ラブレター


少なくともあと2ヶ月以内には、彼に話さなくてはならないこと。
頭の中で何度も反芻したから書いて考えを整理する必要はないけど
この気持ちを数年後、上手に思い出せなくなっていたら悲しいから言葉にして残そうと思う。


私は小学5年生の頃に初恋をした。それまでに気になる男の子はいたかもしれないけれど私が自信を持って言えるのはその人が初めてだった。

小学生の頃は同じクラスで隣の席にもなることがあって、よく話していたが
中学生になってからクラスが離れてしまってそれから卒業するまで殆ど話すことはなかった。

私は臆病だったから自分から何かアクションを起こすようなことはできないし
上手く取り立ててくれるような友達もいなかったから。

でもたまに廊下ですれ違う時や、声が聴こえた時、それだけですごくドキドキして胸がいっぱいになった。他の女の子と話しているのを見ると不安と嫉妬でどうにかなってしまいそうだった。

こんなに今でも強く覚えているけれど私は彼のどこが好きだったのか説明できない。
ただただ好きだった。それだけだった。


高校になって彼とは離れ、次第に気持ちも薄れていった。結局、何も伝えられないまま終わってしまった。


あれから異性にドキっとさせられることはあったけどそれは瞬間的で、本能的で、あの頃ほど健気に恋焦がれることはなかった。


大学生になってからあなたと出会って、すぐに仲良くなった。
いっぱい話しかけてくれてご飯に誘ってくれて単純に嬉しかった。

正直に初めはあなたのことが恋愛対象として好きと言えるのか分からなかった。
でもあなたと話していると楽しいしなんだかありのままで居られるように思ったから告白に応えた。


一緒にいると思った通りに楽しくて、充実した大学生活を送れているなぁ、と思っていた。


でもたまに金銭感覚が合わないこととか我儘なところにモヤモヤした気持ちにさせられた。彼と自分が釣り合ってないんじゃないかって不安になることもあった。

ひとりになりたいな、恋人って少し面倒だなって思うことも何度かあった。


私たちは互いに大学生活をより楽しむために手を組んだんだ。
そう思い直して、愛とか分からないけどどうせ今だけだし、楽しかったらいいやとなんとなく付き合い続けていた。


付き合い始めて1年半ほど経った。

互いに学校が忙しくなって会えない日々が続いた。

去年の6月、扁桃炎の手術と被ってしまって私は誕生日を1人で過ごした。
でも別に寂しいと思わなかった。むしろバイトを休まなくて良くなったからホッとしていた。


ある日、とあることで私は一杯一杯になってしまってあなたに電話してとにかく泣いた。
嗚咽するほど泣きじゃくった。ただ不安で怖くてどう思われるかなんて考えられないくらい限界だった。


思えば私はこれまでに何度もあなたの横で泣いていた。あなたといる時は家族以上にありのままに振る舞えた。





私は今、彼のことがとてもとても好きだ。
自信を持って愛してると言える。


初恋の時とは違う、理性が伴った恋愛をしている。
あの頃とは全然違う好きだけどあの頃以上に好きだと思う。


こんなにありのままでいさせてくれて、私を受け入れてくれて、格好悪いところだって(ムダ毛を剃り忘れた時とか)たくさん見せたし、何度も何度も泣いて迷惑かけてそれでも変わらない熱量でずっと好きだって言ってくれて、それがとても暖かい。

あなたは自分を自己中だと言うけど、私はあなたの素直なところがすごく好きだよ。
真っ直ぐな愛情表現のおかげで愛を感じて、愛を知ることができた。


あと2ヶ月で離れ離れになってしまう。

私はここ最近は少なくとも週に1回は(多い時は2日に1回は)あなたのことを想って眠れない夜を過ごしている。スピッツの君が思い出になるまでを聴いて電車と図書館で一回ずつ、少しだけ泣いた。あなたがいない日々を想像するだけでとても怖い。

こんなことならあなたともっと触れ合っておけば良かった。なんで1年以上も愛に気がつけなかったんだろう。

こんなに寂しくて苦しいなら出会わなければ良かったなんて思いかけるくらい
あなたと離れることが怖い。

でもそれ以上に、感覚的な恋しか知らなかった私にこんなにも素敵な愛を教えてくれてありがとう。
すごく幸せだった。


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