見出し画像

HCUの看護師さん。



親しみやすさに救われる

 入院中に身体が最もしんどかったのは、麻酔から覚めて、歩けるようになるまででした。熱がある程度下がってからもだるさは続くし、ドレーンも点滴も入っているし、自由に動けません。いわゆる、寝たきりの状態です。そんなつらい時間を支えてくれたのは、HCUで受け持ってくれた看護師さんでした。手術日の夜から翌朝までという限られた時間でしたが、印象に残る素敵な看護師さんでした。
 とても親しみやすくて、細かいところまで気を配ってくださる方でした。
「普段、歯磨き粉はどのくらいつける?」
「お水は常温と冷たいのとどっちにする?」
「何時くらいに寝る?」
「寝るときに電気をつけるなら3パターンあるけれど、どれがいい?」
 普段なら自分で何気なく行っている本当にささやかなことまで気遣ってもらえて、快適に過ごすことができました。できるだけ頷きやジェスチャーで答えられるように聞いてくれるので、喉が痛い中でも苦痛が少なかったです。それに、自由に動けない中で自分の好きな方を選ばせてもらえることがとても嬉しくて。どんな小さなことでも、確認してくれる。生活を尊重してもらえている感じがしました。

 雑談も上手。
看護師さんのこれまでのキャリアの話。実習の話。好きなキャラクターの話。
 褒めて、気分を上げるのも上手。
「彫りが深いから、思わず名前を2回確認しちゃった。」
「細いから手術の後、お尻が赤かったみたい。赤みが消えてるか、ちょっと見せてね。」
「いち香さんとても話しやすいから、ついつい話しちゃう。話しやすいってよく言われない?」
小さな声なら出せたので、看護師さんとお話しする時間が楽しかったです。用事があってベッドサイドに来てくれたときに、すぐ帰るのではなくて少し雑談をしてくれていました。話している間は楽しくて、しんどさを忘れることができました。しんどいときだからこそ、看護師さんの明るさに救われました。

心も支えてもらった

 慣れない環境で動くのもだるい状態だと、看護師さんを呼ぶのも諦めてしまいます。不便なことがあっても、「次に来てくれるまでは我慢すればいいか。」と私は思ってしまうのです。ナースコールを押すほどではないけれど気づいてもらえると助かる、気持ちよく過ごせる小さなこと。それを予測して環境を整えてもらえたので、しっかりと休むことができました。
 残念ながら、お顔は忘れてしまいました。でも、お名前としてもらったことは覚えています。しんどい時間を心身共に支えてくださった看護師さんに、感謝の気持ちでいっぱいです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?