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「女のいない男たち」〜読書感想メモ〜


「国境の南、太陽の西」の延長線上の話かと思うくらいの、悩める男たちだ。
凝縮されてて、とにかく濃いぃ。
ここに登場した男たちにも女たちにも当てはまらないし、当てはまりたくない。
当てはまる部分もあるという事実から目を背けたい。
客観的に見る立場にいたい。
突き詰めると抜け出せなくなりそうだから。



「ドライブ・マイ・カー」
みさきの言葉、
「頭で考えても仕方ありません。こちらでやりくりして、呑み込んで、ただやっていくしかないんです。」
うん、そのとおりだ。
そのことについて、さらに考えてしまうのが家福(男)で、ただ進んでいくのが女、ということかな。

「イエスタデイ」
木樽は繊細すぎる。えりかはそれをどうしようもない。だから今までひとり。僕(谷村)もやはり繊細、木樽ほどではないが。悩みや苦しさを訴えない、もやもや感をアピールしない、けれど、苦しみや悩みを抱えて心は決して穏やかではない。

「独立器官」
インパクトある作品だった。私とは何か…このことについて考える時期は重要だ。渡会の結末は極端だけれど、男の脆さ、弱点にフォーカスしたらこういうことだと表していると思った。

「シェエラザード」
謎の設定に謎の女。彼女の話はもっと謎。これが「現実を無効化してくれる特殊な時間」ということなのだろう。私(女)にはよく分からないけれど。

「木野」
住宅地にある隠れ家的なバーの話、リアリティーある話だ、と読み進めていけば、ガクン、ガクンと別の世界に陥っていくような展開。木野が心の奥の奥にたどり着くまでの過程が神田や猫や蛇で表されているということかな。「独立器官」の渡会にしても木野にしても、自分が傷ついたことから目を逸らしているのは世代的な理由か。

「女のいない男たち」
さあ分からないぞ。喪失感?共有したいの? 
それとも、同じシチュエーションになったら、実は誰もが持つ感覚なの?自覚してないだけで。
14歳の僕、成長過程のターニングポイントの象徴。
考えを深める、ものごとを深く考える、とても大事なことで、しなくちゃならないことだ。
でも、そこに嵌ったままにはならないでね。と、僕に言ってあげたいと思った。

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