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第40回『サントリー1万人の第九』

1983年より大阪城ホール誕生記念として開催され、今年で40回目になった『サントリー1万人の第九』。

かつて山本 直純さんの指揮だった時代に、一度だけ舞台上のオーケストラの後ろで、合唱団の一員として参加させていただいたことがあった。
その他大勢であっても、巨大なホールでの拍手の嵐はとても気持ちの良いものだった。

今年は2,000人だけ、合唱団の募集をしていたのを発見した。
一緒に歌って合わせなければならない合同練習を考えると、開催側は今年もかなり悩まれたに違いない。

仕事が終わった後に練習に駆けつければ歌えるかも、と思って応募してみたけれど、残念ながら落選。
今年はご縁がないものと思っていたけれど、40回目の今回は、ジャンルを超えたまさかの豪華ゲスト!!
初めて観客として、参加させていただくことにした。


1999年から『1万人の第九』は、ずっと佐渡 裕さんが指揮を担当。『ウエストサイド物語』の音楽で有名なレナード・バーンスタイン氏の弟子で、世界的に最も有名な日本人指揮者のひとり。

かつて佐渡さんは、バーンスタインの意思を継ぎ、日本の子どもたちのために『ヤング・ピープルズ・コンサート』を毎年開催してくださっていた。
10年程前に我が家は毎年聴きに行っていて、子どもたちが贅沢なオーケストラの音にふれることができた、貴重な思い出となっている。

毎回演奏終了後には、子供たちにサインをして一緒に写真を撮ってくださった。
サービス精神旺盛な親しみやすさがあって、有名なマエストロになってもその雰囲気は変わらない。

今回は大好きな佐渡さんと、世界的な飛躍の勢いが止まらない角野 隼斗(かてぃん)さんとの初めてのコラボ。
それも『ラプソディー・イン・ブルー』を聴けるということで、想像するだけでワクワクが止まらない!
また世界的なギタリスト、布袋 寅泰さんの生音を聴ける機会を与えてくださったことにも、感謝しかない。

【第1部】

まさかの、映画『キル・ビル』のテーマ曲演奏からスタート!
ロックなスタートなのになぜか、最初から涙腺がゆるんでしまった。
演奏者全員の音楽を奏でられる喜び、が伝わってきたのかもしれない。

そして布袋さんは佐渡さんと年齢・身長・血液型が同じ!というお話しの後、第九の演奏にも布袋さんが参加しているとのことで、頭の中で『どんな感じに?』と想像を膨らませていた。
さらに贅沢にも『BE MY BABY』『バンビーナ』など3曲続けて演奏。
会場内は『1万人の第九』とは思えない、ロックな雰囲気に包まれた。

次に角野 隼斗さんが登場。
今までは演奏中継での音のズレが課題となっていたけれど、今の技術でそれがなくなった実験を実際にしてみる。
リモートのほうがリアルよりも音が速い、との角野さんの説明が専門的になっていき、よく考えるとわけがわからなくなってきて、『いじめないで~』と言う司会者・ジャニーズWEST小瀧さんに、『東大出しちゃいました?』と返す角野さん。(※角野さんは東大情報理工学系研究科卒)

このあとは、佐渡さん指揮、兵庫芸術文化センター管弦楽団とのコラボ『ラプソディー・イン・ブルー』
前回聴きに行ったコンサートでは吹奏楽との演奏だったので、オーケストラとの生演奏を聴くのは初めて。

今回は大阪城ホール、アリーナでも後方だったため、少し心配していた。
でも前方設置の大画面が一緒に目に入り、映し出される角野さんの手元や表情、オーケストラのソリストの方々のアップも見ることができ、大ホールならでは、の感じを楽しむことができた。
(YouTubeに映像をアップしていただき、ありがとうございました!)

角野さんのは、さらにキレッキレ度を増しているようで、一つ一つの明確な音がグルーヴを作っているようだった。
そして今回も確信犯的に、そっと鍵盤ハーモニカを演奏途中に取り出し、器用にピアノ演奏と溶け込ませる。
大ホールでもやはり全観客が、動くことも忘れ演奏に集中している様子。

きっとこの方は毎回毎回、新しい挑戦を見せようとしてくれているのだろう。自由な演奏でピアノソロ部分もたっぷり聴かせ、『ラプソディー・イン・ブルーってこんなに超絶技巧の曲だったっけ??』と、あぜんとなりながら聴き入る。

おなじみのラストに戻ってきた時には、ピアノと佐渡さん指揮の兵庫芸術文化センター管弦楽団の音がひとつに合わさり、音楽の喜びが伝わってきてまた涙・・。
まさに『ブラボー!』な演奏だった。

【第2部】 

少し眠たくなることもある(?)第1~3楽章の演奏と思っていたら、オーケストラの前にドラム、ギター演奏者と布袋さんが並んでいた。
なにかすごいものを目撃しようとしている?
エレキで始まる第一楽章? 
前代未聞の、ここでしかない新しい交響曲第9番

まさに新しい時代!が来たことを感じる演奏だった。
ロックもクラシックも、音楽のジャンルがない、こうでないといけない、もない新時代を目撃していることがうれしすぎて、またまた涙・・。

そしていよいよ、第4楽章「歓びの歌」

2,000人の合唱団の皆さんは、スタンド席にひとつずつ間隔を置いてスタンバイ。ネックファン(上向きの扇風機がついたもの)を首にかけている。
(これだけ広範囲に離れていると、まわりの声は聞こえにくくて、ちょっと不安かも・・。)

右手スタンドから、懐かしいアルトパートが聴こえる。
私も覚えているところだけ、マスク内でパクパク口を動かして少しだけ参加⁉
練習を重ねてきた皆さん、とにかく無事リアルで歌えてよかった!

2時間半の第40回「サントリー1万人の第九」は贅沢すぎて、濃密すぎて、もっと長い時間に感じた。

このコンサートに関わった全ての方々に、とにかく『大成功おめでとう!!』を伝えたくなる終演だった。


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