2020年春「9月入学」のメモ

2020年4月、緊急事態宣言が出された。新学期が始まった大学について、様々な議論が巻き起こった。もはや思い出されないが、記録として、当時のメモを残しておく。

9月入学に関してメモ。山川健次郎絡みで調べたことがある。もともと中等教育以上の学校では9月開始が定着していた。お雇い外国人なども関係もあったと推測されている。高等師範学校でそれが崩れたのは、徴兵制との関係。『産経抄』は触れていないが、もう一つ重要な理由は「会計年度と一致させるため」

東京帝国大学の学年歴の変更は、山川総長時代の1913年2月の評議会で議論された。この時期の山川日記から引用すると(『山川健次郎日記』)、学年歴の変更などは「早く決し度大臣の希望あり」(11月18日)と、文部省の強い要請によるものだった。山川総長は導入を回答したが、この時は頓挫。

政府が「4月開始」を要望したのは、今でいうギャップイヤーの解消を求めたから。当時は「修業年限短縮」が最優先課題だった(寺﨑昌男『東京大学の歴史』)。その後、1919年3月に高等学校規程に「4月開始」が盛り込まれ、1921年から4月入学が始まった。桜の時期の入学式が実現してからちょうど100年。

以上は、小宮京・中澤俊輔「帝国大学総長山川健次郎日記(写本)後編」『中央公論』2014年2月号。

この間、1920年の移行期には、5か月(実質3か月)教育課程を短縮することになった。そのため東大工学部建築学科の場合、9月入学直後から「毎日」午前午後は講義、夜は製図というカリキュラムになったという(舘昭『東京帝国大学の真実』)。


以上のメモを踏まえ、形を整えたのが、小宮京日本の学校はなぜ「4月入学」なのか? 100年前の大改革を振り返る『論座』2020年5月4日掲載。


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