女王の顔でラ・フランス

09/27 慟哭の振幅として彼岸花

09/28 秋澄むやidolに偶像の意味

09/29 民話から神話へ変わる猿茸

09/30 哀れ蚊よ死は光年の距離で来る

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