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『エージェント物語』シーズン1-3 パリの芸能事務所をオシャレに?描く

by 輪津 直美

最近のフランス映画はパッとしないし、ましてやドラマのレベルは低いのだろうと甘くみていたが、いやいやどうして、なかなかの面白さである。 きっと、これまでアートハウス映画しか日本に入ってこなかっただけで、着々とフランスの映像エンターテインメント業界は進化してきたのだろう。

このドラマはテレビ局「フランス2」の制作だが、Netflixが最初から関わっていたようで、世界に出しても恥ずかしくない出来である。

アメリカ映画・ドラマを非常によく研究しており、キャラクター設定、展開の速さ、飽きさせない仕掛け作りに溢れている。また、映像的にも手を抜いておらず、日本のドラマのようにベタ明かりの白々しい画面は皆無である。少し、アメリカドラマの「SUITS」に作りが似ている。

芸能事務所という、大衆の下世話な興味を大いに惹きつける設定で、大物俳優が本人役で出てくるのも楽しい。私が知っているだけでも、ジュリエット・ビノシュ、モニカ・ベルッチ、イザベル・ユペール、ベアトリス・ダル、 ‎ジャン・デュジャルダン(アカデミー作品賞をとった「アーティスト」の主演男優)といった錚々たる面子。なんて豪華なドラマなんだろう。

また、舞台となっているパリの街並みやカフェ、レストランなどがふんだんに登場し、カンヌ映画祭を題材にした回もあったりして、旅行好き、映画好きにもたまらない。

ところで、アメリカドラマをよく研究しているといっても、やはりフランス人はアメリカ人とかなり違う。喫煙率が高く、歯が汚い。感情的でいつも怒っていて、いつも恋愛していて、いつもワインを飲んでいる。アメリカ人的な合理性はあまりなく、どちらかといえば人情で動く。

私は日本の芸能界を少し知っているが、この世界に関してはフランスと日本、結構共通点があるように思う。どちらも浪花節の世界で、契約書を厳密に守らず(日本は契約書自体ないことが多い)、なあなあになりがちだ。あくまでもドラマを見た限りであるが。

日本のくだらないワイドショーをみるくらいなら、こっちの方がよっぽど面白くてよ。奥様。



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