2019/2/9

朝、カーテンをあけたら細かい雪がさらさらと舞っていた。小さな粒ひとつひとつが太陽光を反射するのだろうか、白く光ってまぶしい。地球に届く無色の太陽光は上空で空気の粒に散乱され、青い空になる。なんとなくそういう、見えるものと見えないものの関係について考える。東京では今年二回目の降雪だそうなのだけど、前回は寝坊して見逃したので私にとっては初雪である。

上野の駅中のチェーン店に入り、窓際の席に通され昼食をとった。二ヶ月ぶりに会う友人が楽しそうに窓を眺めている。窓の外には相変わらずさらさらと白い斑点が流れている。連休の初日だというのに、週明けの仕事が休みにならないかしらと夢想しているらしい。差し込む光はやはり白く、横顔が映えていたのでこっそり写真を撮った。盗撮まがいのこういった写真は本人に送りつけることも躊躇われ、ただただカメラロールに溜まってゆく。たまに見返すと楽しい。店員が絶え間なく水のピッチャーを抱えて客席の間を縫うように歩いており、飲んでは注がれ、飲んでは注がれ、食後もなかなか店を出るタイミングを掴めず可笑しかった。

店を出るともともと強くなかった雪脚はさらに弱まっていた。傘がないので髪やコートに降った雪が解けてしっとりとしてくる。「気温ほど寒く感じないね、雪のせいかな」と友人が言う。普通逆じゃないの、と思って首をひねる。楽しそうだからまあいっか。人とみる初雪は悪くなかった。そう日記に書いておこうと思った。

バイトへ向かうために電車に乗り込む。友人はホームから手を振ってくれている。やっぱり光が差し込んでいる。愛嬌!人のことを思わず美しいとか可愛いとか感じることに罪悪感を抱かなくて平気な瞬間も世の中にはあるのだ。初雪の日なんかはね。

#日記 #エッセイ

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