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染みるインカの心(マチュピチュ/ペルー)2/3

2023年11月14日、世界一周旅行の幕が上がる。
南米に始まりじわじわと日本に近づいていく魂胆。だいたい3年ほどかけて巡るつもり。
旅情80%ぐらいのかんじで緩く書いてまいります。

アグアカリエンテス(マチュピチュ村)滞在中。
今日はいざ、マチュピチュ遺跡へ。

遺跡エントランスまで歩いて約2時間。
(横に車道がありバスだと20分くらい)
節約のため、麓から階段をただひたすらのぼった。

そこそこ高さのある石の階段を登る


昨日この村に来るまで散々歩いたので若干疲れていたものの、朝日がわたしを鼓舞する。
都会に居て忙しなく仕事していた頃はカーテンから漏れる朝の光に睨みをきかせていた。
懐かしいな。

朝日は光の中で一番希望だとおもう。
旅や自然がそのことを思い出させてくれた。


さて、マチュピチュ遺跡のエントランスに着いてまあまあうれしかったけど、ここからが本番だった。

エントランスの人に「この先のチェックポイントまで歩いて20分だけど、あと20分で受付終了だから急いで」と言われた。

なんだか忙しないなあとおもいつつ、とりあえず急いでチェックポイントまで行ったらそこの人に
「マチュピチュ山の頂上まで歩いて2時間ぐらいだけど2時間後に閉まるよ」って言われた。

でたよまたハードじゃん。と思った。
昨日から時間に追われ続けている。都会の暮らしかよ!?山頂で叫んでやろう。

頂上が閉まるって何?という疑問はあるが閉まる前に行かなきゃ景色みれず終了みたいなことがありえるってことなのか。とおもい四の五の言わず出発。


濃い霧、そして雨の中を進む。
インカ時代に作られたという自分の膝上ほどの高さの石の階段を必死で登る。ももあげの連続。
落ちそうな悪路、まあまあ高い標高。くたくたの足、息切れ。

下界が白い



なにが辛いって、霧で景色が見えない。
変わり映えのしない道中。
諸所に達成感がない登山って、ちょっとつまらない。
昨日もこの村にくるのにたくさん歩いたので体力が底つきそうだった。
雨か、自分の汗か、わからない。
震える足、もう無理と思ってからが長かった。

しかしここに来てギブはないので、
とにかくがんばった。
そしてやっとの思いで山頂。

やった!到着した!と喜んだのも束の間、
さあ遺跡を上から望もうじゃないかと思い下を見るが、雲でマチュピチュ遺跡見えず!ハァ!?となった。視界が白い。

遺跡どこ?

せっかくきたのに....。
でもなんだか落ち込んだら負けな気がしてとりあえず黙ってみた。
ぼーっとしてると山頂にいた案内の人が話しかけてくれて、会話が弾んだ。

そしてなんと雲が晴れるかもということで、11時で閉まるところを12時までにしてくれた。
とりあえず汗で絞れそうなほどのTシャツ脱いで、
寒さに震えながら待機したけど雲は晴れずだった。

マチュピチュ遺跡見れなかったなーという残念さはあったが、案内の人がいろんな話をしてくれたので山頂では有意義な時間を過ごした。

登ってきたのはインカ時代につくられた道で水路は今でもマチュピチュ村で使われてるとか。
昔、頂上に子グマがいて仲良しだったとか。
(写真も見せてもらったけどなんとも可愛らしいエピソード)
あとはコカの葉を使ったお祈りを一緒にしてみたり。

遺跡は見れなかったけどいろんなお話を聞かせてもらって、一緒に下山した。
下山するときも雨なので滑りやすくて、疲労が溜まっている足には辛く3回転けた。

ふらふらになりつつも案内の人との会話のおかげで気持ちはとても前向きでいい時間を過ごせたとおもう。

私はマチュピチュ目当てで旅行してるわけじゃない。
雨季にきちゃってコンディションよくないかんじが世界一周旅行ぽい。
これはこれでいいか、と思った。

まあ、これは建前で本音は遺跡を見たかった。
本音に目を向けるわけにはいかなくて、残念な気持ちにはなりたくなくて、正直なところとりあえず笑い話にしないとこの歩き続けた時間が報われないと思ってしまった。



案内の人とはエントランスの手前まで一緒に降りてさよならした。
最後に、この先にフォトスポットがあるよと教えてもらい、疲れてるけどまあ見とくかとおもって奥に進んだ。

なんと、そしたら、マチュピチュ遺跡が見えた。
どゆこと。
わたしは大きな勘違いをしていたことに気づく。
マチュピチュ山頂から遺跡がみえるものだと思って登って行ったけど、
なんと遺跡はエントランス近くからみえた。

エントランスから入ってすぐ、横にあった。
来た時は霧が濃くて見えてなかった。
うそでしょ、と思った。
なんでうっかり登頂しちゃったかな。

そういえば、エントランス付近に子どもやお年寄りがいたのも不思議だった。
みんな山頂まで行ってるの?このハードな道のりを?と、とにかく疑問だった。

天皇家のカコ様が先日マチュピチュ遺跡にいらっしゃった写真もニュースで見ていた。
そうゆうことか....

「行くわよ!じぃや」
「お嬢様!お足元が悪すぎます!これ以上は危険ですぞ!」
「いいの!いくのよ!」
みたいな強い系お嬢様か?というわたしの妄想は霧と共に消え去った。


ガクガクの足で撮ったマチュピチュの写真


わたしがヒィヒィ言って登った山は
インカ時代の人たちが使っていた道で、彼らにはここが日常だったんだとおもうと不思議な気持ちだった。
文明を肌で感じた。震える足に刻み込まれ、息切れとともに身に染みた。

歩いてよかった。
シンプルにがんばったなー、わたし。とおもった。
ここで大切なのは誰のための努力だったか。
それは紛れもなく自分で。
自分のために頑張れる人生、それってとても幸せなこと。いい人生を歩んでる。
これからも生きていこう。

とにかくジャーニーを続けよう!






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余談。
エントランスを出るとビュッフェがあった。
朝6時にバナナ一本たべて現在15時。
登山、下山、もちろん腹ペコ。

元取る以上のことしちゃうかもよ?と謎のセリフを頭に浮かべ入店。
これがもうとにかく美味しくて、全身に栄養が行き渡るのがわかった。
部活帰りの男子高校生が憑依してたとおもう。
たらふくたべた。
世界一、人生一すばらしいビュッフェだった。

この皿×6ぐらいは食べました



食事中、旅しててよかったとかペルーにきてよかったとかは全く思わなくて、
生きててよかったーーと思った。
美味しいよりも幸せなことなんかないかもしれない。

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