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今更すぎるドラマ「VIVANT」の感想

テレビ自体をそもそもほとんど観ないし、日本の連ドラなんて20年近くまともに観てないんじゃなかろうか。
ただ昨年話題になっていたVIVANTがなんとなく気になっており、年末からNetflixでも配信されていたので重い腰を上げやっと視聴。

今更すぎますが感想を書きます。
当然のようにネタバレするので、これから観る予定の方は観終わってから読む事をお勧めします。


以下ネタバレ。





全体の感想
面白いけど惜しい。
日本でここまでのドラマを作れるんだという驚きは確かにあったけど、粗も結構目立つなという感じです。
ストーリーは凄く引き込まれるし設定も面白いだけに惜しい。


良かった点
特に序盤のバルカという架空の国でのシーンはほとんどがモンゴルで撮影されており、スケール感があります。
メインキャストは日本人ながら現地人との会話などはモンゴル語のセリフがかなり多く、気合が入っています。
中盤で単なるサラリーマンかと思っていた主人公の乃木が実は日本を裏から守る超エリートかつ極秘のエージェント、別班であるという事実が発覚し、それに対して表の諜報部員である公安の野崎という2人の対比も良く出来ています。
また正体が分かったところで乃木を捕まえたい野崎というよくある構図にするのではなく、あくまで国防のための必要悪として活動する乃木を正体が分かっていながらも罪に問う事はできないという部分も、ありそうでない設定で面白いです。
とは言え別班の持つ情報は知りたい公安との少しいびつな駆け引きは新鮮みがありました。
終盤になって序盤の何気ないシーンの伏線が回収されたりといった部分も人気の要因かなと感じました。


イマイチな点
まず薫の存在が中盤以降単なる恋愛要素要員になっていたこと。
にも関わらず出番もグッと減り大して深掘りもなかったため、正直必要ある?と思ってしまいました。
また終盤で再び舞台がバルカに移るのですが、そこではストーリー上仕方ないとは言えほとんど日本のスタジオ内に組まれたセットで撮影されています。
そのセットもあまりにも分かりやすすぎる。
序盤のロケにお金使いすぎて予算ギリギリなのかな?と勘繰ってしまうレベルです。
またバルカ政府との重要な交渉シーンが、あまりにも日本すぎる。
モブキャラ含め何名かはモンゴル人俳優がいるものの、主要キャラはほとんど日本人俳優で、分かりやすさ重視のためか終始日本語の演技。
先程指摘した安っぽいセットも相まって、コスプレした日本人の演劇にしか見えません。
バルカの大臣が裏の裏を掻かれて感情剥き出して悔しがるシーンなんか、そんなネイティブ日本人丸出しの演技じゃダメでしょ…。
迫真の演技で凄く良いんですけど、外国人を演じてるって事忘れてません?
それとみんな忘れてると思うけど、1話と中盤に出て来るアリというキャラは謎にカタコトの日本語(役者は普通に日本人)なんですが、あれは何なの?
この辺の詰めが甘すぎて一気に興醒めしました。
見知ったような俳優ばかり出ているというのも原因の一つかもしれません。
それと全編通してですが主演の堺雅人さんの演技も半沢直樹の成功体験からか、わざとらしすぎて気になる部分がちらほら。(ご本人の意思ではなく制作側の要求だと思いますが)


総評
という感じで、終盤に向かうにつれてストーリーとは関係のない演出的な部分でどんどん粗が出て来るのがとても残念。
やはりいくらお金を掛けているとは言え、所詮日本だとこの辺が限界かと思わされます。
日本をテーマにしてるからこそ話が成り立っている部分も大きいので、そのままの脚本でアメリカ制作で…ともいかないですが、最早アニメでやった方がまだ良かったんじゃないかと。
それだと予算と言語の問題はほぼクリアですし。
日本での評価を受けて海外でもイケるぞ!とNetflixで配信したものの、話題にもならないらしいですが、まあ分かります。
そもそも、「ヴィヴァン→BEPPANをモンゴル語読み→別班」っていうアレは本当なの?
本当だとしてもモンゴル語堪能な日本人か、日本語堪能なモンゴル人にしか伝わらないでしょ…。


とは言え2日で全部観ちゃうぐらい熱中してたのは確かなので、それだけに本当に惜しい作品でした。


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