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4月、会えなかった時間を話そう。


春になると、必ず思い出す人がいる。

初めて出会ったとき、
私たちはまだお母さんのお腹の中だった。



\ オギャー! /


私が産声をあげたのは4月3日、暖かい春の日だった。
母の実家がある岡山の病院で生まれた。


そして私が生まれた1日後、東京で元気な産声を上げたのが親友の「ももちゃん」である。


はるかと、ももか。
4月3日生まれと、4月4日生まれ。


名前も誕生日もお揃いみたい。

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東京で生まれる前から親同士が仲良かったこともあり、
「友達になろう」
そんな言葉より前からずっと、私たちは友達だった。


幼稚園も同じだった私たちは、
毎日のようにお家へ遊びに行ったり、ピクニックに行ったり、お祭りに行ったり、ディズニーに行ったり…

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お母さんに連れていかれるまま、
いろんなところに遊びに行った。


幼稚園までの記憶は
ほとんどももちゃんで埋め尽くされている。


しかし小学校からは別々に。
なかなか会えなくなったのはいつからだろう。


中学校、高校と部活や勉強で忙しくなり、
お互い遊びに使える時間も少なくなった。


それでも心の中にはずっとずっとあたたかい光が有って
その繋がりが消えることはなかった。


大事なことがあったらすぐにLINEで報告し合って、
たまの休みが被ったら、
地元のカフェでこれでもかとお喋り。


部活のこと、友達のこと、恋愛のこと。
学校のこと、悩んでいること、
そして会えない間、頑張ったこと。


会うときには必ず「頑張った報告」を持っていく。
決めた訳じゃないけど、なんとなくお互いに報告を持ち寄るようになった。


私、会えない間、頑張った。
同じように
ももちゃんも会えない間、頑張っていた。


やっていることが全く違うから、
毎回お互いの「頑張った報告」には
驚いてばかりだったね。


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改めて、国試合格おめでとう。


次に会うときにはもっと
成長した自分になれるように。
それが私の密かなモチベーションにもなっていた。



ももちゃんに会うことが
私の人生のひとつの区切りになっていく。



春は、人生の節目の季節。
出会い、別れ、決断をする季節。

そして私たちが生まれることを選んだ季節。




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春になると、必ず思い出す人がいる。


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桃の花が咲いた時、思い出す人がいる。


春のあたたかさを感じ、私は彼女に連絡を入れる。
社会人になっても、住む場所が離れても、
きっと何も変わらない。



「元気?会いたいな。
話したいことがたくさんあるの。」


今日までにあったことを全部話そう。



頑張ったことは褒め称え合おう。
くだらないことは一緒に笑おう。
悩みは一緒に忘れればいいよね。



今は、会えないかもしれないけど
「頑張った報告」いっぱい用意しておくね。



「会えなかった時間を話そう。」


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* * *

あとがき

このエッセイは、
『言葉ギャラリー』という企画がきっかけで書いたものです。


「言葉の企画」で出会い、私がずっと尊敬している
みっちゃんこと水口達己さんと共作で出展したコピー
「会えなかった時間を話そう。」をテーマに
2人でそれぞれ、エッセイを書きました。

こちらがみっちゃんの作品。
あたたかくて、でもクスッと笑顔になっちゃうお話です。

こちらも是非!



そしてこのような素敵な企画を考え、動いてくださった
さっちんさん、ありがとうございました!
運営チームの皆様にも感謝申し上げます。



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