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優しいカラスさんの智慧

その存在は、とても優しかった。その智慧を、世界観を、一度では受けとめきれなかったくらいに。

その存在は、荒波が立つ海の上を旋回していた。感覚で「いつも頭のなかにいる」と伝えてきた。

(後で名を訊ねると「ソフィア」「オリアス」と来た。それはラテン語で「叡智」「金色」を表すものだった。)

晴れない曇り空のなかを、たかくたかく、白く眩い太陽に向かって登ってゆく。わたしはそのカラスさんに意識の焦点を向けコネクトする。かちっとはまったのを感じた。

荒波のビジョンは、わたしの心身の状態をうつしていた。この時期いろいろと変化が多すぎて、良くも悪くも荒ぶっていたのだ。集中が続かない。

わたしはトーニングしたほうがいいなとわかったので、そうすると、ビジョンが浮かんでくる。

街が見える。それはあたたかい夕陽に包まれていて、家々にはやわらかい明かりが仄かに灯っている。

そのなかで感じたのは、無条件の絶対的な安心感だった。

それはわたしが物心ついたときに、ほんとうは欲しかった、必要なものだった。周囲の社会のこころなさ、冷たさに、いつも居場所なく感じ、自分を切り捨てることで耐えてきた。

安心感のなかった今までのせかい、いま感じている安心感のある世界。そのどちらともが体験し感じた真実であるとしたら、同時に幻影であるとしたら。

これからのわたしは、好きなほうを選び、この現実世界で夢に見ることができるようになっていく。

「警戒をして、気を張らなくていい、あなたは守られている。なにも考えずに、安心してただそこに居ればいい。」

「どこかへ向かったり、なにかを達成することではなく、安心感を感じていること、それ自体が価値に溢れている。」

わたしの声が、カラスさんの振動が、その周波数を纏っていた。

それはどこからともない香りのような、とても微細な、空気的なものだった。だけど確かに、それは存在していた。

ありがとう。

街中に暮らすカラスさんをみると、あなたがたの澄んだ声を聞くと、この時のことを思い出してこころがほっこりするようになったよ。

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