”もうしばらくなんだ
がんばれ
そのまま
持ちこたえるんだ”

マーヴィンが言ってます。

"何が起こってる
いったいどうしちゃった"

日本で大きくなりましたよ。日本人ですから。
でも、高校三年生の時ふと気がついちゃったんです。
私って、なんか普通じゃない、かもしれない。
というか、ただ普通に生きていきたくない、と。

外国に行きたくて、英語を勉強して、英文科の大学に行くつもりだったんです。
だけどよく考えてみたら、というか受験勉強をして、こーんなたくさんの構文を覚えなくちゃいけない、と言われて、そしてその文面を見て、
"私の覚えたいのはこんな文章じゃない"
と思ったんですね。

その頃でしたね。マーヴィンの事を雑誌で読んだのが。
「とにかくイイ。まずコレを聴け。」
早速聴くと、すーっと入ってきましたね。
まるで岩の扉が開いて七色の光が差し込んでくるような気がしましたね。
ぞくぞくするような温かい声
その後ろで聴こえるシャウト
リズミックなパーカッション
包み込むように流れるストリングス

しかもマーヴィンの言ってることがよくわかる。

"何が起こってる
いったいどうしちゃった"

受験勉強なんかしなくてもマーヴィンの言ってること、わかるじゃない。
あの人にすぐ電話して、迎えに来て、って。
"予備校行かないの?"
"聞かないでョ、そんなこと"
そのままバイクの後ろに乗って河川敷まで飛ばしてもらいましたよ。

その後、だったら好きなことの勉強をしようと、音楽系の短大を選んで、ジャニスについての論文書いたり、民族音楽からブラックミュージックのルーツなんかを体系的に聴いたり、音楽とヒトの情動には心理的関係があるのか、とか、コウロギの鳴き声を聴くのは右脳か、左脳かなんてこと考えたりして、あっという間に学生が終わって、仕事を決めて。

音楽関係の仕事でしたよ。BGM作る会社の制作部。でもしばらくしたら、日本を出たくなっちゃって。
それでフランス。

でも最近また、マーヴィンのこの歌。

"何が起こってる
いったいどうしちゃった"

あんなに外国に行きたかったのに、今は日本に帰りたくなってるんですよね。

もうしばらくなんだ
がんばれ
そのまま
持ちこたえるんだ

なんかそんな応援歌に聴こえるんですよね。
あの人に電話して、迎えに来て、って。
ウイスキー・コークでも飲みながら、苦くて甘いあの時を思い出してみなくっちゃ。

マイソングスを聴きながら.