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本当の「地域ブランド」 横浜は竹富島を見習え!

最近あまり聞かないので、ちょっとブームが下火になっているかもしれませんが、「地域ブランド」を盛り上げようという動きがあります。
日本でも、内閣府、経産省、特許庁あたりで「地域ブランド」に関する施策を行なっています。

ものすごーく簡単にいうと

●渋谷→若者の街、流行の発信地、ハチ公、スクランブル交差点…
●京都→古都、日本文化、寺社仏閣、生八ツ橋、舞妓さん…
●沖縄→温暖な気候、綺麗な海、琉球文化、エイサー、美ら海水族館、ひめゆりの塔…

とか、まあ何でもいいんですが、その地域と結びつくイメージの総体です。
特産品や名産なんかもあったりしますね。夕張メロン!近江牛!淡路島の玉ねぎ!とかもそうです。

ここに政府が取り組むのは、要するに「地域ブランド」を盛り上げることで地域振興をしていこうというわけなんですが、「地域ブランド」の本質がわかっていないとどんなにお金や手間暇をかけてもうまくいきません。

竹富島の人々は「地域ブランド」をよく分かっている

なぜこんな話を書き始めたかというと、以下の記事を見たからです。

「他の島にはない風景だから、観光客はくるのであって、都会と同じようなところだと誰も来ない。ただできたんじゃない、島の人の努力によってできたんだからね。」
「一度壊されたら元に戻すのは難しいんですよね、何十年かかるかもわからない。だから壊させないように頑張っている。沖縄の原風景は竹富にしか残ってないと言われているから、昔の原風景が残っているわずかな竹富だけでも保存して残していただきたいというのが私たちの本音なんです。」

竹富島の方は「地域ブランド」の本質をよく理解していらっしゃいます。

まさにここがポイントで、他の地域にはない、この地域にしかないものだからこそ価値が高まり、それを求めて観光客が来るし、移住したいという人も集まってくるのです。

しかし竹富島にもリゾート開発の波が襲ってきているようで、住民は反対しているのですが、リゾートホテル建設会社は反対運動の代表個人を訴えるというところまで発展しています。これはスラップ訴訟ではないかと批判の声も上がっています。今後どうなるか分かりませんが、竹富島の本当の価値を失わないために、住民の皆さんには頑張ってほしいです。

横浜の「地域ブランド」にカジノはふさわしいですか?

さて、本題に入りますが、「地域ブランド」の本質は、「その地域に受け継がれてきた歴史と、その上に根付き発展してきた文化、伝統技術、環境、風景などが他地域との差異を作り出し、その地域の固有の価値となる=ブランド化する」ということ。

これを踏まえると、横浜にカジノを作ることは横浜のブランド価値を上げますか?下げますか?ということを横浜市長も横浜市議会も横浜市民も真剣に考えるべきだと思うのです。

横浜はペリーが黒船で来航するまでは、寂れた漁村でした。しかし、開国を迫られ港を開き、外国への玄関口としての役割を担うことになります。

また、終戦後、アメリカに占領されていた頃はGHQのマッカーサー元帥が山下公園の向かいにあるホテルニューグランドに執務室を構えていました。このホテルニューグランドは、ナポリタン、プリンアラモード、ドリアなどの発祥の地でもあります。

その後、山下公園や神奈川県庁、横浜市庁舎がある関内地区と、横浜駅の間を結ぶ地区としてみなとみらい21地区が再開発されました。みなとみらい21地区には建設当時日本で一番高いビルとしてランドマークタワーがあり、そのランドマークタワーを頂点として海に向かって段々とビルが低くなるよう計画されたスカイラインが形成されています。このビルのスカイラインと観覧車、半月型のインターコンチネンタルホテルのシルエットは横浜のみなとみらいを象徴するものになっています。

こういった歴史があるからこそ、港町としてのイメージや、明治〜大正期の洋風建築が街中に残っていたり、みなとみらいの夜景が「横浜っぽいなぁー」と思ってもらえるのであって、どこの街でもできるまちづくりをしてはいかんのです。

横浜市というのは、そのへんの意識が政治家もお役所の皆さんも結構希薄なようで、今から10年前の開港150周年の時にはフランスから機械仕掛けの巨大なスパイダーを連れてきて開港パレードの目玉にしたり、ここ最近は毎年夏にピカチュウを大量発生させたりしています。それに予算をつぎ込んで観光振興をしても、横浜の地域としてのブランド価値は上昇するのかなぁー?と個人的にはずっと疑問に思っています。

だって、ピカチュウを大量発生させるのはお台場でも幕張でもどこでもできるでしょ?他の地域でできることをまちづくりや観光振興の目玉にしても意味が無い。カジノだってそうです。しかもカジノの本命は東京(築地あたり?)という話もある。東京にカジノが出来ちゃったら横浜のカジノなんてますます特別感もなくなります。

山下埠頭の再開発は横浜の百年の計を決める事業です。
東京湾に100ha規模の土地が空くというのは100年に一度と言われているそうです。まさしく百年の計なのです。

横浜市民は「横浜」への愛着を持った人が多いです。
だからこそ横浜の百年の計をどうするか、利権の方ばかり向かず、横浜市民の声を林市長には聞いてほしい。
パブコメや世論調査でも反対の声が多いカジノは、少なくとも住民投票くらいは実施すべきでしょう。
市長の任期はあと数年でお終いですが、これから何十年後も住み続けるのは市民なのですから。

他の土地にはないから、みんなここに来る。
一度壊れたら取り戻すのは難しい。

横浜は日本国内だけでなく、アジアの他都市とも都市間競争をしなければならない都市。横浜でなければできないまちづくりをしていかないと、勝ち残れないと思います。


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