見出し画像

『GLOW シーズン1』女子プロが輝いていたあの頃

by 輪津 直美

このドラマのことを知って真っ先に頭に浮かんだのが、ロバート・アルドリッチの女子プロ映画「カリフォルニア・ドールズ」だった。あれから30余年。80年代のカルチャーが新鮮味を持って受け入れられる機は十分に熟したらしい。

予想通り、メインキャストの売れない女優二人とやさぐれたB級映画監督は、「カリフォルニア・ドールズ」の売れない女子プロレスラー二人と、ピーター・フォーク演じる無頼のマネージャーを髣髴とさせる。80年代の風俗も忠実に再現されていて、なかなか好感が持てるではないか。

しかし、私の期待はすぐに失望へと変わった。陳腐でよく練られていない脚本を、たくさんの登場人物が甘いキャラクター設定のまま演じている。B級監督役の俳優は、ピーター・フォークの愛嬌を全く持っていない。出来の悪いコントのように笑えない場面が続く。

それでも、30分という短い尺のためか編集のテンポがよかったことと、メインキャストの女優がなかなかの演技力を見せていたことが、かろうじて私の目を画面に引き付けていた。

がけっぷちの売れない女優ルース役を演じるのは、アリソン・ブリー(Alison Brie)。調べてみると、これまでに様々な作品に出演している実力派女優である。画像検索をすると、このドラマからは想像もできないようなセクシーショットばかり出て来るではないか!いやはや、女優だなあ。そういえば、第1話で彼女のサービスシーンがあったっけ(見てのお楽しみ)。

もう見るのやめようか、と思う5話あたり、このドラマはがぜん面白くなってくる。登場人物の内面描写が増え、ドラマが展開し始める。そして、いつの間にかキャストへ感情移入している自分に気づく。ストーリーの先は見え見えだ。トラブルが起き、それを一致団結して解決し、大団円を迎える。わかっちゃいるけど目が離せなくなる。できが悪い子の成長物語に人々が感動するのは、古今東西の鉄板だから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?