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コレクションする理由/コソ練・15日目

「ガラスでできた鳥の置き物? 世界各地にコレクターおるん? ほんまなん?」

フィンランドを代表するブランド、イッタラより発売されている吹きガラスの鳥《バード バイ トイッカ》シリーズをはじめて見たときの感想だ。1972年に、イッタラのデザイナーであるオイバ・トイッカが記念すべき1羽目をつくり、今日までに500種類以上のバードがうみだされてきたそうだ。

そんなバードを1羽、自宅に招き入れたのが4年前。以来、2羽、3羽と仲間が増え、現在5羽のバードが飾り棚に並んでいる。いつか6羽目をと、お気に入りのバードが発売されるのを待っている。

昨日、JR京都伊勢丹7階にある美術館「えき」KYOTOで開催されている『イッタラ展 フィンランドガラスのきらめき』で、廃盤となったバードが展示されていると知り、京都へむかった。お目当ての29羽のバードには惚れぼれとした。川の流れをいつまでも眺められるように、その場でいつまでも眺めていられそうなぐらいに惹きつけられた。

しかし、それ以上に、140年続くブランドの歴史の中で、フィンランドを代表するデザイナーが活躍し、世界に多くのファンをつくり続けている企業としての凄みを感じた。オイバ・トイッカはじめ、アルヴァ・アアルト、アイノ・アアルト、カイ・フランク……。

その中でも、タピオ・ヴィルカラの作品《パーダリンヤー(パーダル湖の氷)》の美しさに足と息が止まった。水に浮かぶ氷山のような形をしたガラスでできたオブジェだった。両手で持てるような大きさだ。黒い鏡面のような土台に置かれ、水面に反射しているように展示されている。スポットライトの光が、ガラスの中の気泡を粒立たせる。まるで氷がとけていくかのように、キラキラと輝いている。侘び寂びをも感じる、無駄なものが排除されたデザインだ。

はじめて、ガラス製品をみて、息を飲んだ。今までフィンランドはデザイン大国であると思っていた。しかし、長く愛され続けるブランドの根底には「フィンランドの自然」があったのだ。イッタラの哲学に、全てのデザイナーの作品から見て感じ取れた。

普段の暮らしの中で、自然美を感じることのできる、普遍的なガラス製品だ。どうしてバードを集めたくなるのか? そんな理由をかいまみれた展示会であった。また、ますます5羽のバードを愛らしく感じられる展示会でもあった。

5羽のバード

MEMO(コソ練note/残り64日/ヘッダー画像作品:Flower Bird)
・推ししか勝たん、もうひとつの理由『今日もコレカラ』写経時間14分4秒
・『イッタラ展 フィンランドガラスのきらめき』を推す。


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