“ニセ科学、法的に取り締まろうぜ” なる意見について

ニセ科学とは、

科学のようで科学で無い

言説を指します。意味内容の検討に深く広い議論がありますがひとまず措いて、その概念そのものには、人を騙すとか、社会的経済的健康的害をもたらす、などの要件は入っていません。したがって、その概念を援用して

ニセ科学を法的に取り締まろう

と取れるような一般的表現をおこなうのは適切ではありません。
分野を問わず色々の実害を及ぼす言説を流布する事に法的な観点からのペナルティを課すのは検討されて良いし、詐欺その他の行為に対して既に実装されていると思われますが、殊更に、ニセ科学をと表現する必要はありません。

最初に挙げたニセ科学の定義、科学のようで科学で無いという意味を分解します。

  • 科学で無い:評価当時の科学なる体系から外れた言説群

  • 科学のよう:科学の体系における用語や制度、オペレーション、慣習等を用いて主張・説明をしている

この条件を備えたものをニセ科学と呼び得ると言えます。要するに、

指し示す(当てはまる)範囲が広すぎる

訳です。テレビや新聞により発信される健康法も、近所で雑談として話されるものも、様々をニセ科学と呼び得る。

ここでもしかすると、だからこそ櫻井氏は

影響に応じて

と主張しているではないか、と返されるかもしれませんが、それを言うなら、ニセ科学だろうがそうで無かろうが、情報流布で様々の実害をもたらし得るのだからしっかりそれらを取り締まるべきで、そういう流布の中にニセ科学と呼べるものが混じっている事に注意喚起すべきだ、と提言すれば良いのです。であるのに、

ニセ科学、法的に取り締まろうぜ

などと強い一般的表現を用いる主張をすれば、足をすくわれるでしょう。

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