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新しい季節の窓口で咲く花のやさしさ

今年も、スイセンノウ [酔仙翁]という、濃いローズ色の花が咲く時季がやってきた。


花びらはビロードのような手触りで

茎と葉は、ふわふわとした柔らかく白い毛でおおわれた優しげな花。

フランネルのようで、フランネル草(フランネルソウ)とも呼ばれている。



初夏のこの時季に、去年と同じときに、また咲いた。



花が咲きはじめると、去年までの同じ時季のことを瞬時に思い出す。

まるで香りみたいに。


去年までのように、わたしたちを優しくつつんでくれた

夏の始まりに向けて強まってゆく助走の、淡いひかりと

まだ涼しいなかで凛と立ってわたしたちを見ている

ふんわりとした眼差しを


スイセンノウが咲き初めたときに感じた。



また今年も正確にときを刻んで、この季節が来たんだな



新しい季節に飛び込んでいくわたしたちを

同じときに存在し始めて

遠くのほうでふんわりと包んでくれて

季節や花に愛されているんだなと

感じる




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