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日本一大きな田舎

「横浜市民と横浜市の外に住む人のイメージする『横浜』には大きな乖離がある。」これは横浜市民によって擦り倒されたネタの一つだ。

多くの横浜市民は『横浜』という言葉に対して横浜駅西口をイメージする。ビブレにドン・キホーテ、そしていつ見ても死んだ色をしている帷子川。飲食店も多く都会の喧騒を感じずにはいられない、ねむらない街。

そしてもう一方の『横浜』には、赤レンガ倉庫にランドマークタワー、そしてセカオワの歌詞にも登場したコスモワールドの大観覧車がある。桃源郷のような未来都市みなとみらい。

これらのまちは西区や中区と言う隣り合った区分に存在しているので、他所から見ればそれらは大まかに『横浜』と呼ばれることが自然だろうし、このネタはやはり内輪ネタに過ぎないのだろう。

しかし、先日のヘビ脱走のニュースを見て『横浜』のイメージが変わられた方も多いのではないだろうか。横浜市には手付かずの自然や畑も多く存在していて、自己紹介で嫌味に感じられるような『横浜』は、18個ある行政区の内で上記の2区だけにしか存在しない。

今回のタイトルにも使用させていただいた''日本一大きな田舎''というフレーズは、市長選にも出馬するのではないかと噂されていた元ベイスターズ球団社長の池田純氏の記事から引用させていた物だ。これほど的確に横浜市を表している言葉はないのではないだろうか。


実際問題西区と中区は住宅街ではないし、その関係人口たるや莫大な数字となり得るだろうが、この二区の人口は合わせても横浜市全体の10%にも過ぎない。しかしながら、上記の記事にあるように横浜市の選挙における争点の中心はいつも中心2区の話に寄ってしまう。

今回の横浜市長選挙もそうだ。もはや争点と呼ぶべきかも分からないIR問題は、やはり設置予定地である中区を中心とした議題である。

そして、毎回議題に上がっては立ち消えになるハマ弁の問題、旧市庁舎の売却と新たな劇場施設の建設問題、地下鉄を始めとする都市計画未着手の問題、そしてそれらの根源にある高齢化と財政難の問題。まだまだ横浜が抱える病巣は多く存在するし、複雑に入り組んだこれらの問題を解決する道は遠く感じる。


それでもこの横浜で生まれ育った僕には多少の愛市心がある。

喧騒な横浜駅周辺も、煌びやかみなとみらいも、新横浜駅の篠原口の衝撃も、その全てに想い出が詰まっている。東京に行く機会が増えた今でも、一番好きな町は横浜であると胸を張って言える。

(横浜市歌やそれを基に作られた奇怪なダンスによって、横浜市民としてのアイデンティが育まれたのが原因かもしれないが。)

正直、今回の選挙では公約の優位性や実効性から候補者を絞り込むのは難しい。その上に有力候補の緩やかな二極構造によって、地方選挙であるにも関わらず現政権への信任投票とも叫ばれるのは残念なことだ。

ここでは特定の候補者に対する意見を述べる事は避けるが、いずれの候補者が当選したとしても、この横浜をより良い町にしてくれる事を願うばかりである。そして結びの言葉としては平易になってしまうが、改めて自分の住むまちの代表者を決める選挙の大切さを実感し、選挙権を行使して欲しいなと切に願うばかりである。

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