大学生の服を買いたい

大学生の服を買いたい。
俺は今ほんとうに、大学生の服を買いたいのだ。
自分が金を出すのではない。金を出すのは大学生だ。でも、選ぶのは俺だ。

なぜこんなことを思いついたのか。
正確には、思いついたのではなく、ずっと思っていたのだ。

俺はけっこう頻繁に服を買う。靴も毎月一足くらい買う。服飾の専門学校を出ているわけでも、ファッションの仕事をしているわけでもない。ただ、洋服はずっと好きだった。

自分にスタイルのようなものがあるわけではない。しかし、気合を入れて買った服を友達にバカにされたり、それで着なくなったり、それでも着続けた先に、今の俺の服装がある。

大学生の服を買いたい、とはどういうことか。

大学に入った時、俺は驚愕した。なんてダサい奴が多いんだ、と。なんでお前らはデッキシューズを履いているのか、と。群馬から出てきた俺がダサいのは100も承知だったが、本当に驚愕した。

その驚きは、「スタイルがない」ことへの驚きだった。
しかし前述したように、スタイルは試行錯誤の末に身につく。
一昨年、27歳の俺はディッキーズの874にムーンスターのアドヴァンを履いて帰省した。その時に親に「お前はスタイルあるふうにしてるのにすぐ流行りに乗るところあるよな」と言われた。たった2年前のことである。
先日両親が東京に遊びにきた時にMIZUNOのMONDO CONTROLを履いていたら、「それ「ダッドシューズ」ってやつじゃん笑」と笑われた。

バカにされても、俺はMIZUNOを履く。しかし、ADVANは履かないだろう。そういう取捨選択が俺のスタイルになっていく。スタイルは、必ずしも己の内側からのみ沸き上がってくるものではない。


話が逸れた。俺が大学生「の」服を買いたいのは、衣類に興味を持っている/持とうとしている大学生は、想像以上に安価に服が手に入るということを、教えてやりたいからだ。

俺が服を買う店で、「これめちゃくちゃかっこいいなあ、でも俺がきたらただのおっさんになっちゃうなあ」というものが腐るほど売っている。
服は、自分の選ぶ/手に届くものを買っている限り、スタイルに影響を及ぼさない。ただ、スタイルが欲しいのであれば、俺は大学生にとっての優秀で最強の外野になれる自信がある。

だから、大学生、一万円だけ出してくれるなら、俺がお前の服を選びたい。女の子の服も絶対に良いものを選べると思う。

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