【短編】四諦
別れてくる!と涙ながらに言い残し、家を出たあやちゃんの現在位置を示すピンは、松戸の駅近くのホテルにある。「おい!」とだけLINEを送って、まあそれも違うか……と思い直して送信を取り消したが、やはりおい!と思う。思って、もう一度「おいおいおいおい!www」と打ち直して送信した。救いようのない馬鹿だ、さっきまであれほど泣いていたはずなのに、救いようのない馬鹿だ。
救いようのない馬鹿をまたしても救えなかったことを、わたしはいつも、新鮮に悲しむことができる。
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