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断捨離:写真とノートとイヤリング

 イヤリングは何度か落としているが、初めて自分でジュエリーと呼ばれるようなものを買って無くしたのは6、7年前のことだったと思う。昼休憩で入ったうどん屋から帰ろうとした時に片耳からイヤリングが無くなっていることに気づいた。世界で最大の乗降客数を誇るといわれた新宿東口で出てくるなんて到底思えなかった。どうしていいか分からなくなった私。こういう時は経験者に聞くしかない。と普段滅多にしないのに、母へ電話した。「なぁ、イヤリング落としたことある?」「あるよ、何回も」「片方だけ残ったらどうすんのん?」「しばらく置いといて、もういいかな、と思った時に捨てる」。そう聞いて、自分だけが、一つ残ったイヤリングを捨てられないんじゃないんだな、すぐに捨てなくていいんだな、と少し、安心したことを覚えている。結局、他のものと組み合わせて使っていたもう片方も、その2、3年後に鎌倉で知らぬ間に耳から落ちてしまっていた。その時には充分に仕方ないかと思えていた。このことで、すぐに捨てられなくても、いつか捨てられるようになるものがあると知った。今回、改めてそう思ったのは、久々に実家へ戻ってきてからずっと置いてあった、何が入っているか分からない段ボールの中身を整理することになったときだった。本当に中に何が入っているか分からなかったので、こういうことになると俄然メラメラとやる気が燃えてくる祖母に立ち会ってもらった。出てきたのは、何のことはない部屋を出ていくときは捨てられなかった写真やノートたちだった。今見返すとなんでこんなもの取っておこうと思ったんだろう、と思うもばかりだった。けれど、当時は捨てられなかったんだと思う。

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