探していた音楽が見つかる「喜び」を噛み締める
行きつけの美容室で、私の好みにドンピシャな歌が流れていた。
こんなこともあろうかと、iPhoneのショートカット機能にShazamを追加しておいた。これで携帯のロックを解除しなくても音楽を検索できる。
Shazamを起動すると、ほんの数秒でヒットし、曲名が判明した。仕事が速くて助かる。
I'll get over You.
直訳すると「あなたを忘れる」
失恋の辛さを乗り越えるために、背中を押してくれる歌になっている。力強くもどこか切ないサビ部分で思わず泣いてしまった。
せっかくなので、聞きながら読み進めてほしい。
それにしても、なんて便利な時代なんだ。
アプリを起動するだけで、検索エンジンに歌詞を打ち込むだけで、大抵の場合は探している音楽を見つけることができる。
私の経験上だが、人生で音楽を探すのに苦労したことはない。
そこで、ふと思った。
インターネットがない時代は、どうやって音楽を探していたのだろう。
インターネットがなければ、スマートフォンもパソコンも機能が大幅に制限されてしまう。文明の利器に慣れてしまった私にとって、これらを使わずに音楽を探すのは困難に思える。
パッと思いついたのは、今も続いている有線音楽放送で音楽を探す方法だ。飲食店などの店舗で音楽が流れているのを、みなさんも一度は聞いたことがあると思う。あれが有線音楽放送だ。
余談だが、最初はYouTubeでも垂れ流しているのかと思っていたが、それでは著作権を侵害してしまう。しかし、有線音楽放送と契約をした上で音楽を流せば、著作権の問題は気にしないで大丈夫らしい。
有線音楽放送のHPには「今流れている曲」はもちろん、今後流れる予定の曲も時系列で分かるようになっている。いわば、番組表だ。
しかし、結局はこの番組表もインターネットで調べたもの。
日本では1995年にインターネットが普及したとされているので、有線音楽放送が始まった1977年頃はインターネットで番組表を確認することはできない。
新聞にテレビの番組表が載っているように、この有線音楽放送の番組表も、何か紙媒体で記載されていたのだろうか。
そうじゃないとしたら、一体どうしていたのだろう。
正直、想像もつかない。
インターネットがない時代に生きていた人の中には、気になる音楽の曲名すら分からずに亡くなった人もいるはず。
もし、過去と現在を行き来できるなら、その人が探している音楽を調べて教えてあげたい。
絶対に喜んでくれる思う。私が探していた音楽を見つけた時の何倍も、何十倍も、何百倍も、感動してくれるだろう。
世の中は便利になり、探している音楽が見つからないという「負」はほとんど解消された。
これは、本当に素晴らしいことだと思う。
しかし、便利になり過ぎたがゆえに、探していた音楽が見つかる「喜び」は、昔に比べれば薄れてしまっているだろう。
これからは、その「喜び」を噛み締めて生きたい。
そして、感謝しよう。
音楽が見つからないという「負」が解消された、便利な世の中に。
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