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インド・カルナータカ州のOOTA(ミールス)を食べにいく旅5-1

5日目は朝からPが連れて行きたかったというHVR(Hassan Veg Room)へ。どこかで見たこと聞いたことがあるような店名ということは置いておこう。

HVR

HVRは、奥の調理場兼カウンターで注文して料理を受け取り、入口付近の長机で立ち食いするスタイルで、持ち帰りの客も多い。
ここでは、Benne Khali、Medhu Vade、Masala Idliを食べた。Benne Khaliは名前ほどくどくなかった。Pのいうとおり、どれも安定のおいしさだった。

HVR(Hassan Veg Room)
Benne Khali(下)、Medhu Vade(中央)、Coconut chatni(右)

HVRは、ひっきりなしに客がくる活気がある店だった。こういう店が家の近くにあれば毎日の生活が充実しそうだ。

Dの家

朝食後、Dの家に行く。
車を止めた道路から裏庭に入ると毛並みのいい牛が食事をしていた。Dが飼っている牛とのこと。
Dがこっちに来いと見せてくれた庭にはたくさん植物栽培されていた。その中にはコーヒーの木があって、家で飲む分くらいの実は収穫できるらしい。

Dの家の庭

家に入るとDの母がRagiをつかってつくったRagi halbaiとRagi ambariでもてなしてくれた。いずれもRagiがつく名の通り雑穀をつかった料理である。
Ragi halbaiはゼリーやようかんのような柔らかい食感の甘い料理で、Ragi特有の風味がある。
素朴な料理に思えるが、つくるのが難しいらしい。
Ragi ambariは塩っ気のあるドリンク、以前バラナシのレストランで飲んだマサラと塩、オニオンの入ったラッシーに似ていた。生の玉ねぎを食べ慣れていないこともあって、不思議な味だという感想しかでてこない。

Ragi halbai

チェナケーシャヴァ寺院

おやつを食べてベルールに向かう。
途中、話に夢中になったPがハンプに気付かずハイスピードで突入し、車がジャンプして、みんなで大笑いした。
約1時間ほどのドライブを経て、なんとか目的地のチェナケーシャヴァ寺院に到着した。
ここは12世紀にホイサラ王朝が築いたヒンドゥー寺院である。なんと荘厳なんだと写真を撮った門は後からつくったものらしい[1]。

チェナケーシャヴァ寺院 荘厳な門

寺院は、前方のマンダパ(ホール)と後方の聖室からなる。前方と後方のつくりが不思議なほど異なっていた。
前方には、数多のレリーフ群が壁や軒下にはめ込まれている。これらは物語を描いているような連続性がある。
後方は、幾何学模様のような図形を模した抽象的なレリーフが印象的だった。特に制作途中のものがいくつか散見され、その空白が気になった。
同じ建物とは思えない分断された世界観があるように感じた。それは前方のマンダパ(ホール)は時間の動き、後方の聖室は止まった時間を表しているように思えたからである。

マンダパ(ホール)の天井

Huli

ベルールからハッサンに戻り、昼食はHuliを食べた。
Achayaは、著書のなかでhuliをTamil Niduのsambhar、アンドラ・プラデーシュのpappu pulusuと関連付けて説明している[2]が、Pからすればサンバルではないらしい。
確かに豆の溶けた感じがsambharのようでもあるが、ジャガリーやGheeの風味は違いとも受け取れる。

このHuliをライスにかけて、キッタールのお土産Sandigeとjalebiに似た形のchakkuliという塩気のあるスナックをつまみながら食べた。

Huliとライス(中央)Sandige(左上)chakkuli(右上)

脚注
[1]寺院の具体的な構造は、神谷1996を参照した。
[2]Achaya, K T. 1994 10章参照。

参考文献
Achaya, K T. 1994. Indian Food: A Historical Companion. Oxford University press.
神谷武夫1996『インドの建築案内』TOTO出版


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