見出し画像

「モンクバッグ(monk bag)」製作日誌:草木染編01-イロとヒトと

みなさまこんにちは、イトウでございます。

現在制作中のモンクバッグ。カバンのかたちに縫い上げた状態で長野県大町市のsolosoloさんにて、草木染をしていただきます。

季節に合わせ、その土地で採れた色で染め上げていただくのですが、
どんな色に仕上がってくるのか私もワクワクしております。

今回は、solosoloさんでどんなふうに染色されているのかご紹介する前に、まずはもう少し広く草木染のお話を…

▼イロとヒト

画像2

何色のお洋服が好きですか?
店頭に陳列される洋服は、何色ものバリエーションがありますよね。どの色にしようかななんて鏡に向かって悩むのはよくある光景。

そもそも、”染める”という文化がはじまったのが中国では紀元前3000年頃とされているそうで、日本では縄文時代(紀元前1400年頃)から植物や貝などを用いた染色が行われてきたんだそうです。

以前、遺跡の発掘調査を行っている知人に”何か色のついたものって出てきたりする?”と尋ねたことがあるのですが、炭の色と土器の朱色、土器に絵を描いたものも出てきてこれは何のイラストだろうかと思考を巡らせたりもするんだとか。
それらは”染めた”ものではありませんが、当時の色彩との関わりがうかがい知れます。
祭事用の器なら装飾に力を入れるのも納得ですが、縄文土器然り普段使いする土器にオンリーワンのデザインを施していく先人たちのクリエイティビティには敬服せずにいられません。
もしかすると想像するよりもずっと鮮やかな生活だったのかもしれませんね。


そして時は流れて聖徳太子の時代…

画像1

いつか習った懐かしい響きの冠位十二階では、位によって着用できる色が決まっていました。
中でも紫色は希少な原料、かつ染め上げるのに高度な技術を必要としたので位の高い人にしか着用を許されませんでした。

原料として使用された介殻虫の紫鉱(しこう)は当時金と同じ価値で取引をされたんだそうです。

この冠位十二階で色が階級を表現するような意味合いをもつようになると
染色の技術も上がり、微妙な色の違いを表現できるようになりました。

▼草木染って?

画像3

草木染とは…
昆虫から得られるコチニールのような植物由来の染料でなくとも天然染料で染めること、または染めたものを草木染めという。
(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8D%89%E6%9C%A8%E6%9F%93%E3%82%81より)

先述の通り、はるか昔から天然の染料で染め上げるという文化はあったものの、「草木染」という名前で呼ばれるようになったのは最近のはなし。

それは、草木で染めるということが当たり前のことだったから。

しかし、最近では化学染料を使用して染め上げる技術が主流となり、従来の染め方と区別するために1930年に染織家の山崎斌(やまざきあきら)氏によって「草木染」と命名されました。

▼自然にやさしい草木染?


1856年に化学染料が発明されると、草木染にとってかわり染色革命が巻き起こりました。

基本的に、生地を染める際には大量の水を必要とします。
化学染料は安価で色の安定も良く、大量生産にうってつけだった為、染色後の汚染された水とその果てしない量が問題になりました。

”自然由来”と呼ばれるものも、”化学物質”と呼ばれるものも結局のところ全て化学式のなかに成り立ちます。
では化学物質の何が問題なのかというと、均衡を崩すその膨大な量だと。

化学染料が発明され、世界をカラフルでビビットなものにしてくれました。
ただ、その手軽さから洋服として短期間で消費されていくものが多くありました。

全部が全部、100%自然に負担をかけないという暮らしは難しいでしょう。

私たち人間も生きる為に、酸素を吸って二酸化炭素を吐き出します。
二酸化炭素は環境に悪いから呼吸は控えて!なんて言われてもどうすることもない昔から変わることのない事象です。

ただ、ヒトが自然と共生していくための暮らしの中の選択肢の一つをゆるやかにシフトしていくというのはいかがでしょうか?

自然から色をいただいて、自然に返す。
あまりにも化学染料が一般的になったこの世の中で、草木染の生み出す深みのある色はむしろ新鮮に感じられるはず。
はたまた、先人たちが親しんできたであろうその色合いにどこか落ち着く懐かしさを感じてしまうかもしれません。

モンクバッグがそんな色の楽しみ方のきっかけになれば幸いです。

どんな風に自然から色をいただいてくるのか、こちらについてはまた後日お送りいたしますね。

それでは、

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?