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聞いて、聞かないで

わたしは同じものずっと食べ続けられるたちだから、そのうえ料理は出来ないから、楽に作れたなそれでいて食べられる味だな、と思ったらもうそればかり作る。だいたい2、3種類の料理を作って食べて作って食べて作って食べて、なんかもういいやと思ったら辞める。違う料理に移るときもあるけど、だいたい食べること自体が面倒になってるから何も食べなくなる。それでいつも通り暫くろくな食事を摂らず日々を過ごしたあと体調崩して食べて吐いて元通り。そのあとはまた同じものを作って食べて作って食べて…同じことの繰り返し。

ねえ、何かの本で読んだけど、身体の細胞は3ヶ月ですべて入れ替わるってほんとう?そしたらわたしのあの、心を殺され続けたあの日々、からはもう入れ替わってる、何回も何回も入れ替わってる、はず。それなのにわたしは未だにこんなに怯えて泣くの?面倒だなあ。同じものばかりたべてるから?それともわたしが馬鹿だから?

数ヶ月に一度夢に見る。うつくしい思い出となって切なさを誘う、なんてことは一切ない。わたしはアパートにいて外からドアを叩く音と怒鳴り声がする夢。ふつうの顔して過ごしているけどはやくここから逃げなきゃと怯えている夢。これがわたしにとっての恋愛なんです。
そんな夢を見た朝は、もう心がからっぽになってしまって一歩も動けなくなる。何日も何ヶ月もかけて整えたわたしの心のなかのみずうみは荒んで、きれいな水もいきものも消えてしまう。今後の人生でうっかり人を好きになってしまうというのは、その大事なみずうみを荒らす行為ということです。もしかしたら花が咲くかもしれないけど、植物がみな枯れてしまうかもしれない。それが嫌だった。幸福はなくていいから不幸もいりません。

まあもうなんだっていいけど、あの日々があって今がある。なんてぜってー思わないけど、とにかく今を生きていたいよね。悲しみを糧に、なんてクソくらえ。辛いことなんて無いほうがいいに決まってる。それでもあるんだから、それが多分人生なんだから、未来も過去も知らん、今を生きよっ。

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