04/01　空が青すぎて困った万愚節
04/02　死人とは話せずじまい春の波
04/03　陽炎と最終楽章で待つよ
04/04　青麦のひとつひとつが君で　困る
04/05　清明の窓のすべてへ火を灯す
04/06　菜の花も警告色を少し抱く
04/07　初虹はおまえのたましいからできた
04/08　頭上には果て無き銀河仏生会
04/09　逃げ水の手前でもつれてしまう舌
04/10　黒塗りの箇所も照らしている遅日
04/11　蒲公英は黙って増えるからこわい
04/12　散る桜「やさしい」は褒め言葉じゃない
04/13　春雨が洗う世界に生きている
04/14　沈黙という声もある葱坊主
04/15　思ったより自分できちんと生きて目刺
04/16　自らの看取りはできず竹の秋
04/17　籠もるべき繭を見つける春の風邪
04/18　輪郭を失う蛙の目借り時
04/19　輩の声とよく似て山笑ふ
04/20　そのままで素晴らしいはずの穀雨
04/21　草若葉あどけなさまで武器にして
04/22　蝌蚪蝌蚪蝌蚪わたしはひとり蝌蚪蝌蚪蝌蚪
04/23　我々も山葵も水であった頃
04/24　遠足ができる事実を抱き締める
04/25　百千鳥にまぎれたい？　はい／いいえ
04/26　あとはもう茶摘が青いだけの生涯
04/27　雀隠れにうずくまる休診日
04/28　人混みを細魚になって泳ぐ頃
04/29　文頭の一字空けになる朧月
04/30　ユニゾンへ応じるように緑立つ