コラテラル

『コラテラル 真実の行方』主演女優の妊娠で尻切れトンボ?

by 輪津 直美

英国のサスペンスドラマ。4話完結と短く、キャリー・マリガンが主演とあって、視聴を即決。彼女は特に、ライアン・ゴスリングと共演した「ドライブ」がいい。童顔でかわいいのに声が大人っぽくて、そのギャップが魅力だ。演技力も申し分ない。

見始めてすぐに、このドラマが4話しかない理由が分かった。キャリー・マリガンが妊婦だったのだ。私は若干の不安を覚えた。つまり、マリガンがキャスティングされた当時は妊娠していなかったが、後に妊娠したために脚本を短く書き換えたのではないかと。

そして、おそらくその不安は的中したと思われる。このドラマは移民、善と悪、ジェンダー、戦争など様々なテーマを扱っていて、背景も複雑だ。1話見ただけでは何の話なのかよくわからない。そういう意味では、いったいどう4話でまとめるのだろう、という興味に引っ張られて飽きずに見ることはできた。ただ、複雑な話なので、集中していないとすぐに分からなくなる(私がバカなのかもしれないが)。

全て見終わって、やはり脚本は相当無理してまとめただろうことを確信した。キャリー・マリガンの出番も少なくてちょっとがっかり。妊婦をあまり酷使できないからしかたないか。それでも、彼女は階段を駆け下りたりして頑張っていたけれど。しかし、重いテーマを扱った力作になったはずなのに、何とも残念だ。せめてあと2話あったら、もう少し深みのある話になっただろうに。個人的には英国の政治に興味があるので、もう少し政治的駆け引きなんかを描いてほしかったなあ。

そんな残念な中で、女性大尉役のジャニー・スパーク(Jeany Spark)という女優が良かった。彼女は戦争でPTSDになった以外にもいろいろ悩みを抱えている役柄で、神経質でピリピリした感じを、微妙な顔の動きで絶妙に表現していた。これまでの出演作はテレビシリーズが多いようだが、もっと世に出てきてもおかしくない人である。

キャリー・マリガンが出産後にまた戻ってきてシリーズ化してくれればいいが、どうなることやら? 家族計画は綿密にね、と彼女にはいいたい。大きなお世話か。

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