見出し画像

AlphaThetaのOMNIS-DUOについて

久しぶりにDJの話題。

先日Pioneer DJブランドを運営するAlphaThetaが、「AlphaThetaブランドとして」製品を発売していくことを発表しました。
明言はされていないものの、事実上のPioneer DJブランド終了だと思われます。
旧Pioneer時代からお世話になっている身としては、「お寿司といえば寿司ざんまい」レベルに「DJ機材といえばPioneer」というイメージなので寂しい限りではありますが、もはや元々のPioneer自体の事業規模がかなり縮小していて今の若者たちは知らない人も多いのかもしれないし、そもそも資本関係も全くない「名前だけ」の関係なので、次のステップとしては致し方ないのかなと。

そんな中で第一弾として、早速新機種が発表されました。
スーツケースのようなハンドルが付いていてコロコロ引いて移動できるモバイル(と呼んでいいのか?なサイズの)スピーカーもありますが、今回はDJ機器のOMNIS-DUOについて思った事を。

画像

こちらはスタンドアローンタイプのオールインワン型DJプレイヤーになります。デッキは2ch。
従来のラインナップとしてはXDJ-RXシリーズに近いです。
ただ大きな特徴として、Bluetoothでの音声入出力が可能です。
今や単に音楽を聴く分にはとっくに当たり前になったワイヤレスですが、DJにおいてはコンマ数秒の遅延も許容できないし、接続が安定しないというリスクもあるため、まだまだワイヤレス化は難しいと思われてきました。
それがいよいよ実用化されたかという感じです。(大きなイベントでの使用は別として)
またバッテリーを内蔵しており電源も不要で使えるため、本当に完全ワイヤレスで屋外でDJが可能です。

そして入力もBluetooth経由で可能という事で、スマホ内の音楽をOMNS-DUOに飛ばして飛び入りDJみたいな事も可能らしいです。
これに関しては専用アプリがあるのか、ただBluetoothで繋ぐだけで良いのか詳しくは分かりませんが、専用アプリもなしにBPM変更などのDJプレイが出来るとすれば謎技術すぎて凄いです。

デザインはミニマルでDJ機材にありがちなLEDギラギラという感じではなく、落ち着いた印象です。
先に発売されたDDJ-FLX4やOPUS QUADと通じるものがあります。

その他の機能はまあ従来機にもあるかなという感じですが、上記の機能を見ればかなり革命的な機材という印象があります。

それで価格は税込み231,000円。
DJプレイに耐えうる上記のワイヤレス技術にお金がかなり掛かっているであろうことは想像できるため、個人的には特段高すぎるとは思いませんが、私の周囲のDJの方々の評判はあまりよろしくありませんw
私自身も、買うか?と言われたらお金があっても買わないと思いますし、これからDJを始めたい方にもお勧めはしませんw

その理由をご説明します。

ワイヤレスである必要がない。
これに尽きます。
初心者から上級者までお勧めできる機材として、あと4万円足せばXDJ-RX3があります。
現場にあるCDJ+ミキサーとほぼ同等の機能を備えたオールインワン型のため、これを買えば10年は余裕で戦えます。
もし27万円出せなくても、下位モデルのXDJ-RRも15万円であります。
この状況下で、ワイヤレスのためだけに他の部分を犠牲にしてまでOMNIS-DUOを選ぶという理由が正直ありません。
どうせ現場では有線です。
もちろん屋外で使いたいとかモバイルDJ的な使い方を想定しているならこの限りではないですが、現状日本でそういうシーンってほとんどないと思います。
あと、屋外にガンガン持ち運びするには高価すぎる気がします。

ではどこに需要があるのか?
正直現状の日本で考えると分かりませんが、少なくとも海外では古くからモバイルDJというのは比較的メジャーです。
車のトランクにDJ機材とスピーカーを埋め込んで改造している人の画像など、CDJ時代からよく見かけました。
またそういう需要を見込んでか、昔から海外メーカーはCDJとミキサーが一体型のオールインワン型機材を積極的に販売していました。
最近でもPCDJコントローラーを駅弁スタイルで抱えて街を歩きながらDJをする人のYouTubeなどが話題となっていました。

またごく最近日本でも普及しつつありますが、海外では友人同士のホームパーティーや結婚式など、人が集まる様々な場面でのDJ需要が大きいため、こういった専用の音響設備や電源が確保できない場所でも使える機材の存在意義はある程度高いのかなと思います。

当のAlphaTheta自体も、近年クラブ以外でのDJ需要を掘り起こすために日本でも様々なイベントを企画していますし、「DJ文化の未来」はそこにあると考えているのでしょう。
実際に東京都心でもコロナ禍以降大箱のオールナイトイベントよりも、小箱ミュージックバーなどでのデイイベントや終電前に終わる小規模なイベントが各段に増えている印象です。
遊びに行く側としてもその方が気軽に行けて有難いと感じます(歳のせいもあるでしょうが)。
正直OMNIS-DUOの機能だと小箱だとしても物足りない感は否めませんが、今後上級クラスの機材が出てくるとそういった場所での需要も高まりそうな気がします。

あくまでOMNIS-DUOは実験的な意味合いが大きいという印象で、これの評判次第で今後の機材の方向性が決まって来るような気がしています。

総評すると、買おうとは思わないしお勧めもしないけど、面白い機材ではある。といったところでしょうか。
メイン機材は持っていてオモチャとして遊んでみたいお金持ちには面白い機材だと思いますw


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?