るる

1999 恋と生活

るる

1999 恋と生活

最近の記事

拝啓

きみと別れて、どのくらい経ったんだっけ?いろいろなことがあったから、もうよく思い出せないや。あたしがあの家を出てからは、3か月が経ったね。きみがまだあの街で生きているということを今日知りました(別にそんな方法で知らせてくれなくてもよかったのに)。それでなんだか手紙を書きたくなりました。でも連絡手段がないので(本音を言えば、別にこれから書くことをきみに伝えたいわけではありません)、ここに書くことにします。 きみにはたくさん心配をかけてしまったけれど、今あたしは元気に生きていま

    • 生活を愛す

      平日。6時にアラームの音で目が覚める、二度寝はしないで勢いよく起き上がりケトルでお湯を沸かす、インスタントのコーヒーを飲みながらたばこを吸ってインスタ、ツイッター、ラインを往復する、30分くらいそんな風にゆっくりしたらやっと頭が冴えてきて「今日も頑張るか」という気持ちになる。顔を洗ってお弁当を作り(と言っても冷凍保存しているお米と冷凍の野菜と冷凍食品を詰めるだけなのだが)、朝食に食パンを食べながら朝のニュースを見る。占いは信じないけれどやっぱり最下位だと落ち込む。この落ち込む

      • 恋の水平飛行

        39度を超える熱を出した。誰もいない夜道の凍った水たまりの上を裸足で踏んでいるように寒くてなんだか無性に寂しくて孤独感に苛まれていたあたしは朝から布団にくるまって文字通り寝込んでいた。彼が看病に来た。ガチャ、と鍵の回る音がして、合鍵を渡しておいてよかったと思った。狭い1Kなのに玄関までの道のりが遠く感じるくらいにはあたしのHPは擦り減っていた。買ってきてくれたポカリを飲み、冷えピタを貼ってもらって寝たけれど全然下がらなくて、結局病院に行くことになった。彼が何度も電話をかけてく

        • 一番安全な場所

          阿佐ヶ谷の喫茶店で「僕と付き合ってくれませんか」ときみが照れくさそうに言って、あたしたちが " ふたり " になった日から二週間と少しが経った。 19時頃、吉祥寺駅に着いた。彼の最寄り駅は中央線沿いなのだけれど、あたしの部屋からだと井の頭線を使ったほうが楽なのだ。この街に来るのはもう何度目だろうか、きみと付き合うまでは、一度しか来たことのなかった街。今ではもう日常の風景のひとつになっている。井の頭公園までの道筋にあるお洒落な古着屋や、信号待ちのときに目に入るソープランドの派

          あたしと付き合ったらきっと楽しいよ

          あたしの左腕には流れ星の跡がいっぱいある。それは寂しいときによく流れるやつで、必然的に恋をすると増える、ような気がする。" 寂しい " と " 好き " は表裏一体だから。「女はそういう生き物なんです」。最近のあたしはよくわからない、寂しいから恋をするのか、恋をするから寂しいのか。もちろん流れ星というだけあってそれは夜にだけ流れる、昨夜は久々に流星群極大の夜だった。そういえば今年は双子座流星群を見なかった。 ドラッグストアで一番明るい色の眉マスカラを買った。あたしは昨日から

          あたしと付き合ったらきっと楽しいよ

          最近のこと

          朝目を覚ますとブラインドから洩れる陽の光がまぶしくてとても綺麗だった。朝の光はいつだって新しくて、あたしに始まりを告げる。もうすぐ今年が終わるけれど、全然そんな感じがしていない。引っ越しをして一年半ぶりに一人暮らしになって、新しい街で生活を送って、なんだかあたしだけもう2024年を生きているような感じがする。今年にあったいろいろなこと、恋人と別れたこと、人生を終わらせようとしたこと、入院したこと、同棲解消したこと、それらすべてが遠い昔のように思える、でもきっとそれはいいことだ

          最近のこと

          ラストデイ

          この部屋で過ごす最後の夜になりました。眠たいけれどなんだかそわそわしてしまって眠れなくて 明日からあたしの新しい生活が始まる。今日、ガスの開通とアンペアの工事に立ち会う必要があったので新居に行った。大手町駅にある白いクリスマスツリーが、陽の光に照らされて虹色に煌めいていた。冬はなんだか街全体が色褪せて見えるから、色のついたものを見るとはっとする、なんて綺麗なのだろう、と。そうか、だからみんなイルミネーションを見に行くのか。でもあたしは冬の朝の、何の濁りもない澄んだ空気を照ら

          ラストデイ

          ほろ酔いカフェラテ

          コメダでうんと甘い生クリームがのったコーヒーを啜りながら、「クリスマスはなにをするの?」という問いに、「デートするんです、男と」と答えるあたしの顔はたぶん馬鹿みたいに綻んでいて、やっぱり少しは期待しているのかもしれない、と思う。「たぶんあたしって、案外誰とでも付き合えるんですよね、その気になれば」「わかる、おれもそう」という会話をしてもなにも起こらないこの関係性が男女の友情を証明してくれている気がして、あたしは恋愛の話ばかりを上の空で話し続けていた。きみのことを話せば話す程に

          ほろ酔いカフェラテ

          退院祝いのケンタッキー、友達として

          開放感に包まれて病院を出ると、風が強くて目にごみが入って涙が出た。重たいスーツケースを持って早歩きで駅に向かうと汗が滲んだ。今日の最高気温は二十度、道には黄色い絨毯、十二月、まだ秋が遅刻している。今年は雪は降るのだろうか。平日だというのにこの街はどこを歩いてもどの電車に乗っても人が多くてうんざりする、けれど、なんだかんだ言ってあたしは東京という街が大好きだ。ひとつひとつの出会いが刹那的なところが好き。朝、スマホがふるえて画面を見ると昔のバイト先の先輩からラインがきていた。「〇

          退院祝いのケンタッキー、友達として

          過去とさよなら

          こんばんはるるです 入院してもうすぐ一か月、あたしは自分がみるみる新しい自分に変わっていくような気がしていてなんだかわくわくしている。タイトルにもある通り、やっと過去とさよならをする決心がついたというか、いろいろな呪縛から解放されたというか、とにかく今とてもすっきりしているのです。それに伴って数日前から過去の記事を少しずつ削除していたのだけれど、ついさっき、ひとつ残らず泡となって消えました。二十四年間に渡るあたしの第一の人生は静かに幕を閉じました。というと少し大袈裟かもしれ

          過去とさよなら