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国のギフテッド支援の不安要素と期待をmensa会員が語る

 こんなニュースが出た。

 「ギフテッド」というのは単純に言えば「天才児」のことである(このクソ曖昧な定義については後述)。これだけ読むと「なーにがギフテッドじゃ」と思った。しかしながら文科省が出している「方針」のようなものだけ読んでみると(2022年8月現在は)結構理にかなっている気がしたのでこの記事を書く。

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/senseiouen/mext_01512.html

ギフテッドという言葉が嫌われるわけ

 理由は単純である。定義が曖昧であるということだ。それゆえ、インターネット上やmensa界隈では自称「ギフテッド」や「ギフテッドの親」なる方々が大量発生している。誰でも簡単に名乗ることができる。

 定量的にギフテッドを定義したがる人もいるにはいる。「IQ130以上あればギフテッドだろう」と解釈したりする人だ。これにも実は落とし穴があって、子供はIQが高く出がちであることや、テストによって科学的信憑性が大きく変わるということだ。

 あと、なにより、自分で自分や子供のことを「ギフテッド」って言ってる奴いやだろ。よっぽど「数学オリンピック金賞」みたいな客観的に見て頭いい自慢の方が好感度が持てる。

 ここは文科省の賢いところなのだが、「ギフテッド」という言葉は文章中で1回しか出てきていない。それも海外の事例の引用の場面だ。

高IQ界隈はエセ科学が蔓延している危険領域だ

 先に不安要素の話をする。

 今回、国がギフテッド支援を提言するにあたって高IQ界隈のひとたちにヒアリングをしていたことを風の噂で知っているということだ。

 素直な感情として「mensaって結構エセ科学信じちゃうタイプの人が多い」と思っている。

 高IQ眉唾話の具体例を以下に挙げる。

ハイレンジIQテストビジネス

 ハイレンジIQテストというものがある。これは通常のWAISと呼ばれるIQテストなどでは測れないくらいIQが高い人のIQを測るためのテストとされている。

びっくりするほど眉唾物だ

 統計学的に言えば、知能が正規分布に従うと仮定して一般のテストと比較してうまく高知能側に外挿するということなのだろうが、いくらなんでも無茶だ。そもそも知能が高知能領域においても正規分布に従っていることをまず証明しろ。

ハイレンジIQテストには時間制限がない。そのかわり問題がめちゃめちゃ難しいという特徴がある。時間制限ないのは知能を測る上ではあまり意味がないのではなかろうか。

また、テストによって数列系、記号系、言語系さまざまな種類がある。あるハイレンジテスト製作者は「知能の定義は頭の良さに関することならパズル能力でも記憶力でもなんでもいい」と言っていた。そんなふわふわ概念がいかにも科学的な顔しているのは私は許せない。

 そして、何よりハイレンジIQテストはビジネスになっているということだ。採点料としてお金を払って採点してもらい「IQ証明書」を発行してもらうというのがこの界隈だ。

 英検を思い出して欲しい。国がハイレンジIQテストと癒着したら利権になり得ないだろうか。

優生思想

 一つ懸案として、高IQ界隈というのは選民思想的なものを持つ人が多いということだ。そりゃIQ〇〇以上しか入会できない団体に入っているような人たちだ。

 誰とは言わないが結構権威あるハイレンジIQテスト製作者が人種差別ツイートしていて、そしてそこに好意的なリプが大量についていて目眩がしたことがある。

 怖いのはこれが優生思想につながることである。戦前のような「間引き」はなくともIQによる格差を積極的に肯定するような世論が作られそうで怖い。

支援が必要な天才児は事実として存在するという話

 国の支援に対する肯定的な話だ。支援が必要な子は確かに存在する。これは私が塾講師をやっていてたくさん見てきたから確信を持てる。

 私が教えている子は、本当に賢い子たちばかりで教科の先取りをしている。小学校5年生なのに高校2年生までの数学を終わらせていて原子の軌道(s, p, d, …)のことまで勉強している子もいる。

 そういう子たちはやはり少し学校では苦労しているようだ。学校の進みが遅すぎるのだ。

 子供のころの数年間の学習機会を無駄にするのは本当に個人の利益も国益も損ねるのでよくない。特に数学や物理の分野では若い脳みそからしか生まれないイノベーションがある。

文科省の言ってること

 要約すると、個々の才能に合わせた教育をしようと言っているだけだ。現状として言っている内容がほぼほぼないがこれだけみるとごくまともなことを言っている気がする。

 ま、文科省だから利権絡みでぐちゃぐちゃになって最終的にはクソみてえな制作が立案されるのかもしれんが。

私からの提言

 まず「ギフテッド」という言葉をこの日本においては使わないでほしい。代わりに「先取り教育が必要な子供」くらいすこし具体的にした言葉を使ってほしいと思っている。さもないと方向性がふらふらするに決まってるからだ。

 ギフテッドのために一番できる支援は何かというと先取り教育だ。飛び級制度を作るもよし、先取りのための教材をつくるもよし。

 私の担当している生徒はスタディサプリがあるから人生楽しめている感がある。スタディサプリは意欲さえあれば好きな学年の授業が受けられるからだ。こういうものを国として作っていって欲しいと思っている。

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