サインするのは当事者です
クリミアの一方的民主化と独立宣言、住民投票によるロシアとの併合に皆が幸せな気分に成れた訳では無かったようです。特に見苦しいのは、「民主主義」を旗印に世界中に軍隊を送り出してた西洋の白人国家が、民主化を喜ばず住民投票は無効だと宣言した事です。女王陛下と民主主義の不整合が表面化したって感じです。
クリミアを自分の領地と思ってたウクライナ中央政府は哕いただけじゃ無く、ウクライナ東部ロシア語圏の住民がクリミアの真似をしてもらちゃあ困るって訳で住民の〆つけにかかった。勿論、ロシア語圏の住民は反発する。所謂「市民戦争」です。此処で重要なのは税金です。ロシア語圏は工業化が進んでてお金持ち、農業中心の西部ウクライナは税収を失ないたく無いってのが背景に有るみたいです。因みに、カタロニアやスコットランドもお金持ちですので中央政府は手放したく無い。女王陛下の手下達は判り易い。
ウクライナ中央政府とロシア語圏の住民の市民戦争を見兼ねたフランス・ドイツとロシアが間に入って、2014年から2015年にかけて停戦協定が結ばれた。国連の停戦協定データベースを「Ukraine」で検索すれば以下の4文書が見付かります(リンク)。是等の文書の内、3. が所謂「ミンスク合意」で停戦合意です。停戦の実施に関する同意書が1. と2.で、2014年9月に停戦実施手順に合意したものの(2.)、不遵守の為2015年2月に再度確認した(1.)という経緯の様です。所謂、「ミンスク2合意」は1.です。
Package of Measures for the Implementation of the Minsk Agreements12/02/2015 Russian
Protocol on the results of consultations of the Trilateral Contact Group (Minsk Agreement) 05/09/2014 Signed Version
On Peaceful Settlement of Situation in the Eastern Regions of Ukraine (unilateral) 20/06/2014 English
英語は苦手なので、ミンスク協定実施手順(ミンスク2合意、1.)の項目を簡単に日本語にしました。きちんとした内容に興味が有れば機械翻訳にでも掛けて下さい。
ウクライナ東部における即時かつ包括的な停戦
双方がすべての重火器を撤収し、少なくとも大砲については50キロ(31マイル)、ロケット弾については140キロ(87マイル)の安全地帯を設定すること
OSCEによる停戦と重火器撤収の監視と検証
ウクライナの法律およびドネツク、ルハンスク両地域の暫定自治法に従い、地方選挙の方法について対話を開始すること
戦闘に関与した人々の赦免と恩赦
すべての人質と不法拘束者の交換
被災地への人道支援の安全なアクセス、配達、保管、配布の提供
反体制派の支配下にある地域が、年金や銀行サービス、ウクライナ国家予算への納税を含む社会的・経済的関係を完全に回復すること
ウクライナ政府による紛争地域全域での国境管理の完全な回復(地方選挙後の最初の日から開始し、包括的な政治的解決後に終了する)
OSCEの監視の下、ウクライナ領内からすべての外国の武装組織、軍事装備、傭兵を撤退させること
2015年末までにウクライナが新憲法を採択し、地方分権と住民の言語的・文化的多様性の尊重を規定すること
OSCEの監視の下、ドネツクおよびルハンスク両州の一部地域で、両州の代表者と合意した条件による地方選挙の実施
Trilateral Contact Groupとその安全保障、政治、人道、経済問題に関する4つの作業部会の活動の強化
此処で問題になってくるのが欧州安全保障協力機構(Organization for Security and Co-operation in Europe, OSCE)です。停戦合意協定に参加し、「3. OSCEによる停戦と重火器撤収の監視と検証。」と、停戦維持の監視役を買って出てる。勿論、ミンスク合意にもHeidi Tagliavini氏 (Ambassador)が、the Trilateral Contact Groupを代表してサインしてるし、自分家でミンスク合意に関する声明を出してる。
外務省の欧州安全保障協力機構に関するwebページです。
ウクライナ戦争に対するOSCEの係りを象徴するのが「Trilateral Contact Group (13.)」所謂「ノルマンディー方式」です。下記は在日フランス大使館の声明ですが、フランスとドイツがOSCEをバックにして停戦の強化を図った様です。
今となれば、フランスとドイツの失敗は明白です。何故失敗したかは、ウクライナ戦争が始まってからの彼等の行動が示してます。戦争が始まった後は、フランスもドイツも停戦を口にせず、ロシアに経済戦争を仕掛けてます。という訳で、彼等にとって大事なのは、ウクライナ国内の市民戦争を継続することに依り、北大西洋機構軍 (NATO)の介入を引き出し、西側諸国の勢力拡大に加担する野心でしょう。フランスやドイツの国民は苦労してるみたいだけど、政府の指導者達は個人的に幸せな思いをしてるのじゃないかと邪推したくなります。
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