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夜、子負着を脱いだら抱いて


新年が明けてから既に十日、松の内も過ぎ年神様もお帰りになられてしまったが抱負というやつをつらつらと綴っていこうと思う。Twitter上で(私は意地でもXと呼んでやらない)140字にも満たせない、簡潔な言葉で済ませるのもいいけれどここは少し大袈裟にnoteを開きたい。抱負を365日常に抱き締めたまま日々を生きるのはあまり好みではないので、時々見返しては一度強く抱き締めて、再びそこに置いておく程度にしておきたいからだ。

抱負にすべきものはいくつかある。私は正しいお酒の飲み方を学ぶだけじゃなく実践すべきだし、自分の経験からくるトラウマ混じりの偏見だけで大切にしたい人を無駄に疑うべきじゃない。それから自炊の日数をもう少し増やしたほうがいい、これはべきではなくあくまで提案だが。しかしたった365日で私の酒癖や思想はどうにかなるわけもない、無茶は禁物である。どうか今年もどうしようもない酔っ払いに付き合ってほしい、その度に反省はするので呆れながら「仕方ないね」と言ってほしい。

さて抱負だ、2024年『子供でいる時間を作る』を私の抱負として語りたい。

あと二ヶ月と少しで26歳、立派な大人の女性として恥ずかしくないのか?という意見はごもっともで、残念ながらそんなことは百も承知である。本当に残念だ、私は大人になってしまったのだ。母や上司はまだ26歳なんて子供というが、私が自分から子供を名乗るにはあまりにも年を食いすぎたと頭を抱えるほどに。今の今までノリと愛嬌で楽観的にやり過ごしてきた数々の不得意が、怠惰が、今にツケとしてまわってくる。恐ろしくなった私はお金について知る為に専門書を購入したり、スキルアップの為に退勤後や空き時間に会社のタブレットとにらめっこをする。友人と久しぶりにあっても何だか昔のようには話せなくって結婚や、子供や、仕事のことばかりで、子供のような話をするのは全て過去の話だけで。子供のままではいられないのだ、と日々のあらゆる場面で痛感するのだ。それでもずっと大人を頑張るには、私は子供すぎる。本当はおうちでポケモンのこと知る為に(最近知り始めた)スマートフォンとにらめっこをしたいし、白湯やオートミールが身体にいいと知っていても牛乳にたまごドーナツがいい。本を読んで変な映画を見て、ぬいぐるみを抱いて、なんの疑いもなく好きな人に好きだからずっと一緒にいようよと言いたい。でもそれができないくらいには子供でもない。

だから私は夜だけ、人情も趣きも全部知らんぷりをして子供のままから変わらぬ大人気ない感性でここで話をしようと思う。あなたと、あなたじゃない人とも。言葉を交わせなくても、一方的でも、たどたどしくっても、不自然でもいいから子供のようになんの柵もない自由な振る舞いをしたい。取り繕う必要のない場所を、時間を設けることを抱負としたい。子供の私が死んでしまわないように。

せめて夜だけは、夜明けまではその分厚くって悲しみに濡れた冷たい上着を放り脱いで子供のままの私を抱きしめる。そして夜が明けて、少しは涙も乾いたであろう上着を拾い上げて大人のふりをするのだ。それが抱負、兼いまの私を大切にするための一つの術なのだろうとおもう。

読んでくれてありがとうね、あなたが温かな夢を見られますように。


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