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推しが遠くなる感覚

初めから決して近い存在ではないのに、推しが有名になればなるほど遠ざかるような気がする。

自分だって認知もされていない新規オタクのくせに、新たな同担に自分が埋もれてしまいそうな気がする。


最近、推しの伸び具合が尋常じゃない。

登録者数は更新するたびに100単位で増えているし、生配信にも初見さんが多く遊びにくるようになった。

毎日もがきながら影の努力を惜しまずに頑張っているのを我々オタクは少なからず知っているし、彼の努力が確実に実を結んでいて嬉しい。
わたしの推しはこんなにもたくさんの人に愛されるほど素敵なんだって、初めて彼に出会った人が簡単に好きになってしまうくらい魅力的なんだって、すごく誇らしい。

でも、だけど、どんどん推しの背中は遠くなっていく。

推しからしてみれば「一緒にくれば?」「そもそも遠いってなんだよ」という話なのかもしれないが、そう簡単な話ではない。

歩幅を揃えて一緒に歩いていたはずなのに、突然推しが全力疾走をし始めたような感覚だ。
「マラソン大会一緒に走ろうね!」と言っていた友達が半分を過ぎたあたりから裏切ってスピードを上げるような、あのなんとも言えない寂しさに似ている。

後ろを振り返って手を差し伸べて「一緒に行くよ」ってしてくれなければ、推しの背中を見失わないように必死なわたしは簡単に振り落とされて、見失ってしまう。
大勢の人混みの中に紛れて、推しから見える範囲にわたしはいなくなってしまう。


ネガティブで自分の存在自体に自信がないわたしは、振り落とされた瞬間立ち止まってしまうんだろうなと最近考える。

推しは数万のファンの中のわたし1人がいなくなったところで痛くも痒くもない。
認知もされていないので「あの子最近いないな」と思われることもない。

なのに、彼に置いていかれないように必死に追いかけている自分が惨めでたまらない。
大好きな推しが頑張って急成長しているこの大事な時期にそんな感情を抱いてはいけないって頭ではわかっているのに、心は正直だ。


新規オタクのわたしでさえこんな感覚に苦しめられているのに、デビュー前から推しているとか初配信から見ているとかそういう古参オタクたちは、推しの急成長がもっと苦しくなったりするんだろうか。

遠いよ、離れていかないで、置いていかないで
って縋れたらどれだけ楽だろう。

嘘でも「最近初見さん増えて嬉しいですね」なんて言えない自分がいる。
彼にとってめでたく嬉しいことを一緒に喜んであげられないわたしはファン失格なんじゃないかと思う。
推しに直接こんなことを言う気など全くないが、心の中で思っているだけで十分害悪で迷惑なファンだと思う。


今後、彼のファンは増えるばかりで減ることは絶対にないだろう。

しんどくなって彼から離れてしまうのか、彼の成長を心から喜べるオタクになるのか自分でもわからない。

でも一つだけ言えることは、推しのことがこんなにも大好きだ。

あわよくば、手を引いて隣を並んで歩いて欲しいけど。

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