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インド・カルナータカ州のOOTA(ミールス)を食べにいく旅2

2日目は、朝からVの家に向かう。
Vの家は、集落の外れにあって建てたばかりの新しい家のようにきれいだった。近隣にも新しい家や建設中の家が多くみられ新興住宅街のようだった。しかし、住宅街といっても、道路を挟んだ向こう側にはサトウキビ畑があったり、牛やヤギが放牧されていて牧歌的な風景が広がっていた。

Vの家から道路を隔てた向こう側

Vの家に到着すると、両親と妹Aとその子供が出迎えてくれた。Vは、妹と二人兄弟だが、Aが結婚を機に別のまちに住んでいるため、現在は両親と3人暮らしとのことだった。しかし、妹のAは私たちに料理を教えるため子供と一緒に里帰りしていた。
Vの家庭では、普段母が料理をつくっているが、今回はいつもよりたくさんの料理を準備ため、Aが主となってつくってくれた。それでも最後の味見になるとVの母が必ず一口味見しアドバイスをしていた。どの料理も母から子へと伝わるレシピとのことで、その瞬間を垣間見ることができた。

この日は、朝ごはんとしてカルナータカスタイルのVadaであるJolada vadaを学ぶ。Joladaという名前のとおり雑穀粉をつかってつくる。
Jolada vadaは、生地を成形し揚げる点はこれまで食べたVada共通しているが、不定形な楕円の形をして食感はPuriに近い。
これにCoconut chatniとChilli chatniをつけて食べた。特にChilli chatniとの組み合わせが好みだった。このチャトニの味は最初に甘みがあり、後からチリの辛さがくる。これにギーを好みでかけるよう言われて試したが、濃縮された乳の風味が加わり前日のSaaruで感じた味の複雑さを思い出した。
この組み合わせが気に入って、食事する手が止まらなくなったが、途中から胃がひりひりしてきた。Curdで中和したが、ときすでに遅く数時間後におなかを壊した。
PにChilli chatniを食べ過ぎてお腹壊したというとチャトニは少々つけるものであって食べるものではないと笑われた。

Jolada vada(奥)、Coconut chatni(左)、Chilli chatni(右)


昼は、再びVの家でOota(ウータ)を学ぶ。1日目に食べることができなかったJolada rotiを含め以下の料理を教えてもらった。
Jolada roti、Sajji roti、Shenga podi、Gurellu podi、Agasi podi、Matki Gojju、Junka palya、Biranji、Saaru.

Jolada rotiは、北カルナータカの食事で欠かせないものらしい。見た目は薄いRotiだが、北インドでみられるRumali rotiとは異なる。雑穀でつくっているためか、小麦粉特有の粘りがなくあっさりしていて食べごたえがある。

食事の順序として、ターリー皿で提供されたJolada rotiとSajji roti、Shenga podi、Gurellu podi、Agasi podi、Matki Gojju、Junka palyaを食べていく。
Sajji rotiは、簡単に割れるほど水分がなく乾燥していて保存食のように思えた。
RotiとGurellu podi、Agasi podi、Shenga podi、Curdは、基本的な食事のセットとのこと。
Jolada rotiとPodiの組み合わせは素朴な食事を彷彿させるものだったが、3つのPodiはそれぞれ味の違いがあり、興味深かった。特にShenga podiは、食べ慣れた食材でもあるピーナッツの香ばしさがわかりやすくおいしいと感じた。Gurellu podiとAgasi podiは炒った穀物を食べているような感覚になった。味という点では香ばしさとそれぞれの風味を感じるが、それ以上うまく伝えることは難しい。
RotiとMatki Gojjuの組み合わせは、穀物のパンに野菜煮込みを合わせるような、chapatiとsabjiに近いものを感じた。
Junka palyaは、見た目の華やかさからほかの料理と合わせるというより、祭の食事に並ぶことに意味がある特別な料理なのかもしれない。

食事は、基本的にRotiとPodiの組み合わせにGheeやCurdをつけて食べていく。その中でGheeとCurdのどちらかをつけるのはいいが、一緒に食べたり混ぜるのは好ましくないらしい。

Jolada roti(中央)Matki Gojju(中央左)時計回りでShenga podi、Gurellu podi、Junka palya、Agasi podi、Sajji roti(右奥)、Curd(左奥)

これらを一通り食べ終わると、Biranjiを盛り付けSaaruに合わせて食べていく。BiranjiはスパイスとGheeで風味付けされた米料理で、なによりGheeの強い風味を感じた。

Brinji


本来SaaruはRiceに合わせるが、今回は特別にBiranjiをつくってくれた。というのも、北カルナータカの一般的な食事と祭の食が知りたいと事前にお願いしていたため、今日つくった料理の中でJolada vada、Junka palya、Biranjiは普段の食事ではなく、主に祭のときにつくる料理とのこと。

この2日間いくつかの料理を食べてきた中で、スパイスを使うことは概ね他の州や地域の料理でも共通する前提となっているが、Jaggeryで甘味を加えることとGheeの風味を加えて味の骨格を形づくっていることが、他の地域との違いかもしれないと思えた。

夕食は、Vの友人Wの家に行くことになった。
VとM、Wは学生の頃からの友人で、つねにお互いの家を行き来しているようだった。今回も料理を食べるというタイミングで現れ、何度か食事をともにした。
Wの家は、キットゥールのまちを一望できる丘の上にある3階建ての建物だった。ルーフトップで植物、ベランダでは小型犬と亀を飼っていた。
Wはジャイナ教徒で夜は食事をしない、また玉ねぎやにんにくなど根茎にあたる食物を避けるなど、さまざまな宗教的な制限がある。
しかし、この日は私たちのためにWの弟が米のパフを使ったChaatを作ってくれた。Wの弟は、バンガロールのホテルでシェフをしていた時期があるため、料理をつくるのが得意らしい。
Chaatは甘くて辛い味付けでサクサクした食感をしていて、楽しい料理だった。

Chaat

そのあとは、Jolada roti、Gojju、Shenga podi、Pickleと軽めの食事を出してくれた。

Jolada roti(中央下)、Gojju(中央上)、Shenga podi(上左)、Pickle(上右)

夕食はこれだけかと思うかもしれないが、2日目にして毎食食べすぎていておなかが減らないモードに入ってしまった。自分では小食とは全く思わないが、つねにおなかが減らない常時満腹状態に陥っていた。

一口カンナダ語メモ
・オーガラニ=テンパリング
・トゥンバチャナギトゥ=めちゃうまい
・サクゥー=おなかいっぱい

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