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ふらり旅 #10 (宮島)

久しぶりの宮島口フェリー乗り場は、日本語以外の看板が増えていた。見渡す限りどの看板も英語と韓国語の併記。

右も左も海外からの観光客と思われる方が多い。看板によると、JR-WEST RAIL PASS を持っている海外からの旅行者はJRが運行するフェリーに無料で乗船できるらしい。

宮島にはJR西日本が運行するフェリーと、松大汽船が運行するフェリーの二種類があり、フェリーの発着場も同じで、金額も同じだったと思う。

ただ先に述べたように、JRのRAIL PASSを持っていると無料でJR西日本のフェリーに乗れるらしいので、もしかしたらそちらの方が混んでいるかもしれない。

最近は日差しも強くなり始め、日中の気温も25度近くに上がり、訪れた日も初夏の陽気だった。

松大汽船のフェリーで宮島を目指しながら、宮島口を目指して進むJR西日本のフェリーとすれ違う。甲板に立つ乗船客に向かって大きく手を振った。

宮島へ渡ると、更に多くの外国人観光客で溢れていた。右も左も、半袖のTシャツやタンクトップに身を包む外国人たちが、それぞれの母国語で会話を続けている。

そんな彼らを横目に日差しのもとに足を踏み入れると、頭上から降り注ぐ太陽光の力強さに押され、思わず「眩しい...」と目を細めた。

夫と共に今年最初のおみくじを4月の今更になってひくために、厳島神社へ足を向けた。

表参道の商店街を通りながら、最後に来た時とはずいぶんと様変わりしたお店たちに目を奪われた。その多くが食べ歩きをお勧めする物だったように思う。醤油やソース、牡蠣を焼いたような匂いがやたら美味しそうだった。

誘惑の多かった商店街を抜けて、明らかに人々が足を止めている場所があった。

有名な鳥居を斜めから望める、よく写真で見かける場所だ。夫は写真を撮りに来ているので、一旦ここで足をとめる。

既に何十回と撮ったことのある構図だとは思うが、訪れるたびに彼は写真を撮っている気がする。その日ごとに鳥居の顔が違うのかもしれない。

写真を撮る夫を写真におさめるのが趣味の私は、「鳥居と海と君のレンズ」というタイトルで今日の夫を写真におさめる。

寄り道しながら辿り着いた厳島神社の入り口には、拝観料を払うのに行列が出来ていた。

お金を準備しながら順番が巡ってくるのを待っていると、みるみる列は動き、数分でまわってきた。

お金を払い、手水で清めて、脱帽し、いざ、社殿へ入る!

人の多さに飲み込まれながら、二礼二拍手一礼に則って、神様に挨拶をして回る。


そうして、本命のおみくじのところまでやってきた。

賽銭箱に100円ずつ入れて、二人でおみくじの箱を振る。
勢いよく飛び出してきた棒に書かれていた数字を確認する。

恐る恐る示された数字の引き出しを開けてみると、
そこには「凶」の一文字が。

人生で初めてひいた「凶」かもしれない。

学生の頃、日本文化の講義で先生がおみくじつについて話していたのを思い出す。

「あれはあの瞬間の運気を占っているもので、先が見える訳ではない」

現状をさほど悪くないと思っていた今の私はこう思った。

「実は神様からすれば『凶』の状態なのでは?」

そう考えたら、思ったよりも「凶」が悪くは思えない。

失せ物は出ないし、
旅行は良くないし、
病気は長引くけど、

今年の終わりには、間違いなく今より良い世界が見えているはずだ。

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